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第1章 魔法を使ったら王子サマに溺愛されました。
19 乙女モード炸裂中です
しおりを挟むやらかした。
盛大にやらかした!
早朝にひどくアレな夢を見た。
その夢は現実にも当然のように影響し、あろうことかクリスに処理してもらったとか、消え去りたいくらいに恥ずかしい。
しかも、2度目に目覚めたときには体が重くて熱を出してた、とか………、俺、本当にどうしようもないくらいに情けない。
「気分は?」
「……悪くない。眠いだけ」
大きな手が額にかかる。
少し冷たくて気持ちがいい。
でも、その手を妙に意識してしまって、どうしても狼狽えてしまう。
クリスが悪いわけじゃない。
どちらかといえば、俺がやらかしたせいであって。
「慣れないことで疲れたんだろ。出発まで休んでろ」
「でも…」
「そんなんで出てこられても、俺が仕事にならないんだよ」
苦笑された。
「…なんで?」
そしたら今度はため息。
「本気で聞いてるのか?」
「うん」
そしたら、また、ため息。
「お前のことが心配だからに決まってるだろ」
「っ!」
「全く…」
呆れた声。それから、触れるだけの口づけ。
ううう。だめ。
なんか、今の俺の中身、乙女っぽい。
もっとして、ってねだりそうになる。
胸の奥がきゅんきゅん(………)してやばい。
も、誰か助けてっ。
「水差しの中に果実水が入ってる」
「うん…」
「休んでいろよ?」
「うん……」
頷いたら、クリスが離れた。
やだ。離れたら寂しい。
「いってらっしゃい」
天幕から出ていこうとする背中を見て、思わずそう声をかけた。ほんとは、ここにいてほしい。けど、言えない。黙ったままいなくなる背中に、寂しさを感じてしまって。
クリスは何故か驚いたような顔をしたけど、すぐに笑顔になって「行ってくる」と言葉を残した。
…もしかして、習慣的にそういう挨拶ってないんだろうか?
まあ、返してくれたし、嫌そうな顔しなかったし、どちらでもいいや。
「……」
一人でいる天幕の中は静かだ。
昨日この世界に来た時以来の一人きり。
スライムに襲われたあたりから、俺の側には常にクリスがいた。ちょっと見上げれば笑顔に触れる距離で。
「……ちょっと……、寂しい……かな」
たった一日しか経っていないというのに、俺の、クリスへの警戒心のなさはどうなっているんだろう。
クリスは一目惚れした、って言ってた。
俺は…どうなんだろう。一目惚れ、では、ないと思うんだけど。でも、クリスのことが好き…………なんだと思う。多分、恐らく。不確かな確信。
…思考がめちゃくちゃだ。
クリスは俺によく触る。
俺は?クリスに触れたいと思ってる?
触れられるのは気持ちがいい。
触れたら…気持ちがいいだろうか?
クリスは俺のことを抱きたい、って、言った。意味はわかる。ちゃんと、わかってる。
夢の中のクリスは俺の願望だったんだろうか。優しくて、熱くて、激しくて。
「ん…」
なんとなく、尻の窄まりを服の上からなでてみた。
そこは明らかに小さくて、指だって入るかわからない。なのに、ここに、クリスのあれをいれる?
「…無理っ」
恥ずかしさで死ねる。
どうしようもない。思い出しただけで心臓が早くなる。
今朝、クリスはどう思ったんだろう。俺に触れて、嫌じゃなかったんだろうか。
クリスの手、すごく、気持ちが良くて…。
「ん」
体が落ち着かない。
…駄目だなぁ。休め、って、言われたのに。
何も初めてなわけじゃない。
ズボンの前を寛げて、下着の中に手を入れた。
「んっ」
硬くなっていたそれを、何となくクリスの手付きを思い出しながらしごいてみる。
「……っ、ぁ」
亀頭をいじり、竿を上下させる。…気持ちがいい。けど、なにか足りない。
何度もしごいているうちに、十分に硬く反り上がってきたのに、何度やってもいけない。
「………っ」
苦しさが増すだけで、あの蕩けるような解放感がやってこない。
息だけが荒くなる。
「なんで駄目かなぁ…」
クリスにされたときはあんなに気持ちよかったのに。
やめた。諦めよう。今は寝てしまおう。
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