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第3章 遠征先でも安定の溺愛ぶりです。

44 甘露② ◆クリストフ

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 ――――腕の中で身動ぐ気配に目が覚めた。

「アキ?」

 俺の胸元に額を押し付けてくるアキに声をかければ、とろんとした目で俺を見上げてきた。

「くりす」
「まだ寝てていい」
「んーん……」

 ゆるゆると首を横に振ったアキは、身体を伸ばして俺の唇に自分のそれを押し当ててきた。
 啄むように触れてきたかと思えば、ペロペロと舐め始める。
 薄く口を開いていけば、すぐに舌が入り込んできた。

「んー……んー……」

 硬くなったそこを俺に押し付けながら、アキが俺の右手を尻の方に回してきた。

「……くりす……さわって」

 片足を俺の身体の上に載せ、自らそこを開く。
 ……ああ。深く眠って落ち着いたかと思っていたが、昨夜の余韻をそのまま残していたのか。
 天幕の中には微かに朝陽が射し込んできている。
 遮音魔法は流石に切れたようで、一切の魔力を感じなかった。

「アキ…声はだめだよ」
「ん……ぅん?」

 アキは俺を仰向けにし、のしかかってきた。

「ふさいで」

 口付けろということかな。
 上にいるのはアキだから、俺から口付けるというより、アキが俺に口付けてきた。

「ん……んん……」

 頭の後ろを引き寄せながら、背中から尻に向かって撫で下ろした。

「は………ぅんん」

 ぴくんぴくんと跳ねる身体。
 蕾の周りを撫でれば、唇が離れ背筋が反った。

「ぁ……ぅんっ、ぁっ、ぁ」

 指の先を蕾に含ませる。濡れてない指は抵抗が強く奥には進めない。一度そこから指を離し、先走りを流すアキのペニスに指を絡めた。

「ひぁぁ……っ、ぁっ、ぃぃっ、きも、ち、ぃぃ……っ」

 アキの手も俺のペニスに触れてきた。服越しに、辿々しくも扱いてくる。

「くりす……、くりす、も、きもち、いぃ…?」
「ああ」

 唇を触れ合わせながら答えれば、アキは嬉しそうに口角を上げた。
 アキの体液で十分に濡れた指を、再び蕾の中に含ませる。先程感じた抵抗はなく、内腔はまだ熱く柔らかく解れていた。

「んんぅ……んんぅ」

 声が漏れそうになる口を塞ぐ。
 口付けながらぐるりと身体を反転させ、アキを俺の身体の下に組み敷いた。
 見上げてくるアキの瞳には、明らかな情欲の光が宿っている。

「手で口を塞いで」
「ん」

 手の甲を口元に押し付けて、片手で自分の膝を抱え持つアキ。
 その淫靡な様子に、俺の下半身もずくりと熱を持った。
 昨夜、あれ程抱いたのに、まだ足りない。……そんな自分に苦笑するしかない。
 身体をずらし、惜しげもなく眼前に晒されたアキのペニスに舌を這わせた。

「んっ」

 亀頭を口の中に含みながら、内腔に入れたままの指でシコリを揉めば、熱い吐息が漏れ始めた。

「は……ぁ…、ぁ……ん、ん」

 堪えきれない喘ぎがいい。
 シコリを少し強く揉めば、身体が震えだした。

「ん………、んん………っ、んぅっ、ひぁ、ぁ、ぁ……んっっ!!!」

 ペニスを吸いながら軽く上下させれば、ガクガクさせながら吐精した。

「ふ…………ぅんん……」

 昨夜散々出したせいか、やや薄い。それでも甘露のようなそれを飲み干し、最後の一滴まで絞り出すように吸い、舌を絡める。

「んぅ……くりす……」

 中から指を抜き、くたりとなったそこから口を離した。
 目に涙をにじませ、呼吸は荒く、頬は上気して。………思わず息を呑む。あまりにも扇情的で。
 流石に抱くのはだめだと己に言い聞かせながら、唇に触れた。

「ん……」

 アキの左手が俺の頬に触れた。
 確かめるように指先で撫で、次は耳に触れてくる。
 擽るような動きに、ざわりと身体が震えた。

「アキ」
「ん……くりす」

 少し唇を離して名を呼ぶと、瞳を開いたアキが俺の唇を舐め始めた。

「ん…、ちょうだい」

 アキの表情がやばい。
 濡れた瞳は昨夜の情事の名残だ。この状態のアキは…本当にまずい。俺自身もそれに抗えなくなるから余計に。
 果実水を飲ませて少しでも正気に…と思い、上体を起こしたところで、アキの右手が布地の上から俺の滾ったそれに触れてきた。

「アキ、だめだから」
「や…ぁ、くりすの、ほしぃ」

 アキの手が中に入ってきた。

「っ」

 先端を弄られ、アキの手を濡らしてしまう。
 アキ自身も興奮してきたのか、息遣いが荒くなっていた。
 手淫は激しさを増す。
 理性の糸が焼ききれそうだ。
 駄目だと思っていても、突き放すこともやめさせることもできない。
 快楽をどうにかやり過ごしてる間に、アキの手が下着ごと俺のズボンをずり下げてきた。

「アキっ」
「はやく……くりす、ここに、いれて」

 自分から左右に大きく足を開き、窄まりまで自ら開いて見せてくる。
 ……抗える者がいたら会ってみたい。

 ちらりと、魔導具を発動させようかとも思った。けれどそんな余裕もなく、アキの口を唇で塞ぎ、開かれたそこに一気に己の欲望を突き挿れた。

「っ――――…!!!!」

 挿れただけで達したのだろう。アキの中心は吐精はしていなかったが、身体は何度も痙攣を繰り返す。それが落ち着くのも待たずに、ガツガツと最奥を穿った。

「……っ、……っっ!!!」

 痛みを与えないよう注意しながら、勃ち上がりかけたアキの中心を扱く。そうすればすぐに硬く勃ち、とろりと涙をこぼし始めた。
 今日一日、ずっと抱いて移動してやる。俺の腕の中にいればいい。お前は俺のものだと、あの男たちに見せつけてやればいい。

「んー……!!!!」

 内宮が一際強く締め付けてきたとき、一気に引き抜きアキの身体に俺の白濁をかける。ほぼ俺と同時に達したアキの中心からも、白濁が放たれ、二人分のそれが混ざりあった。

「ぁ………」

 唇を離せば、短い吐息が漏れた。
 アキの目は宙を彷徨い、焦点があっていない。
 全身が脱力し、ベッドに四肢を投げ出している状態だ。
 手近なものでアキの体を拭う。
 ギリギリだった。
 あれより少しでも抜くのが遅くなっていたら、アキの中を精液で満たすところだった。
 放心状態のアキを残すのは不安だったが、何にしても水は必要だ。流石に昨夜の片付けをした桶の水は使えない。
 幸いまだ早朝。外の気配も少ない。
 適当に衣服を身にまとい、桶を手に持ち天幕を出る。

「殿下」

 夜警を担当していたミルドが俺に気づき歩み寄ってくる。

「おはようございます。なにか問題でもありましたか」
「いや、何もない。ミルド、すまないが水の用意を頼む。水差し2つ分と、タオルを」
「はい」

 ミルドはすぐに行動に移った。私的なことで非常に申し訳なく思いつつ、桶の水を捨てに天幕から少し離れたところに移動する。
 朝の清々しい空気の中で一体何をしてるのかと自嘲めいた笑みが浮かんでしまう。

 天幕まで戻ると、ミルドがタオルと水差しを2つ持って待っていた。

「殿下、こちらをどうぞ」
「ああ。ありがとう」

 軽く礼を伝えてそれを受け取り、再び天幕の中に戻った。
 アキはまだ放心状態のようで、俺に瞳を向けてこない。

「アキ」

 あえて冷水のままタオルを濡らし、アキの顔を軽く拭う。

「……くりす?」
「ああ。ほら、身体も拭くから」
「……くりすぅ」
「………」

 頭を抱えたくなった。
 これ以上触れていると戻れなくなりそうで、手早く丁寧に清拭し、さっさと下着も肌着も着せる。

「ん……くりす」

 腕を伸ばして甘えてくるアキの額に口付け、服も着せた。

「……ふく?」
「そう」
「やぁ…したい。くりす、もっと…」
「だめ」
「やだ」

 伸びてきた腕が俺を捕え、唇を重ねてくる。舌が絡む。アキから深く口付けてくるのは理性がなくなっているとき。

「アキ…頼むから」

 自分がこんな困り果てたような声を出すとは思ってもいなかった。
 アキは唇が触れる距離で口角を上げ、熱のこもった瞳を向けてくる。
 無理やり体を起こし、テーブルの上に用意されている果実水を口に含み、アキに口付け流し込む。
 喉を鳴らして飲み込んだアキは、また舌を俺の口内に忍ばせてきた。
 強く引かれて体が重なる。
 また硬くなったそこを俺の腰に押し付け、擦り上げてきた。

「ん…んん……っ、んぁっ、くりすっ、きもち、いぃっ」

 唇が離れ俺の耳元で濡れた声を出す。

「んね……っ、したい、でしょ……?」

 ………アキは何度俺の理性を焼き切れば気が済むのか。それから俺は、アキのことになるとどうしてこうも意思が弱くなってしまうのか。

「ぁぁっ」
「アキ、声」

 穿かせたズボンを下着ごと膝まで脱がせた。
 寝起きに2度吐き出させたというのに、アキのペニスはしっかりと勃っていた。すっかりと濡れた状態で。

 アキを落ち着かせるため……などと自分に言い訳を繰り返しながら、じゅるじゅると吸い上げながら根本を指で扱いてやる。

 アキは賢明に声を抑える。それすら快感につながるのだろう。
 程なくして背が弓なりに反り、ビクビク震わせながら達した。
 一滴残らず出させるために、根本から扱き上げ、尿道に残っているであろう残滓も絞り出す。

「ぁ………ぁ………」

 目元に溢れた涙を指で拭った。
 額に口付け、もう一度手早く清拭し、下着の紐を解き外し、新しいものをつけさせてから、ズボンを整えた。

「アキ?」
「……ん?」
「ほら…、しっかり目をさまして」
「……なに?」

 まだ余韻を残すアキは、中々いつものアキに戻らない。
 何度か額に口付けてる間に、俺自身の熱が引いていく。

「…くりす…きす…」

 とろんとした目で俺に手を伸ばし、口づけを強請るアキを見て、苦笑してしまった。

 どうすればアキは戻ってきてくれるかな……。


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