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第5章 王子サマからの溺愛は甘くて甘くて大変です。
6 それは仕事ではないと思うけど
しおりを挟むクリスの口元に、笑みが浮かんだ。
「そんなに気になるなら、アキにも仕事をしてもらおうかな」
「なに?俺にできること?」
「アキにしかできないこと。俺の傍にいることの理由になるだろ」
クリスの指に、頬を撫でられた。
擽るような動きに、はふ…って、口から息が漏れる。
「…どんな?」
「俺の補佐だ」
「クリスの?」
「そう。俺の仕事を助けてほしい。意見したり、一緒に考えたり、疲れた俺を癒やしたり、どこかに行くときには必ず同伴したり。……ああ、朝は少し遅くてもいい。目が覚めて朝食を摂ったら来てくれればいいし、何だったら迎えに行く」
「えと……、執務室、で?」
この間やったことみたいな?…ってつもりで聞いたら、クリスはニヤッと笑って、俺の左手を取って、そのまま指先に口付けた。
「そうだな。主に執務室の俺の膝の上」
「え」
「アキだって俺から離れたくないだろ?アキが常に俺の膝の上にいてくれれば、俺の仕事はうまく進む。頭の中を占めるアキの存在が、そもそも膝の上にいるんだから。書類はオットーかザイルが運んでくれるから問題ない。どうだ?」
「や……、どうだも何も、それ、補佐じゃないでしょ…っ。そもそも仕事じゃないよ…っ」
「十分補佐になってるが?俺の仕事の効率は上がるし、機嫌のいい俺はオットーも扱いやすいだろうし」
頭くらくらしてくる。
線引がいまいちわからないよ。
うんうん唸っていたら、クリスはとんでもない選択を突きつけてきた。
「どちらがいいと思う?アキが俺の膝の上にいてさくさくと書類仕事が進むのと、一枚終わるたびにアキに口付けるために部屋に戻ってくるのと」
ニコリと、いい笑顔で。
開いた口が塞がらないというか。
何なんでしょう、その二択。
「……クリス、狡いっ」
「当然の選択だろ?」
「それ、俺が選べるの、決まってるじゃん…っ」
「ん?」
クリス、滅茶苦茶楽しそうだな!!
「ほら、アキ?」
「う~~~~っ、それは、さくさく進んだほうがいいに決まってるけど……っ」
「だろ?なら、アキは俺の膝の上決定だな」
「もう………っ」
笑うクリスからは、本気の気持ちしか伝わってこない。
内容は色々あれだから、文句は言うけど。……だけど、クリスが言うように、傍にいられるのは、俺だって嬉しいし。
恥ずかしさと戦う羽目になりそうだけど、仕方ないか。仕方ないと思おう。
「さてと」
うんうん一人で頷いていたら、クリスが頬にキスしてきた。
「そろそろ現実に戻ろうか?」
「ふぇ?」
「今、俺たちが何してたのか忘れたのか?」
またしてもニヤリ顔で俺を見ながら、クリスが腰を押し付けてきて、息を呑んだ。
「ひぅっ」
「お前の中で動かずにいるのも心地良いが、そろそろいいだろ?」
「あ、あっ、や、ま、って……っ、ああ!!!」
忘れてた、わけじゃないけど、意識の外だった。
俺の中に埋め込まれたクリスの男根は硬さも太さもそのままで、こんなに話してたのに、萎えてないのは何故だ。
それよりむしろ、なんで忘れてた俺!?状態なんだけど、クリスが俺の両足をぐいっと押し広げて、いきなり激しい抽挿をはじめたものだから、目の前に星が飛んでチカチカして大変だった。
口は閉じれないし、声は出っぱなしだし、胸が痛くなるくらい鼓動が早いし、もうとにかく大変で。
でも、嬉しくて、幸せで。
「クリス……くりすっ、キス、キスして……っ」
身体を揺さぶられて、自分の欲のまま離れたくなくて足をクリスの腰に絡めて、両手を伸ばしてキスをせがんだ。
ふ…っと笑ったクリスが身体を倒してきて、ぐりぐりって中で当たる角度が変わってぶるる……って身体が震えた。たぶん、少しイったんだと思う。
両腕に抱きしめられて、キスされる。
俺を突き上げてくる激しさはそのままで、舌を絡めるのも激しくて息も絶え絶えになる。
「アキ、愛してる。愛してる」
「俺も……好き…っ」
今が午前中で、とか。
クリスの仕事が、とか。
考えていたことは沢山あったはずだけど、もう、いいや。
「やぁ…ぅ、あんんっ、あんっっ、イく、イくぅぅ……!!」
「く……っ」
その瞬間は全身が強張るみたいだった。
ぎゅーってしがみついて、ビクンビクン何度も震えながら、自分のお腹に熱いものが飛び散るのを感じた。
それと同時に、身体の奥の方でも。
でもそれは特別。
「あ……あ……あったかい……」
急激に全身に回ってくるクリスの魔力。それから、ポカポカで痛みを取ってくれる癒やしの力。
俺だけの、クリスの力。
「アキ」
クリスに抱かれた気持ちよさと、身体の中を巡る心地よさに浸っていたら、リップ音を立てながら、クリスにキスされた。
ずるりと抜け落ちる感覚に、また身体を震わせていたけど、すぐにクリスに抱き上げられた。
「風呂に入ろうか」
言葉の代わりに頷いて、クリスの裸の胸に抱きついた。
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