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第5章 王子サマからの溺愛は甘くて甘くて大変です。
34 甘やかしてほしい
しおりを挟む俺が目を覚ましたのは、キマイラ戦が終わって間もなく…ってときだったみたい。
よかった。
半日とか一日とか意識ない状態にならなくて。
魔力が一時的に減った影響なのか、疲れすぎたせいか、左手の動きが悪い。申し訳ないけど、後でクリスにマッサージしてもらおう…。
用意された野営地。
俺たちとは別に、ミルドさんたちが先にここに来たときに、上流の魔物の観察と、周囲の魔物排除のために、近くの駐屯兵士団に、ここでの任務についてもらってたらしい。大体十人くらい。
なので、野営地には、俺達の天幕の他に、その兵団の人たちの天幕もあった。
「……少し熱が上がってきたか?」
「そう?」
休んでいれば問題ないと思う。
魔力がどうというより、多分、その直前のロデオ並みの乗馬のせいだと思うから。
クリスは用意された天幕に入って、俺を簡易ベッドちょいふかふか仕様に寝かせると、すぐにキスをくれた。
右手をクリスの首に回す。
「ん……、んんっ」
沢山舌を吸われる。
上顎をくすぐられて、そこは感じちゃうからだめ…と思って、舌で防ごうとするけど、あっさりかわされる。
「は………、ん、ふぁ…」
キス、気持ち良すぎる。
腰のあたりがじんじんしてきて、重くなってくる。
反応し始めてる自分の身体に気づかないふりをして、喉の奥に溜まっていく唾液を飲み込む。
いつもどおりの力。
今は魔力を少し使ったからか、余計に巡っていくように感じる。
「……時間が許せば今すぐ抱くのに」
深い深いキスが終わって、濡れた唇を舐められて、顔を離したクリスが、俺の制服の胸元を緩めながら、そんなことを言う。
「左手も辛いんだろう?」
「ん……、ちょっと動かしにくいだけ」
ほんとに少しだし、後でマッサージしてもらう気満々だから、そんなに気にしなくていいのに、クリスは苦しそうに表情を歪めて俺の左手を取って指先にキスをする。
「色々と処理をしてくる。すぐ戻るから寝ててくれ」
「うん」
正直、ごろごろしてるのが快適でいいと感じるくらいには身体は辛いし。
ベッドの上で枕を抱きまくらにして体を丸めたら、クリスは肌掛けをかけてくれて、頬にキスをした。
「後で」
「ん、いってらっしゃい」
天幕を出ていくクリスの後ろ姿を見送ってから、目を閉じた。
身体から一気に力が抜けていく。
……ほんと、無理の効かない身体になってしまった。
でも、弱音は吐いていられないから、まずは寝て、少しでも体力戻そう。
なんとなく、美味しそうな匂いを感じて目が覚めた。
「起きたか?」
「……………す」
「ん」
ちょっと着崩した制服。
ランタンに、火が入ってる。
「…………る?」
「ああ。食べれそうか?」
夜なんだ。
俺、ずっと寝てたのか。
巣の方、少し見ておきたかったのに。
うーん……と伸びをしたら、いつものクリス服になってることに気づいた。
俺が寝てる間に制服脱がしてくれたのか。
「アキ」
クリスに呼ばれて。
クリスの方を見たら。
ベッドに座ったクリスがコップを呷ってから、唇を重ねてきて。
少し酸味のある果実水が、口移しされて。
飲みこんでから、喉乾いてたんだなぁって思って。
「もっと」
手を伸ばしたら、くす…って笑ったクリスが、また飲ませてくれた。
また唇が離れたとき、起き上がってズルズル這って、クリスの膝の上に乗ったら、また、笑われた。
「可愛い」
「甘やかして」
「もちろん」
胸元に顔を寄せたら、クリスの匂いがして落ち着いた。
「夕食、食べる?」
「……おやつがいい」
「子供みたいだな」
って笑いながら、俺の好きなお菓子を口の中に入れてくれた。やっぱりこの甘くて溶けるお菓子、好き。
甘さを口の中で楽しんでる間に、むき出しの足をクリスに触られた。
「んっ」
「もっと?」
「たべる……」
二つ目が口の中に入ってきた。
クリスの手は、足をそのまま辿って、クリス服の中に入ってくる。
「ひぅ……」
微妙な加減で背中を撫でられて、びくんって震えてしまった。
「スープ、食べる?」
「うん……」
答えたら、軽くキスされて、背中を撫でていた手が服の中からでて行った。
残念なようなほっとしたような複雑な気持ちになりながら、ベッドに少し深く座り直したクリスの片膝を立てた足の間に、座り直された。
後ろからすっぽりくるまれてるような感じで。
俺はクリスを完全に背もたれにした状態。すごく、楽。
「ほら」
俺の後ろからテーブルの上の器を手にとって、スプーンを口元に運んでくれる。
「ん」
横向きとか対面とか多かったけど、ベッドの上でこうやって食べさせてもらうのも、いいなぁ。
ほんの少しだけぬるくなったスープは、食べやすかったし、美味しかった。
小さくちぎってくれたパンからは、はちみつの匂いがした。
パンは半分くらい残してしまったけど、スープは完食。上々だ。
「ごちそうさまでした」
「よく食べたな」
って、嬉しそうに頭にキスをされる。
「うん」
それから、クリスに抱きしめられながら、俺が寝てる間のことを話してくれた。
駐屯兵士団の皆さんの怪我は、それほど重くないみたい。
エアハルトさんは、「お見舞いに!寝顔を!」とここに突撃しようとするから、ザイルさんに連行されたとか。
リオさんとミルドさんはしっかり合流してて、キマイラと戦ってみたかったとうなだれてたとか。
そんな話ばかりで。
……緊張感、かけらも感じなくて。つい、笑ってしまった。
明日は一日かけて、巣の調査。
何も問題なければ、俺達は明後日、ここを発つ。
あの巣のところに早く行きたいな…って思っていたら、クリスの手がまた足を触ってきて、さっさと下着の紐を解いた。
「っ」
足を開かされて、頼りない布になった下着の上から、揉むように触られて。
「ぁ……」
「やっと抱ける」
って熱い声で耳元で囁かれて。
ドクンドクン鳴る心臓を意識しながら、クリスに身体を委ねた。
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