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第4章 怪我をしたら更に溺愛されました。

34 足りないよ。

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 ラルフィン君が呼びに来て、ようやく唇が離れた。
 クリスのキスに下半身がちょっとまずいことになってきてたけど、この服、ひらひらしてるから、隠せなくもない。

「戻ろうか」
「うん」
「それじゃ、僕は宿の方に戻りますね」
「ああ。ありがとう、ラル」
「またね、ラルフィン君」
「はい。殿下、アキラさま」

 クリスの腕に抱かれたままで神殿を出る。
 神殿の出入り口近くで、オットーさんとザイルさんが待っていた。結構長い時間またせてた気がする…。

「部屋に戻る」
「はい」

 クリスの短い言葉に、二人ともをうなずき、また後ろについた。
 王城では昼餐会の真っ最中かな。
 お色直しみたいなことしてるのかな。
 ティーナさんなら、可愛らしい色良く似合うよね。
 祝宴のあとは、王都でパレードだから……、うん、お兄さんとティーナさん、今日めちゃくちゃ忙しいね…。王太子と王太子妃なわけだから、仕方ないか。





 閑散として、侍従さんとか侍女さんとか警備の騎士さんとかしかいない廊下を、クリスは颯爽と歩き抜けて、貴族とか貴賓客さんに、誰一人と会わずに部屋についた。
 居間でメリダさんが待機していて、クリスが昼食の手配を伝えると、すぐに動き出す。

 俺はクリスに寝室に運ばれて、ベッドに寝かされて、イヤリングとブレスレットを外してくれた。
 なんとなく、気分がなっていて、服を脱がすためであろうクリスの手付きに、息が上がってしまう。

 サンダルは、神殿で寝かされたときに脱がされたから、履いてない。
 クリスの手は、ことさらゆっくりと下肢を這い上がってきた。ローブの下にはズボンとか穿いてないから、素足だ。そこを、なでられてるようなものなんだから、息が上がったって仕方ないと思う。

 抗議の声はあげられない。
 だって、気持ちがいいから。

「ん……、クリス……っ」

 やっぱり夜まで待つなんて無理。
 右手を伸ばして、クリスを強請った。
 クリスはすぐに俺の右手をとって、指を絡めるように握って、俺の顔の隣に縫い付けた。

「アキ」

 耳元の声。
 ……ああ、いい。低音の声。腰に来る。
 密かに(バレてる気もするけど)身悶えていたら、クリスの唇が頬に当たる。それは段々場所を変えて、唇で止まる。

「ん……」

 神殿で沢山したけど、やっぱり足りない。
 右手は指を絡めて握って、押さえられたままだから、抱きつけない。
 自分たちの部屋だから、何も遠慮することなくて、思い切り舌を絡める。
 とろりとした物が流し込まれても、飲み込むことに抵抗はない。そんなはずないのに、いつも甘く感じるから不思議でならない。

 クリスは俺に体重をかけないように覆いかぶさり、右手でまた足をなでてきた。
 裾がどんどん捲れていって、足元からすうすうし始める。
 太腿まで上がってくると、内股までなで始めて、絡めてた舌が硬直してしまった。

「ふぅ……っ、んんふぅっ」

 下着の紐が解かれた。両方とも。ただの、布になる。
 紐を解いた手が、俺のそれに触れてきた。

「ひぅっ」

 こんな触れ合い自体が久しぶりで、どうにかなりそうなほど恥ずかしくて、嬉しい。
 軽くしごかれただけで、俺のがもう先走りで濡れてることに気づいた。……勃っちゃってることは、わかってたけど。

「はぁ、あ、あぁぅ」
「アキ」

 さっきから名前を呼ぶだけ。

「んん……くりす、くりす……っ」

 我慢できない。
 それほど強い刺激じゃないのに、射精感が込み上げてくる。

「くりす……、でちゃう、や、やっ」
「我慢するな。イっていいから」
「んんっっ」

 クリスに言われて力が抜けた。
 他のことあんまり考えられなくて、ただ与えられる快感を受け止めて……、爆ぜた。

「ひぅっ、んん、んんうっ、あー……っ、あー…んん」

 頭の中が真っ白になるような、激しいものではなかった。
 じわじわと長引く快感。
 俺が吐き出したものは、クリスの手にしっかりと受け止められていた。
 クリスはそれをハンカチで拭うと、今度こそ服を脱がせてきた。
 俺は頭の中がぼーっとしてて、されるがまま。
 枕元に用意されてたクリス服を着せらながら、重たくなる瞼を必死に持ち上げてた。
 頭の片隅で下着…って思ってたけど、声には出ない。それくらい、甘い余韻が、抜けなくて。

「アキ」

 抱き上げられて、ベッドに座ったクリスの足の上に、横向きで座らされた。


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