女好きの親友に恋した僕と、女好きなのに親友に恋した俺の話

ゆずは

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親友を拘束して目隠しして襲ってしまった side:智大

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 7月に入って考えることって、とりあえず夏休みだよね。

「んー……」

 夏休み、今までは楽しみだったのに、今年は全然楽しみじゃない。
 まさに会える日が少なくなる。
 学校に行けば、平日は必ず会えたのに。夏休みだと、遊ぶ約束とかしない限り会えない。
 毎日毎日誘うわけに行かないし、誘える訳がなくて。
 ……夏休みなんて、なくなればいいのに。

 今日は金曜日だけど、まさは今日うちには寄らなかった。

 きっと、彼女さんと、いるんだ。
 ……する、の、かな。
 ……いいなぁ。

 まさが、僕じゃない人にキスをして、僕じゃない人の身体を触って、射精、して。

「………抱かれ、たい」

 口に出してしまった言葉は、もう、ほんと、どうしようもないくらい僕を追い詰める。
 あの、泣いてしまった日。抱きしめてくれた腕の力強さとか。匂い、とか。

「ん……」

 短パンの中に手を突っ込んで、僕のそこを触った。

「まさ……まさと……」

 あの目にまっすぐ見つめられて。

『好き』

 って、言われたら。
 言ってくれたら。

「ん……きもち、いい……」

 固くなって、濡れてきて。

「まさと………イく……イ……」

 ビクンって体が震えて、イきそうになったとき、家の中にピンポン音が鳴り響いた。…それも、何回も何回も。
 あまりのことにびっくりしすぎて、僕のそこはすっかり萎えて、こんなことするのは一人くらいしか思い浮かばないけど、今は彼女さんと一緒にいるんじゃなかったの……って思いながら、服を整えて手をきれいにしてから、玄関に向かった。

 ……鍵、開けた瞬間に玄関のドアを引かれて、

「ちひろ……助けて!?」

 ……って、まさに抱きつかれた。

 ぐだぐだでなんか愚図ってるまさを、とりあえず居間に連れて行こうと思ったら、まさから女の子の匂いがしてきた。体臭なのか、香水なのか。よくわからない、まさに似合わない甘ったるい匂い。

「なんか香水とか?色々臭い。シャワー入ってきて!」
「うぉ、ごめん…」

 女の子の匂いなんて、嫌だ。
 まさをさっさとお風呂場に行かせて、勝手にパパとけい君の部屋に入ってクローゼットの中からけい君の服を引っ張り出す。
 急いでお風呂場に行ったら、シャワーの音がしてた。

「まさー、服、おいておくからね」

 って声かけたら、

「あー、うん。ありがと」

 ……っていきなりドアを開けるもんだから、真っ裸のまさと、目が、合って。

「ちょ、なんで開けるのさ!」
「いや、礼を…」
「もー、いいから、さっさと閉めて!!ちゃんとシャワーしてよ!」
「智大、真っ赤」
「も~~~~っ」

 バタン!ってドア閉めて、脱衣所から出た。

「も……うそ……」

 心臓、ドキドキしてる。
 耐えられなくて、ずるずるとその場にうずくまって、じっとしてた。
 だって。
 まさ…やっぱりすごく格好いいし、体、すごいし……。
 触ったら……気持ちよさそう、とか。
 勃ったら、すごいんだろうな…とか。
 僕のと、全然違う。

「ううう」

 けい君に聞かれたときに、キスの先なんて考えられないって言ったけど、全然そんなことない。
 すごく、すごく、抱かれ、たい。

「もー……」

 よいしょって勢いをつけて立ち上がって、台所に向かった。
 パパとけい君、今日はちょっと遅くなりそうだから、夕飯の準備しないと。
 まさ…食べていくかな。
 何作ったら喜んでくれるかな…って思いながら、冷蔵庫の中を確認した。





 作るもの決めて、少し準備して。
 ふと手を止めて、あれ?と思う。

「まさ……遅い?」

 何かあったのかもと思ってお風呂場に向かって、シャワーの音とかしてなくて、でも上がった形跡はなくて。

「…まさぁ……、随分長いけど……」

 そーっとほんの少しだけドアを開けたら、まさが、体育座りな状態でうなだれてた。
 なんで。どーして。
 湯あたりとか体調悪いとか思ってたら、ものすごく聞いたことのないような情けない声を出した。

「勃たないんだよ……っ」

 ………って言われて、もう、僕の、なんて言っていいかわかんなくて。

「………ちひろ、なんかいって………」
「…っ、えっと」

 なんかって、何言えばいいわけ?
 ふざけてる様子はないし、まさはかなり真剣だし。

「え………っと」

 慰める?でも、無責任なこと言えない。
 それに、女の子とっかえひっかえしてるまさに限って、絶対そんなことないと思って。
 なにバカなこと言ってるんだろう…と、思って。

「……バカなの?」

 って言っちゃった。

「………ひどい……。ちひろがいじめる……」

 ていうか、それでうちに来たときからなんか様子がおかしかったのかな。
 裸のまさ見てたら、僕の方がやばくなりそうだから、あんまり傍に行きたくないのに、まさは動こうとしないし。
 仕方ないから浴室に入って、肩に触ったらすごく冷たくてびっくりして、大急ぎでちょっと熱いシャワーを出して、まさの頭からかけた。

「ちひろぉ……」
「手間かけすぎっ。明日土曜日だからいいけどさ……」

 なんとなく、頭も撫でる。
 パパとけい君が、僕によくしてくれるから。
 多分あったまったまさに手を出したら、握ってくれて、どきんって心臓がなった。
 出来るだけまさの体……特に下半身には目をやらないように気をつけて、体を拭いて、頭も拭いてあげる。少しあらっぽくなったのは、仕方ない。

 けい君の服と、開けてない新しい下着をまさに押し付けて、僕は脱衣所を出た。
 顔が熱くなってて、真っ赤かもしれない。
 大急ぎでコップにスポーツドリンクを注いで、お風呂場まで持っていった。
 出てきたまさにコップを渡したら、一気飲み。
 飲むたびに動く喉元に、目が吸い寄せられて、慌てて下を向いた。

 居間か僕の部屋か聞いたら、即答で僕の部屋というから、一緒に部屋に行く。
 ん…。今日も、変なとこは、ない、はず。

「……なんか疲れた」
「寝てていいよ。夕飯、食べていきなよ。7時ころにはパパもけい君も帰ってくるから」
「智大のベッド、いい?」
「…………いい、けど」
「サンキュ」

 ……僕、挙動不審になってない?
 大丈夫?
 まさが、僕のベッドに寝転んでる。
 いつも僕が使う枕に、顔を押し当ててる。
 どうしよう。
 心のなか、台風並みに大荒れだ……っ。

「おやすみ」
「ん、おやすみ」

 でもなんとか叫ばずに慌てずに、目を閉じたまさに肌掛けをかけた。
 そしたら、なんか嬉しそうな顔をしてて。
 これくらいいいよね……って思いながら、何度も頭を撫でてみた。
 嫌がられることはなくて。むしろ、気持ちよさそうに寝息が聞こえてきて。






 思わず、額に、キス、してた。











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