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抱きまくらの蜜月
抱きまくらの住まいはベッドの上でした
しおりを挟む「あ、あ…っ」
「シュリ、腰をあげて」
「や…ぁんっ、ファビさま、あ、むり、むり…です…っ」
「無理じゃない。ほら、奥まで入る」
「ひゃ…ひゃ…っ、ぁんっ、あっ」
ファビ様の大きな手が、僕の腰を掴んで持ち上げた。
腕に膝裏がかかっているから、うつ伏せになってる僕は、顔をシーツに押し付けて、手をついているだけ。膝も腰も、完全に浮いてしまってる。
ファビ様、もしかして何か魔術を使っているのかな。確かに僕は小柄だけど、こんな簡単に持ち上げられるなんて。
「イく……、ふぁび、さまっ、も…や、あぁっ」
「可愛いよシュリ」
「ひゃあああ……っ!」
すごく奥まで突き上げられて、お腹の奥に熱いしぶきが広がっていく。
僕のそこからも何かが噴き出した。
は…は…って息をついていたら、ゆっくりと腰が下ろされて、膝がベッドについた。
「あ……ん、あ、ん」
ゆっくりゆっくり、ファビ様の腰が動く。
ファビ様の雄々しい物は、僕の中で柔らかくもなっていなくて、ずりずりと敏感な内側をこすり続けていた。
「や…むり……も、むり……っ」
「大丈夫だ。ゆっくりするから」
「やぁ…っ」
そうじゃないです……って言いたくても言えない。
ファビ様はお言葉通り『ゆっくり』だったけど、そうしながら、僕の体を簡単にひっくり返してしまった。
ゆっくり、腰を打ち付けて、ゆっくり、腰を引きながら。
「ひぅっ、ひぅっ」
「シュリ……可愛い私の伴侶」
ぎゅって抱きしめられると、逞しいファビ様の体にすっぽりと僕の体は収まってしまう。
ファビ様の体が熱い。しっとり汗ばんでいて心地いい。
「眠い?」
「んぁ……、あ、きもち、いい……です」
ファビ様がくすっと笑う。
「少し眠りなさい」
優しい声。
お腹の奥が熱くて仕方ないけど。
裸の胸にしがみつく。僕が一番安心できる場所で、僕の一番大事な仕事の場所。
相変わらずファビ様はゆっくりゆっくり腰を動かしているけれど、とくとくって聞こえてくるファビ様の心臓の音に、僕は目を閉じる。
僕は抱きまくらだから、ファビ様も少し眠ってくれるかな……?
婚姻証明をいただいて、三日後に婚姻式をすると言われた翌日。
僕は朝からずっとベッドの上にいた。
……や、朝からじゃない。もう、昨日から、ずっと。
ひな鳥のようにファビ様に朝食を口に入れられて、ラウドリアス様とのお話も終わってから、僕はベッドの上にいる。
僕はファビ様の抱きまくらだけど奥様でもあるから、とにかくファビ様のお傍にいるのが仕事。僕にしかできないことが、僕はすごく嬉しい。
神殿に認められた『夫婦』だから、僕がファビ様に抱かれることも普通のこと。
ファビ様にささやかれる「愛してる」も「可愛い」も、大好き。
僕もファビ様のことが好き。
逞しいお体に抱き込まれるとほっとするし、甘い匂いを嗅ぐのも好き。僕のことを見つめる瞳が綺麗。誰よりも何よりも、僕のことを大切にしてくれる。
だから、抱かれることは嫌でもないし、拒むつもりもないのだけど、……本当にこのままでいいのかな……?
抱かれて気持ちよくなって、いつの間にか寝ていて、起きたらファビ様が目の前にいて、それでまた抱かれて、眠ってまた起きて…時々、お腹の奥が気持ちよくなって目が覚めて、いつの間にか用意されてる軽食をファビ様のお膝の上で促されるままに口にいれて、僕のお腹が落ち着いたら埋まったままの雄々しい物がゆっくりと動き始める。
……お風呂にも行ってない。シーツの交換もしていない。もしかしたら、僕が眠ってる間にしているのかもしれないけど、なんにもしていないのに、目が覚めたら体は綺麗になっているし、シーツも綺麗になっている。
それから、僕、おトイレに行っていない。でも、お腹は苦しくない。
……なんで?
そんな疑問は、初日には思い浮かばなかった。
ファビ様に愛されることでいっぱいで、嬉しくて幸せで、それしか考えられなかったから。
だから、ふと目が覚めて、目の前に僕を抱き込むファビ様の裸の胸元が見えて、しっかり考えることができて気になったんだ。
翌日……って思ったけど、多分、翌日……だと思う。
夜は一回しか過ぎていなかった気がするから。
早朝に一度起きたけど、すぐにファビ様に抱き込まれて、朝陽が昇っても離してもらえなかった。
そして今また目が覚めたけど、多分、もうすぐお昼。
ファビ様は……まだ眠ってる。
朝食を…僕は食べてない。ファビ様も食べてない?だったら、昼食の準備くらい僕がしてもいいかな…?
そっと、ファビ様の腕を持ち上げた。
寝息が聞こえてくるから、大丈夫。起こしてない。
シーツや毛布を体に巻いて部屋を出ることは駄目だと、ラウドリアス様や執事様から言われた。
僕の服は……って見たけど、すぐに見つけられない。
裸のままで部屋の外に出ることはできないから、クローゼットの中を確認しよう。
大きなベッドを静かに移動して、ベッドの端まで進んだ。
そっと、そっと。
音を立てないように。
慎重に慎重にベッドから足を下ろして立ち上がろうとしたとき、後ろから伸びてきた腕に腰を取られて、ベッドに逆戻りした。
「うわ…っ」
「どこに行く?」
「ファビ様」
「また逃げ出すのか?」
「逃げる……?」
「逃げ出しただろ。まだ私が信じられない?シュリの誤解を解けていないのか?」
眉を寄せたファビ様の表情は、なんだかとても悲しそうだった。
「あ、あの、違います…っ、逃げるとか、そんなんじゃなくて…っ」
「じゃあどうして出ていこうとしている?」
「えと……、食事の準備をしようと思って……」
ファビ様のために、それくらいは僕がしたかったから。
「腹が減ったのか?だったら持ってきてもらおう」
「や、えと」
「シュリはここから出るな。私の傍にいてくれればいいから」
「…ここ?」
「そうだ。ベッドから出なくていい。服もいらない。お前のことは全部俺が面倒を見るし、食事も運んでもらう」
「でも……お風呂とか……その……トイレとか……」
「風呂に入りたいのか?…不快さはないと思うが、風呂に入りたいのなら私が連れていく。トイレなんて行かなくていい。顔を真っ赤にして漏らすお前が酷く可愛い」
「うううう」
なんかとても恥ずかしくなることを言われた。
…僕は知らなかったけれど、清潔も排泄も、ファビ様の魔術でどうにかなっていたらしい。それを知ったのはもう少し後だけど。
どうやら僕は本当にベッドから降りられないらしい。
抱きまくらで奥様だから……ベッドに住むのが当たり前、なのかな……?
*****
伯爵様、相変わらず(;^ω^)
不定期でもうちょっと続けようと思います!
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なんとファビ様、妻(シュリ)に関してはヘッポコでしたね😅
そしてどこか斜め上思考のシュリ…。
これは執事さん、引退出来ない💦
よく結婚式も、参列者、間に合いましたね💧
そして、何故か弟の婚約者、リアさんと同じ何かを感じますw(たぶん腐系)
ファビ様とシュリのデートも見てみたいような…。
きっと執事さんも皆も心配で、ついていきそうですが(後方からこっそりと)
ファビ様すぐ気づきそうですが、シュリは気づかないですね、たぶん。後ろからジェスチャーで指示を出しそうな使用人の皆さん…楽しそう(妄想です)
そのデート楽しそうです!
前夜、シュリが眠ったあとに弟と執事さんからデートのレクチャー受けつつ、当日もジェスチャーされ、それでも何かしらの暴走する旦那様。
でもシュリは旦那様のすることは全て肯定派なので、「ファビ様すごい!(格好いい!)」と大はしゃぎ……。ああ、目に浮かびます(笑)
ぜひとも書きたいです✨
ゆずはさま🌸
お元気そうで💗良かったです☺️
お身体大事に~😆🥰
更新ありがとございます🎵
どの作品の続きでも嬉しい😃💕です❣️
此れからも頑張って下さいませ💖
応援👊😄📢
🐸❣️
ありがとうございます✨
体調気をつけながら頑張ります✨✨
いつも楽しく読ませてもらっています。
続いているのがうれしい😄
シュリがんばれー。
ファビ様は、うん、やっぱりな感じですね。
また、みんなに怒られる😂に違いない。
はい。ファビ様、怒られます(笑)
シュリエピソードで書きたくなったものがいくつかあるので、またお付き合いくださいな^^