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第2章 お城でも溺愛生活継続中です。
43 頭が上がらない ◆クリストフ
しおりを挟むアキは俺を煽るのがうまいと思う。
「クリスがいるから」
襲われるかもしれないと伝えたのに、なんの躊躇いもなく真っ直ぐに俺を見て、笑う。
俺がいるから襲われる心配はしていないと、そういうことらしい。
…前に護衛の件を話したときも、こんな反応だったな。
アキから全幅の信頼を寄せられて、俺がどれだけ嬉しいかとか、そう話すときのアキの瞳には、誘うような妖艶さがあることとか、アキは全くわかっていない。
俺を無意識に煽る。…無意識だからこそ、質が悪い。
いや、でも、今は我慢するしかない…と堪えていたのに、俺の隊に入りたいとか言う。満面の笑顔で。俺の隊がいい、と。
……それほどまでに、俺の傍にいたいと望んでくれるのか。
もう無理だ。
部屋に戻る時間すら待てず、メリダとオットーに人払いの指示を出し、アキを抱き上げて仮眠室に籠もった。
顔を真っ赤にしながら緊張に身体を強張らせていたアキだったが、何度も深い口付けを与えるうちに強張りは解けていく。
気持ち良さげな吐息を聞きながら、肌着も下着も全て脱がせ、ベッドの傍らにある椅子にかけておく。
アキの身体から完全に力が抜けきった頃に、己のズボンからベルトを外し、前を寛げる。
怒張しきった俺のものを見て、アキの喉が鳴る。
俺を欲している目だ。
その目を見ているだけで、更に熱が溜まる。
アキの身体をうつ伏せにし、腰だけを高く持ち上げる。
アキの息が早くなった。嫌がってはいない。
俺の目の前にさらされた後孔に、ぬるりと舌を這わせた。
「あ……やぁ、くりす、くりすっ」
甘い声に更に煽られる。
そもそも、今日は煽られっぱなしだったのだから。止まるわけがない。
何度も舌で嬲れば、そこはすぐに綻んでいく。
唾液で濡らした指も、難なく飲み込むほどに。
「アキ……っ」
3本の指を軽く飲み込めるようになった後孔に、滾った己のものを押しあて飲み込ませていく。
「あ、あ、あっ」
手加減も何もできなかった。
アキから上がる嬌声に、更に興奮する。
何度も奥を穿った。
奥深くの場所で欲を吐き出し、それを内腔に塗り込めるように更に穿つ。
アキの中心からは2度ほど勢いよく白濁が吐き出されたが、その後はだらだらと流れ落ちている。
内側だけで快感を拾っているアキは、俺が何度目かの熱を奥に叩きつけたとき、ビクビク体を震わせてそのままベッドに沈んだ。
ずるりと己のものを引き抜けば、開いたそこからは、こぽりと中に放った物が溢れ出てくる。
「アキ――――」
吐息は荒いまま。
眠るアキの顔は、どこか満足そうに微笑んでいた。
「可愛いな……」
項に唇を落とし、自分の支度をする。
下半身を適当に拭い、衣服を整えてから仮眠室を出ると、水が張られた桶とタオルが数枚、テーブルの上に置かれていた。
メリダだろう。準備の良さにおもわず苦笑してしまう。
これでアキを清める問題はなくなったわけで、有り難く使わせてもらった。
中に残ったものも搔き出し、全身を拭っていく。
あまり汚れていないところにアキを横たえ、衣服を着せていった。
部屋の窓を少し開けてから、衣服を整えたアキを抱き上げる。
執務室を出るとメリダが待っていた。
「メリダ」
「早くアキラさんをお部屋にお連れくださいな」
小言が飛んでくるかと思ったが、メリダは何も言わないまま、執務室の中に入っていった。
…本当に、助かる。
足早に部屋に戻り、アキをベッドに横たえた。上着と靴は脱がせ、シャツの上のボタンは外しておく。
執務室に戻り次第、護衛の手配を……と思っていたが、部屋を出たときにそこにはディックが立っていて、少し驚いた。
「殿下」
「オットーの指示か?」
「はい」
メリダといいオットーといい……、あの二人は俺の行動を見張っていたのだろうか。
「アキを頼んだ。ディック」
「はい。お任せください、殿下」
きっちり敬礼するディックに頷き、執務室に急いだ。
仕事はあと僅かだ。
さっさと仕上げてアキを甘やかそう。
部屋に戻ったときと同じように足早に執務室に戻る。
中に入るとメリダの姿はなく、書類や本を手にしたオットーとザイルがいた。
「残りを片付ける」
「はい。準備しております」
メリダもそうだったが、二人からも特に苦言はない。
……護衛の手配といい、良くできた部下だな。本当に。
ザイルの報告書も受け取り、中を精査し、特に問題がなかったため、そのまま兄上に報告させた。
手元の書類もなくなり、かなり早く仕事を終えることができた。
そろそろアキも目覚めただろうか。
「お戻りになりますか」
「ああ」
「今日はゆっくりとお二人でお食事がとれますね」
「そうだな」
口元に自然に笑みが浮かぶ。
今日はいい日だった。
アキの勉強のためにと言わず、毎日でもここに連れてこようか。その方が仕事も早く終わるだろう。アキが傍にいるのといないのとでは、全く違う。
「アキラさんには、明日も来ていただきませんか?」
「ん?」
「アキラさんにいて頂いたほうが、殿下の仕事の進み具合が早いようなので」
「……オットー」
「はい?」
「俺の考えが読めるのか?」
思わずそんなことを呟けば、オットーは楽しそうに笑う。
「私は殿下の補佐でもあるんですよ?数年共にいるんですから、これくらいのことならわかりますよ。……わからないことも、もちろんありますけどね?」
「お前たちには本当に頭が上がらないな」
笑いながら執務室を出てから、周囲に視線を巡らせ、足が止まった。
オットーからも躊躇いの雰囲気が伝ってくる。
「クリストフ殿下」
「……ヘルミーネ嬢」
綺羅びやかなドレスに身を包んだ令嬢――――ヘルミーネ・デリウスが、俺の前で優雅に礼をする。
「ご無沙汰しておりました、クリストフ殿下」
「ええ。侯爵家の夜会以来ですね。――――どうしてこちらに?」
「父から、殿下が遠征から戻られたと聞きまして。お怪我などはされておりませんか?」
「ええ。何一つ問題ありません」
俺の婚約者候補だった令嬢の一人。
あの宰相の一人娘。
今すぐにアキの元に戻りたいというのに。
こめかみがひくつくのを感じながら、表情が固まっていくのを感じていた。
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