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第2章 お城でも溺愛生活継続中です。

37 ……ちょっと、休憩をね?

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「えーと、クリス?」
「ん?」

 名前を呼んだら我に返った感じで、腰を引き寄せられてこめかみに唇で触れてくる。なぜだ。

「魔法師が使うのが魔法、だよね」
「そうだな」
「変なこと聞くかもしれないけど、他にはないの?例えば、精霊魔法とか召喚魔法とか」
「!」

 ……ああ、ほら、またこの顔だよ。

「…精霊魔法は存在する。ただし、精霊との契約が必要になるから、精霊が見えて、且つ言葉を理解できなければならない」
「そか」

 ほぼ予想通りかな。じゃあ、多分俺には使えない。

「召喚魔法は聞いたことがない」
「ああ、うん。まあそうだよね」
「契約魔法ならあるが」
「契約?精霊と契約するような?」
「いや、魔物や動物を己に従わせるものだな」
「クリスは使える?」
「いや…俺には無理だ」
「あー…、魔法師とは全くの別物な感じ?」

 クリスが頷いた。
 別物。
 ってことは、魔法ってより、テイマーな感じかな。冒険者とか持ってそうなスキルだな。

 うんうん、と、一人納得してた。
 俺のゲーム知識がなんだか役に立ってる気がする。まあ、知識があっても使えないんじゃ意味ないけど!

「精霊魔法……は、やっぱりエルフとかかなぁ…。人以外の種族もいるって聞いたし…。セオリー通りに冒険者になってるエルフの人とかいないかな…」

 そしたら、魔法見せてもらえるよね。あと、運が良ければ精霊も見れるかもしれない。
 …と、ぶつぶつ言っていたら、頭の上にクリスの大きな手がのった。

「一度アキの頭の中を見てみたい…」

 意味わからん。

「クリスのことばっかだよ?」
「俺?」
「当然でしょ?こんなに好きなのに。聖属性の魔法とか、精霊魔法とか使えるなら、怪我とかも治せるかもしれなくて、そしたら、クリスの怪我もさっさと治せるってことで」
「…………」

 結局はそこに落ち着く。
 クリスのためにできること。ただ、それだけ。今の俺の基準は全部クリスだから。

 クリスはじっと俺を見つめて…、自分の目元を手で覆って天を仰ぎ見た。
 顔が、ほんのり赤い。
 …照れてる?

「クリス?」
「……どうして、アキは、そういうことをさらりと……」
「え?だって好きだから」

 素直に言ったら、クリスの口から盛大なため息が。
 そして徐に立ち上がった。俺を抱き上げて。
 なぜ!?

「オットー、少し休憩する」
「はい。仕方ないですね」

 って、苦笑するオットーさん。
 何が仕方ないのかわかりませんが。

 クリスは俺を抱いたまま仮眠室の方に入って扉を閉めた。
 すぐに俺をベッドに転がして、のしかかりながら唇を塞いでくる。

「んっ」

 ぬるりと舌が入り込んできた。
 口蓋を舐められて、歯列を辿られ、舌を絡められる。

「ん……んん、ふぁ…っ」

 気持ちいい。
 頭がくらくらするのを感じながら、クリスの背中に腕を回す。

 クリスが腰を少し動かすと、ゾク…って身体が震えた。

「勃ってるな」
「ん……っ、だって……っ」

 クリスのキスは気持ちいいんだよ。条件反射ぽく反応しちゃうんだよ。仕方ないじゃんっ。

「時間がないから少しだけだ」

 って言って、クリスはベルトを外して俺のズボンの前を寛げる。
 例の下着を少しよけて…身体を起こした。

「あまり声は出すなよ。オットーに聞かれる」

 そう、言ってから、キスだけで感じてしまっていた俺のそこを、舐めた。

「…………っ!!」

 思わず手で口を塞いだ。
 クリスの舌は念入りに鈴口を舐め、先走りをすくい取っていく。
 鈴口を舐めながら咥えられた。
 あまりにも気持ちよくて、目尻から涙がこぼれてしまう。

「……ふ、ぅ、ぁっ、や、ぁ」

 濡れた音。
 ガチガチに硬くなった俺のそこは、クリスが軽く歯を立てるたびに、爆ぜそうになる。

「も………イく、ィ、ァ、ぁぁっ!!」

 強く吸われて、抗うことはできなくて。
 全身をがくがく震わせながら、クリスの口の中でイってしまった。
 クリスは最後の一滴まで舐め取り、口を離す。

「は……」

 呼吸が乱れて苦しい。
 クリスはそんな俺をなだめるように、頭を撫でてくれる。

「少し休むといい。疲れただろ?」
「ん……」
「起きたら続きをしよう」

 額に軽いリップ音を立ててキスされる。

 うん。
 少し休む。
 休んで頭の中整理して……、魔法、使ってみなきゃ。

「……今ならできる気がする」

 って呟いたら、くすって笑われた。

「ああ。お休み」

 毛布をかけて、クリスが離れた。
 俺はそのまま目を閉じて、眠りの中に落ちた。


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