上 下
19 / 560
第1章 魔法を使ったら王子サマに溺愛されました。

18 夢と現

しおりを挟む



 とても暖かくて気持ちが良かった。

『アキ』

 何度も口付けられて、腰を揺さぶられる。
 全身がクリスをもっと感じたいと悲鳴を上げてるようだった。

『は……、あ、あ』

 クリスが腰を打ち付けてくる度に、つながったその部分から湿った音が出る。俺の中でクリスが何度か果てているから、そんな音が出るのも当たり前で。

『アキ、可愛い』

 乳首をかじられた。
 悲鳴のような声が上がってしまうが、そこは痛みではなく快感を生んでいる。
 その証拠に、噛まれた瞬間、俺の中に入っているクリスの男根を思い切り締め上げていた。

『や……やだ……っ』

 俺自身が放ったもので腹部はもうどろどろだ。

『嫌ならやめる』

 ニヤリと笑ってクリスは体を離した。

『あ…』

 大きく足を広げられ、その奥に男根を咥えさせられたまま、見下される。
 耐えきれなくて手を伸ばしてクリスに抱きつく。

『きもちいいから』

 涙声だ。

『もっと』
『もっと、なんだ?』
『………もっと、きもちよくさせて……』

 クリスが笑った。
 俺の中に埋め込まれた男根は、また一回り大きくなった。

『ん、ん』

 軽く腰を揺らしながら、クリスは俺を支えたまま仰向けになってしまう。

『ひ……っ』

 クリスの上に跨るような格好になって、自分の重みで更に深いところまでクリスの男根を迎え入れる羽目になってしまった。

『あ、あ、やだ、深…いっ』
『気持ちいいだろう?』

 クリスが下から突き上げてきた。

『ひぅ…っ』

 気がついたら自分の腰も揺れていた。
 クリスの動きに合わせて、もっと快楽が得られるように。

『あ、あ、いく、いくぅぅ』
『アキ』

 体を起こしたクリスが、俺の耳の中に舌をねじ込んできた。

『いけ』
『………っ、あ、あ、ああああーーーっ!!』
『…っ、く………』

 ドクドクと中に注がれるクリスの体液。
 俺のそこからは、たらたらと薄い白濁のものが流れ出るだけだ。イかされ続けて出るものもなくなっているらしい。

『クリス……クリス……好き…もっと、もっと欲しいっ』
『ああ。俺も愛してる。アキが欲しいだけしてやる』
『うん…うんっ』

 抜かれることはないまま、またクリスが動き出した。

『クリス……大好き……愛してる』







「――――っ!!!」

 物凄く唐突に目が覚めた。
 日が昇ったようで、天幕の中も明るくなっている。
 それよりも何よりも、俺、なんて夢見てるんだよ…っ!?
 心臓がバクバクして体が熱い。

「――――」

 すぐ近くから声がした。
 よくよく見ると、たくましい胸元が目の前にある。

「うわ…っ」

 夢と重なった。
 いや、本当にあれは夢だったのか。

「…っ、クリス、離して」

 あんな夢を見てしまったからか、自分の下半身がとてもまずいことになってる自覚があった。
 離してって言ってるのに、クリスは聞こえていないのか、更に体を引き寄せ、太腿を俺の足の間に割り込ませてきた。

「ちょっ…」

 そんなことされたらまじやばいから!!

「――――」
「何言ってんのかわかんない!!とにかく、離してっ」

 そこで、はたと、クリスの動きが止まった。
 少しホッとして見上げたら、クリスの「思い出した」みたいな表情と出くわした。

「なに……………んっ!?」

 同じ目線の高さまで引き上げられ、のしかかってきたと思ったら、唇を重ねられた。
 すぐに舌が入り込み、勝手気ままに暴れだした。

「ん、んん、は、あ…」

 深い口づけについうっかり身を委ねていたら、クリスが徐に腰を揺らし始めた。

「ちょ…っ」

 文句を言うのに唇を離そうとしたら、あっという間に塞がれる。
 その間も腰は動いて下腹部を刺激してくるものだから、頭の中が真っ赤に染まっていくようだった。

「や…」

 自分の意志とは関係なく、体がビクビク跳ねる。
 そのうち、口の中に流し込まれ溜まった唾液を飲み込んだ。そうしないと苦しくて。

「クリス……ゃだ…ぁ」

 涙声になってしまった。
 頭がおかしくなるんじゃないかと思うほどに、気持ちが良すぎて。

「やめたほうがいい?」

 耳元の甘い声。
 ゾクゾクと背中が震えた。

「今やめたらつらいのはアキの方だぞ」
「…だって」

 恥ずかしいじゃないか。

「アキ」

 耳元の声は反則だ。

「ズボンの前をくつろげて。下着が汚れてしまう」

 ……着替えがないから、正直、それは困る。けど、多分、もう色々遅い。

「アキ」

 熱っぽく呼ばれて喉が鳴った。
 震える指先で、ズボンのホックを外してファスナーをさげる。

「いい子だ」

 クリスの手がすぐに入り込んできた。

「っ」
「ああ…もう遅かったか」

 直接触れられた。
 軽く握られただけなのに、ビリビリとした快感が体を走り抜けた。

「アキ…愛してる」
「……ぁっ」

 下着ごとズボンが引き降ろされた。

「っ」

 もう恥ずかしすぎて死にそう…っ。
 ぎゅっと閉じた目から、涙が落ちてしまった。

「アキ」

 目元に唇の感触。

「これ以上のことはしない。大丈夫。ここにいるのは俺とアキだけだ」
「……クリスっ」
「処理をするだけ。わかるか?」

 コクコクと頷くしかない。
 クリスの手が俺のものを軽く上下にしごき始めた。

「ん…っ、ぁ、ぁ」
「きもちいい?」
「う、ん」

 まだ涙が流れてる目元に、絶え間なく口づけられる。
 手の動きが早くなるにつれて、射精感が強くなった。

「ぁ、くりす……くりすっ」
「イけ」
「ひぁっ、あ、ああっ」

 クリスに思い切りしがみついていた。
 ビクンビクンと腰が震え、クリスの手に擦り付けるような形になってしまった。

「ん……っ、は、ぁ…」

 心地よい疲労感が体を満たしていく。

「くりす……」
「もう少し眠れ」
「ん…」

 耳元の甘い声。この声、好きだ。
 意識が遠のいていく。

「くりす………」
「ん?」
「………………好き…………………………かも………………」
「っ」

 夢と現実があやふやで。
 自分が何を口走っていたのか理解してなくて。
 すぐに眠りに落ちてしまったから、このときクリスがどんな顔をしていたのか、見ることができなかったけど。

「だから、それは反則だ…アキ」

 って、つぶやきが聞こえた気がした。


しおりを挟む
感想 541

あなたにおすすめの小説

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!

天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。 なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____ 過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定 要所要所シリアスが入ります。

大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!

みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。 そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。 初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが…… 架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!

棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

処理中です...