上 下
273 / 560
第5章 王子サマからの溺愛は甘くて甘くて大変です。

34 甘やかしてほしい

しおりを挟む



 俺が目を覚ましたのは、キマイラ戦が終わって間もなく…ってときだったみたい。
 よかった。
 半日とか一日とか意識ない状態にならなくて。
 魔力が一時的に減った影響なのか、疲れすぎたせいか、左手の動きが悪い。申し訳ないけど、後でクリスにマッサージしてもらおう…。

 用意された野営地。
 俺たちとは別に、ミルドさんたちが先にここに来たときに、上流の魔物の観察と、周囲の魔物排除のために、近くの駐屯兵士団に、ここでの任務についてもらってたらしい。大体十人くらい。
 なので、野営地には、俺達の天幕の他に、その兵団の人たちの天幕もあった。

「……少し熱が上がってきたか?」
「そう?」

 休んでいれば問題ないと思う。
 魔力がどうというより、多分、その直前のロデオ並みの乗馬のせいだと思うから。
 クリスは用意された天幕に入って、俺を簡易ベッドちょいふかふか仕様に寝かせると、すぐにキスをくれた。
 右手をクリスの首に回す。

「ん……、んんっ」

 沢山舌を吸われる。
 上顎をくすぐられて、そこは感じちゃうからだめ…と思って、舌で防ごうとするけど、あっさりかわされる。

「は………、ん、ふぁ…」

 キス、気持ち良すぎる。
 腰のあたりがじんじんしてきて、重くなってくる。
 反応し始めてる自分の身体に気づかないふりをして、喉の奥に溜まっていく唾液を飲み込む。
 いつもどおりの力。
 今は魔力を少し使ったからか、余計に巡っていくように感じる。

「……時間が許せば今すぐ抱くのに」

 深い深いキスが終わって、濡れた唇を舐められて、顔を離したクリスが、俺の制服の胸元を緩めながら、そんなことを言う。

「左手も辛いんだろう?」
「ん……、ちょっと動かしにくいだけ」

 ほんとに少しだし、後でマッサージしてもらう気満々だから、そんなに気にしなくていいのに、クリスは苦しそうに表情を歪めて俺の左手を取って指先にキスをする。

「色々と処理をしてくる。すぐ戻るから寝ててくれ」
「うん」

 正直、ごろごろしてるのが快適でいいと感じるくらいには身体は辛いし。
 ベッドの上で枕を抱きまくらにして体を丸めたら、クリスは肌掛けをかけてくれて、頬にキスをした。

「後で」
「ん、いってらっしゃい」

 天幕を出ていくクリスの後ろ姿を見送ってから、目を閉じた。
 身体から一気に力が抜けていく。
 ……ほんと、無理の効かない身体になってしまった。
 でも、弱音は吐いていられないから、まずは寝て、少しでも体力戻そう。





 なんとなく、美味しそうな匂いを感じて目が覚めた。

「起きたか?」
「……………す」
「ん」

 ちょっと着崩した制服。
 ランタンに、火が入ってる。

「…………る?」
「ああ。食べれそうか?」

 夜なんだ。
 俺、ずっと寝てたのか。
 巣の方、少し見ておきたかったのに。

 うーん……と伸びをしたら、いつものクリス服になってることに気づいた。
 俺が寝てる間に制服脱がしてくれたのか。

「アキ」

 クリスに呼ばれて。
 クリスの方を見たら。
 ベッドに座ったクリスがコップを呷ってから、唇を重ねてきて。
 少し酸味のある果実水が、口移しされて。
 飲みこんでから、喉乾いてたんだなぁって思って。

「もっと」

 手を伸ばしたら、くす…って笑ったクリスが、また飲ませてくれた。
 また唇が離れたとき、起き上がってズルズル這って、クリスの膝の上に乗ったら、また、笑われた。

「可愛い」
「甘やかして」
「もちろん」

 胸元に顔を寄せたら、クリスの匂いがして落ち着いた。

「夕食、食べる?」
「……おやつがいい」
「子供みたいだな」

 って笑いながら、俺の好きなお菓子を口の中に入れてくれた。やっぱりこの甘くて溶けるお菓子、好き。
 甘さを口の中で楽しんでる間に、むき出しの足をクリスに触られた。

「んっ」
「もっと?」
「たべる……」

 二つ目が口の中に入ってきた。
 クリスの手は、足をそのまま辿って、クリス服の中に入ってくる。

「ひぅ……」

 微妙な加減で背中を撫でられて、びくんって震えてしまった。

「スープ、食べる?」
「うん……」

 答えたら、軽くキスされて、背中を撫でていた手が服の中からでて行った。
 残念なようなほっとしたような複雑な気持ちになりながら、ベッドに少し深く座り直したクリスの片膝を立てた足の間に、座り直された。
 後ろからすっぽりくるまれてるような感じで。
 俺はクリスを完全に背もたれにした状態。すごく、楽。

「ほら」

 俺の後ろからテーブルの上の器を手にとって、スプーンを口元に運んでくれる。

「ん」

 横向きとか対面とか多かったけど、ベッドの上でこうやって食べさせてもらうのも、いいなぁ。
 ほんの少しだけぬるくなったスープは、食べやすかったし、美味しかった。
 小さくちぎってくれたパンからは、はちみつの匂いがした。
 パンは半分くらい残してしまったけど、スープは完食。上々だ。

「ごちそうさまでした」
「よく食べたな」

 って、嬉しそうに頭にキスをされる。

「うん」

 それから、クリスに抱きしめられながら、俺が寝てる間のことを話してくれた。
 駐屯兵士団の皆さんの怪我は、それほど重くないみたい。
 エアハルトさんは、「お見舞いに!寝顔を!」とここに突撃しようとするから、ザイルさんに連行されたとか。
 リオさんとミルドさんはしっかり合流してて、キマイラと戦ってみたかったとうなだれてたとか。
 そんな話ばかりで。
 ……緊張感、かけらも感じなくて。つい、笑ってしまった。
 明日は一日かけて、巣の調査。
 何も問題なければ、俺達は明後日、ここを発つ。
 あの巣のところに早く行きたいな…って思っていたら、クリスの手がまた足を触ってきて、さっさと下着の紐を解いた。

「っ」

 足を開かされて、頼りない布になった下着の上から、揉むように触られて。

「ぁ……」
「やっと抱ける」

 って熱い声で耳元で囁かれて。
 ドクンドクン鳴る心臓を意識しながら、クリスに身体を委ねた。




しおりを挟む
感想 541

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

愛され末っ子

西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。 リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。 (お知らせは本編で行います。) ******** 上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます! 上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、 上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。 上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的 上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン 上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。 てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。 (特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。 琉架の従者 遼(はる)琉架の10歳上 理斗の従者 蘭(らん)理斗の10歳上 その他の従者は後々出します。 虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。 前半、BL要素少なめです。 この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。 できないな、と悟ったらこの文は消します。 ※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。 皆様にとって最高の作品になりますように。 ※作者の近況状況欄は要チェックです! 西条ネア

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!

天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。 なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____ 過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定 要所要所シリアスが入ります。

大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!

みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。 そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。 初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが…… 架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

処理中です...