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第2章 お城でも溺愛生活継続中です。

17 婚約者になりました

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 クリスは一礼すると、すぐに二人の前から移動を始める。
 待合室的なところには、付き従ってくれているいつもの二人がいて、すぐに外の扉も開けてくれた。
 行きとは全然違う速さで、クリスが歩を進める。

 …また少し苦しくなってきた。

「…くりす」
「もう少しだ」
「ん…」

 部屋の扉が見えた。
 後ろにいた人が前に出て、すぐ扉を開けてくれる。

「坊っちゃん?」
「メリダ、果実水と食事の準備を。桶に氷水を準備してくれ」
「かしこまりました」

 部屋の中にいたメリダさんは、すぐに部屋を出ていく。
 クリスは俺をベッドにおろして、すぐにキスしてくれた。

「ん…」

 何度も重ねて、絡めて、飲み込んで、こんな状態だというのに、俺の体はしっかり反応してて。

「はぁ……くりす、くりす」
「少しまて」

 クリスは俺の耳から飾りを外す。
 それから、袖とつながっている指輪状のものも外してくれた。
 サンダルも脱がせてくれて、手が服の下に入り込む。

「んっ」
「アキ、腰を浮かせて」
「ん…」

 言われたとおりにすれば、足をなでながら裾が持ち上げられて、背中くらいまで捲られた。
 そしてまた足を触られて、ビクビク体が震えてしまう。

「んぅ…」
「今はこれだけな」

 クリスはそう言って、下着の上から、反応して硬くなってる俺のを咥えてきた。

「あ、あっ」

 布地越しが嫌だ。もどかしい。

「…また今度だな」

 クリスがぽつりと呟き、下着をずらしてきた。

「んっ」

 直接舌が絡んで、咥えられた。

「は……ぁぅ、ぁっ」

 舐められて、吸われて、後ろまでヒクヒクし始める。

「くりす……や、ぅ……い、ちゃう、から…っ」

 …何度されても慣れない。すごく気持ちが良くて、与えられる快感に体が悦ぶのに、飲まれることに酷い羞恥を覚える。

「や…ぁ、くりす、いく、いく…っ」

 促されるようにきつく吸われた。

「あ…………んんんっ」

 背中が弓なりに反って…、促されるままに、クリスの口の中で果ててしまう。

「ん………んん……………んぅ……」

 残滓までなめとられて、ようやく解放された。

「無理をさせたな」
「ん……大丈夫……」

 少し呼吸が落ち着いてから、クリスが俺を抱きおこして、肌着ごとローブを脱がせてくれた。
 それからいつものクリスの服を着せられるのだと思ったら、首筋に、吸いつかれた。

「んっ」

 何箇所にも吸いつかれて、また息が熱くなる。

「………」

 唇を離してクリスがため息をついた。

「だめだな。触れたくなる」

 そう苦笑して、いつもの服を着せてくれた。いつもの肌触りにほっとする。
 そうして改めてベッドに押し倒されて…、体が沈み込んで息が漏れた。
 寝るのが楽だと感じるくらいには、体調は悪くなっている……のか、それとも、イかされた余韻なのか……、とにかく、身体は休息を求めてる。恥ずかしい…。
 クリスは俺に毛布をかけたあと、マントを取り、上着を脱ぎ捨てた。

「…クリス、左手…」
「ん?…ああ。もう血は止まってるから。気にするな」
「……気になるよ。なんで、あんなこと」
「魔法を切るためにはあれしかなかったからな。……すまなかった。驚かせたな」
「…うん。びっくりして…、何も考えられなくなった。……俺のクリスに、怪我させた原因があの人だと思ったら……、俺……」

 右手が、俺の頭を撫でる。

「俺のために怒ったんだろ。……ありがとう、アキ」

 クリスの手の温かさが心地よくて、目を閉じたとき、メリダさんが戻ってきた。

「アキラさん、パン粥は食べれそうですか?」
「あ、はい」
「よかった。食欲はそれなりにありそうですね。坊っちゃん、こちらに用意しておきますよ」
「頼む」
「坊っちゃんは左手をお出しなさい」
「いや…………………頼む」

 断ろうとしたクリスは、メリダさんの微笑む姿を見て、言葉を濁した。微笑んでるのに、メリダさんが怖い……。

「まったく…こんな傷を作って…!アキラさんが気にするでしょうに」

 そう言いながら、手際よく手当していく。
 クリスはまた苦笑した。

「それで、メリダ」
「ローブの処理ですね。お任せくださいな。折角のご衣装、駄目になどいたしません」
「……頼んだ」

 テキパキとこなすメリダさん。ご高齢とは思えない動き。

「では、私は一度退室しますが、何かありましたらいつでもお呼びくださいな」
「ありがとう。助かるよ」

 そしてメリダさんは一礼して部屋を出ていく。

「食べれるか?」
「ん…少し」

 抱き起こされて、クリスによりかかる。
 口に運ばれたパン粥を食べる。…いつもより甘いかもしれない。

「…うん、美味しい」
「今回はそれほどひどくないようだな」

 クリスは安心したように表情を崩した。

「ん……よくわかんないけど…」
「わからないままでいい。ほら」
「ん」

 ……結局、俺はクリスが居ればそれでいい、って思う。クリスのことが好きで仕方なくて。

「……婚約者、だ」

 改めて口にすると恥ずかしくなるけど嬉しくなる。つまり、ずっと、クリスの傍にいることが許されるってことで。

「どうした?」
「ん…これで、もっと一緒にいれるんだって思ったら、嬉しくて」
「そうだな。…これからも頼むよ、婚約者殿」
「はい」

 笑顔になれた。
 クリスも微笑んで、そっと、キスをしてくれた。


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