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親友を拘束して目隠しして襲ってしまった side:智大
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しおりを挟むあたためればすぐ食べれる夕飯を準備した。
「ただいまー」
7時頃、パパとけい君が2人で帰ってきた。
「おかえりなさい!」
定番の抱きつき挨拶して、くすって笑われる。
「智大、征人君来てるの?」
「うん。なんか、疲れてるっぽくて、僕の部屋で寝てるよ」
けい君に抱きついてから、パパに抱きつくと、けい君は僕の頭を撫でてくれる。
「7時ころには帰ってくるって言ったんだけど、なんか、起こすの可哀想で」
「ん。まだいいよ。ご飯、ありがと、ちーちゃん」
「ふふ」
パパから離れて、あ、って思って、じっと見上げた。
「ん?」
「んと……、あのね、パパ」
「なに?」
「まさ……、なんか、悩んでるみたいで……」
「んー?パパになにか聞いてもらいたいの?」
「まさは何も言わなかったけど、……聞いてあげて?」
まさの了承もなしに、勃起しない、って言ってたなんて言えないから、すごく濁したいいかたになっちゃったけど……。
「智大のお願いだからね。臨時カウンセラーにでもなろうかな」
「臨時も何も、本職でしょ、奏汰さん」
「心療内科領域は専門外」
冗談交じりに2人で言いながら、着替えのために部屋に入って行った。
あ、けい君に、服借りたこと言ってないや。
結局、まさを起こしたのは8時近く。
何故か食卓まで手を繋がれた。
すごく嬉しいけど、恥ずかしい…。
僕がまさと手を繋いでいるのを見て、けい君は声に出さなくても生暖かい目で見てくるし…。
「あ、この味付け好き」
って。
美味しいって言いながら、まさ、沢山食べてくれて。
けい君が作ったと思ってるんだろうな。今までも何回か僕が作ってたけど。それも美味しいって言ってくれて、僕、こっそりガッツポーズしてたよ。
それで、だいたい食べ終わって、お茶を飲んでるあたりで、パパが話を切り出した。
でも、まさは踏ん切りがつかないのか、言いよどむばかりだから、勃たないって言って泣いてたって暴露したら、もう諦めたみたいで、淡々と、話し始めたんだけど。
……やっぱり彼女さんと今日もしようとしてたとか、自慰の時に彼女さんの体思い浮かべたとか聞いてしまったら……、胸の中、痛くて、どうしょうもなくて。
……お風呂行ってくる、って言って、その場から逃げた。
だって、聞きたくなかったから。
……聞かなきゃよかった。
今まで、まさから直接、彼女さんと『してる』って話は聞いたことがなくて。してるだろうなぁ…とは、思っていたけど。
だから、余計に、現実を突きつけられた感じがして。
「智大」
けい君が、追いかけてきてくれて。
ぎゅって、抱きしめてくれて。
「……大丈夫?」
「……じゃ、ないよぅ……むね、いたい……っ」
「うん……ごめんね。やっぱり智大を連れて席を離れるべきだったね」
涙がポロポロ落ちてきて、とめられない。
やっぱりまさにとっては女の子が一番で。抱きしめるのも、キスするのも、セックスするのも、女の子で。
それは、ごく自然なことで。
「まさ………まさぁ………」
泣いても泣いても、涙が消えない。
僕が願っているのは、その『自然なこと』に反すること。そんなのは、わかってるけど、わかってるけど、恋、してしまったから。
泣いて、泣いて。
頭の中、ぼぅっとして。
「けい君」
「…ん?」
「僕……、まさに、抱かれたい」
「智大」
「女の子の代わりでいい。勃たない…って言ってたから、もし僕で勃ったら、僕のこと、女の子の代わりに、抱いてくれる……よね…?」
「智大、それは」
「どんなにやっても駄目だったら……諦める。けど、もしかしたら、僕のこと、女の子だと思ってくれたら」
「智大っ」
「僕………女の子に生まれれば良かった。そしたら、誰にも負けないって、胸はって、まさに告白もできるのに。好き、って言えたのに」
こんなこと、考えたって仕方ないのはわかってる。僕は、男だから。心は女の子なんだとか、そういうことじゃないから。
僕は男だけど、格好いいまさを、好きで。
ただ、女の子だっていうだけで、まさの隣に居れる子たちが、羨ましいだけで。
「目隠ししたらいい?手も縛って…、僕が、声、出さなかったら、女の子って、思ってくれる…?」
「智大……でも、そんなことしたら、傷つくのは智大だよ…?智大が思ってることをやったら……、もう友達には戻れないよ?」
「……うん。いい。パパとけい君には迷惑かけちゃうけど、まさに拒絶されたら、僕、他の学校に行く。……まさに会うの、辛くなるから」
会えなくなるのも、辛いから。きっと、沢山泣いてしまうけど。
「でも、今も辛くて、もう、痛くて、どうしようもなくて、もう、ごちゃごちゃで、ほんとに、わけわかんなくて」
「うん、わかる……わかるよ」
だって、もう、苦しすぎて。
この先も、女の子とするまさを思い浮かべていくのかと思ったら、もう、終わってもいいと思ってしまうくらい、つらくて。
終わってしまうなら、最後に一度だけでも、僕の中にまさを刻みつけたっていいじゃないか、って。
………もしかしたら、もしかしたら、僕の体を気に入ってくれるかも、しれない、し。
「……どうしても?」
「……うん。どうしても」
けい君は少し諦めたふうに、ため息をついた。
「じゃあ、俺が準備してあげる。智大はお風呂に行っておいで」
「ん…、ありがとう、けい君」
笑ったら、また、涙が落ちた。
けい君は僕をもう一度抱きしめてくれた。
「俺は……智大には傷ついてもらいたくないんだよ。大事な、家族だから」
「うん」
「でも、智大の悩みも痛みもわかるから…」
「うん…、ありがとう」
今度こそ本当に離れて。
けい君は自分の部屋に行って、僕はお風呂場に向かった。
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