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第2章 お城でも溺愛生活継続中です。

52 「キスして」 ◆クリストフ

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「ん…クリス、待ってっ、やっ」

 風呂上がりの火照った体を向かい合うように俺の足に跨がせ、アキの太腿から上へと手を這わせた。
 アキの中心はすでに反応し、ピクピク震えながら先走りを零している。

「は……ぁう」

 今日は出だしがアレでも、比較的いい日だった。
 俺の周りをうろつき、執務室にまでおしかけてくるようになったあの女。アキに向ける明らかな敵意。媚びた目つきと仕草。全てが腹立たしい。
 今日宰相に現状への苦情を申し立てた書状を送ったが、どう対処するだろうか。それでも尚、現状が変わらないのであれば、父上に頼る他ない。

「あ、や、ぁぁっ」

 アキの艷やかな声に、意識が現実に引き戻された。
 張りのある大腿から足の付け根を撫で、手触りのいい尻を鷲掴みにしつつ左右に広げる。

「はぅ…やぁ、くりす、それ、やだ…ぁ」

 頬を赤らめ目尻に涙を貯める姿が、酷く扇情的。

「アキ」

 両手で頬を包み、親指で目元を拭う。
 快楽に溺れて理性をなくした顔もいい。だが、恥らって顔を赤く染める初心さもいい。

「ん……クリス」

 耐えられなくなったのか、アキが俺の足の上にペタリと座り込んだ。両手は俺の胸元で握られている。
 ………本当に、可愛らしい。

「アキ、褒美がほしい」
「……?」
「キスしてくれないか?」
「ん…」

 躊躇うのは一瞬。
 アキは少し身体を伸ばし、俺の頬に手を添えて額に唇をつける。それから、眉間に。目を閉じれば、瞼の上に。
 口元の笑みを隠せない。
 細い腰に腕を回せば、ピクリと体を震わすが、唇は離れなかった。

「クリス………好き」

 頬に口付けられたかと思えば、耳朶を舐められ食まれる。それがくすぐったくもあり、気持ちよくもある。…耐え難いのは、耳元で漏らされるアキの熱い吐息だな。
 口づけを繰り返すうちにアキの息が上がっていく。
 耳朶を愛撫するのに満足したのか、口の端に口づけ、顔を離した。

「終わり?」
「ん……まだ」

 腰を浮かせ俺の方に身体を寄せたとき、何かに気づいたかのように、アキは下を見て……、更に顔を赤らめた。
 俺もアキも、しっかりと興奮状態にある。反応しきったそこは、硬く張り詰め先走りに濡れている。
 アキが動いたことでそこが触れ合い、改めて自覚したら恥ずかしくなった、というところだろう。

 これ以上は無理かと少し残念な気分になっていると、きゅっと唇を結んだアキは、耳まで赤くしながらも、目を閉じ何故か首を横に振った。
 何を思っているのだろうか。

「アキ?」

 このまま組敷いてしまってもいい。
 そう思いながら腰を抱く手に力を入れると、アキは目を開き、奇麗な瞳で俺を見つめてきた。

「ん……」

 続き…と言わんばかりに、俺に覆いかぶさりながら、下唇を舐め吸い付く。熱い吐息のままに、濡れた唇が俺のそれに重なってきた。

 いつもとは逆。
 アキは躊躇いながらも舌を伸ばし、俺の口内を探ってくる。
 瞳は閉じない。
 至近距離で見る黒い瞳が、妖艶で美しい。

「んぅ…っ、んっ」

 アキが自分で腰を揺らす。
 触れ合っていた中心がその動きで擦れあった。
 舌の動きと腰の動きが心地良い。
 今このときばかりは、攻められているのは俺。主導権はアキが握っている。だが、それがいい。更に興奮する。

 俺が喉に溜まったものを嚥下すると、アキは唇を離した。満足そうに、嬉しそうに、口元が弧を描く。

「クリス…気持ちいい?」
「ああ」
「ん……俺も」

 アキは首筋に唇を押し当ててきた。舐めたり吸い付いたりを繰り返しながら、下へと降りていく。
 止めるつもりはなく、好きにさせた。
 アキもやめるつもりはないらしく、胸元まで口付けを繰り返し、乳首に舌を這わせてきた。

「っ」

 流石に息を呑む。
 一気に下腹部に熱がこもる。
 まさか、俺までそこで感じるとは思わなかったが…、相手がアキなら納得する。

 アキは俺の反応が気に入ったのか、反対側にも愛撫を繰り返す。
 ちらりと俺を見上げる表情に、口元の笑みで応えた。
 アキは乳首に吸い付きながら、右手で俺の腹を撫でる。腹筋の割れ目を楽しそうに弄り、下生えまで辿り着く。
 怒張した俺のものを指で撫であげ、鈴口をグリグリと弄り始めた。
 ……快楽以外の何物でもない。

「………っ」

 唇が乳首から離れた。
 アキは陰茎を弄る手はそのままに、じ…っと俺を見てくる。

「いい?」
「アキの望むままに」

 頭を撫でながら、足の位置を変える。
 片膝を立て、足の間に四つん這いのような姿勢になったアキを見下ろした。

「無理はするな」
「…無理じゃないよ。俺が、してあげたいだけ」

 そう言って微笑むアキの唇が、鈴口に押し当てられた。
 愛おしそうに、鈴口から根本に向かって唇を押し当てる。そして今度は、舌で舐めながら鈴口まで戻ってくる。

 ……とんでもない褒美だ。
 視覚だけでイってしまいそうになる。
 何度か舐めたあと、アキはその小さな口の中に、俺を誘い込んだ。

「……っ、……ふ、ぅ…………」

 適度な圧に、絡まる舌の滑り。全ては入らなくとも、根本を指で扱かれ、射精感が一気に高まった。

「アキ、離れろ」

 俺の言葉に、アキは頭を横に振るだけ。…その動きも、快楽につながっているのは、意識はしてないだろう。

「……っ、アキっ」

 激しくなる上下の動き。それに合わせた指の扱き。

「っ」

 その瞬間、アキの頭を抑えていた。ビクビクする腰に合わせ、突き出すように動かし、アキの喉の奥に放っていた。

「っ、んっ」

 アキの目元が一瞬苦しそうに細められるが、俺のを咥えたまま喉を鳴らし飲み込んだ。

「ん」

 まだ硬さを失わない俺のものに舌を絡め吸い付き、ゆっくりと唇を離していく。

「は……ん」

 四つん這いの状態から、ペタリと座り込み、半ば放心状態で俺を見上げてきた。

「………あ、つい」

 自分の喉元から、胸をたどり、腹部まで指を這わせた。

「ん………クリスの、魔力……」

 恍惚の貌。
 顎の下に指を添えれば、トロンとした瞳に力が戻っていく。

「クリス……きもち、よかった?」
「もちろん」
「ん…」

 嬉しそうに微笑むアキが可愛い。

「俺のを舐めながら興奮してたのか」

 アキの下腹部は濡れていた。太腿や座り込んでいる尻のあたりに、白濁の体液もついている。

「っ」

 瞳を潤ませるアキが可愛い。
 ……可愛い、しか、言葉が出てこない。

「……意地悪……っ」

 少し唇を尖らせたアキを、そっと後ろに押し倒す。足を開かせ、その間に身体を割り込ませれば、アキが足を絡めてくる。

「してほしいことはあるか?」
「クリスに?」

 俺の首に両腕を回したアキは少し考え込み、口元に笑みを浮かべた。


「キス、して」


 ――――俺がそれに応えたのは、言うまでもない。




【第2章 完】
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