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十幕 アデラール*7

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 閨事の実践……て、もしかして、他の誰かを抱いた?イヴが?僕じゃない誰かを?

「ひぅ……っ」
「アデラール様?」
「ふぇ……っ」
「アデラール様!?」
「イヴ……ひどい……っ、イヴの馬鹿ぁ……っ」
「え!?」
「ぼ、ぼく、ずっとイヴのこと待ってたのに……っ、イヴがぼくじゃない人、抱いてたなんて……っ、溜まるのはわかるよっ、戦闘の後だって滾っちゃうのはわかるよっ、でも、でもっ、そんなのぼくはやだ……っ」
「いや、まって、まってください、アデラール様っ、僕、他人を抱いたりしてません!抱くのも抱かれるのもアデラール様だけって決めてるんですから…!!」
「……だって、じっせん重ねた、て」
「誤解です!……あ、いや、実践は重ねました。アデラール様に万が一でも痛い思いはしてほしくなかったし、下手だって思われたくなかったし……っ」
「じゃ……」
「全部、自分の身体で試しましたよ」
「自分の……身体?」
「はい。乳首のいじり方も力加減も、陰茎の扱き方も、前立腺の位置も、それから」

 やおら、イヴの手が僕のお尻に回されて、小さく硬く閉じた窄まりを指で撫でられた。

「ひゃん…!?」
「ここを綺麗にする魔法も、濡らす魔法も、ほぐす魔法も、全部覚えました」

 ……いや、本格的にそんな魔法聞いたことないんですけどっ。

「さすがに舐めたりはできなかったので、道具を使ったりはしましたけど。頑張りました」

 ……僕の他の誰かを抱いたわけじゃないってことは安心できたけど……、イヴの頑張りの方向性がよくわかんなくなってきた……。

「誤解、解けましたか?」
「うん……」
「よかった」

 イヴは嬉しそうに笑う。
 なんとなくだけど、イヴが僕に嘘をつくよことはない、って信じられる。
 頑張りの方向性は置いといて、僕たちは初めて同士なんだから、全部手探りで、でも知識だけは十分あるから、二人のペースで進めばいいんだ……って半ば納得しかけたとき。
 僕は何故か反転させられていた。

「えっ、イヴっ」
「大丈夫です、任せてください」

 うつ伏せで、腰だけを高くした姿勢。
 頭がこの状況を理解しきれないうちに、お尻にイヴの手が添えられて左右に割り広げられた。

「!!」
「ああ……想像通り……、いえ、想像以上です。アデラール様の蕾はなんて清楚で綺麗なんでしょう……!」

 改めて、イヴの目に僕の恥ずかしいところが全部見られてるってことに気づいた。気づいてしまうと、この姿勢はひどく恥ずかしいものだと思ってしまい、顔どころか全身が熱くなっていく。

「イ、イヴっ、や、やだっ、これ、やあっ、は、ずかしい…っ」
「可愛い……アデラール様……」
「ひぁ…!?」

 熱くて湿ったものが僕のそこを舐めた。
 ……舐めた。

「やぁっ、いゔ、やだっ、きたない……からぁっ」
「ふふ……綺麗ですよ」

 僕のお尻に顔を埋めながら笑わないでほしいんだけど!

「僕、頑張って舌先からも魔法が使えるようになったんですよ。もちろん無詠唱です。……まあ、アデラール様のここをほぐすときにしか使いませんけどね」

 閨事に特化した魔法訓練ってことですか…!
 舌って!
 舌先って!!

「あんんん……!!」

 にゅるっと、僕のそこに弾力のある熱いものが入り込んできた。
 ……イヴの舌なんだな……って、理解はできても恥ずかしさは更に強くなる。
 逃げ出そうにもイヴの手は力強くてほんの僅かにも腰を動かすことができない。でも、軽く左右に揺することはできて、繰り返せば逃れられるか……と思ったとき、イヴの笑い声が聞こえてきて、はたっと、これじゃ腰を振りながらおねだりしてるみたいだってことに気付かされた。

「ふふ…。おねだりは終わりですか?」
「お、ねだり……ちがぅ……っ、っ、ひぁっ、あ、あんんっ」
「もっと気持ちよくなって、アデラール様」

 ぐにゅっと、一旦出てた舌がまた挿入された。
 内壁をぐるりと舐められる感覚に、声が止まらなくなる。
 そのうち、一度達した僕のものを、イヴの大きな手が包みこんでしごき始めた。
 そこからもぬちゃぬちゃと音がしてるから、射精したあとまたぽたぽた流れてるんだと思う。

「あぅ……っ、あんっ、あ、あっ、いゔ、い……あっ」

 舌が限界まで差し込まれたとき、お腹の中がぶわっと暖かくなった。それから、わずかに重くなるような感覚。
 ぬちゃぬちゃって水音の中に、じゅるじゅるって何かを啜るような音が混ざる。

「ひっ、ひぁっ、あ、あっ、なにっ、あん……あー……っ」

 唐突に舌が抜かれて、もっと質量のあるものが奥まで入ってきた。
 ……多分、指、なんだけど。

「痛いですか?」
「いた……く、なぃ……っ」
「気持ちいい?」
「ん……っ、い、ぃ…っ」
「よかった。魔法もちゃんと効いてますね。力が抜けて……今すぐにでも挿れることができそうです。……でも、ほら、ここ」
「あああ……!?」

 何本かの指が、お腹側の一点をグニグニ潰すように撫でたとき、僕の腰はぶるぶる震えた。

「ここが前立腺。……僕と同じような場所ですね」
「あ、あ、あっ」
「……感度を上げる魔法とか……、いいですね。アデラール様が乱れる姿をもっと見たい……!」
「ひぁっ、あんっ、あ、あっ、イく、い…あ、ああー……!!!」

 これ以上感度上げるとかイヴは鬼かな!?なんて言葉は出てこなくて。絶妙な力加減で前立腺を撫でられて、僕は頭の中まで痺れるような快感に襲われた。
 イヴの片手が吐き出された僕のものを受け止めてる。……いや、受け止めてるんじゃない。ひくひくしてるそこを撫でて、先の方をゆるゆるいじり続けてる。

「あ、や、イった、あ、だめ……っ、いゔ、て、はなし、てぇっ、あんんんっ」
「背中が薔薇色です……。本当にアデラール様はどこもかしこも綺麗です」

 うっとりと言われて、頭の中が熱くなってる僕はそれにまともに返すことができなくて。
 イヴは僕の股間のものをいじる手を止めないし、前立腺だってずっとくにくにといじったままだ。

「あ、あっ、また、またっ、いく、い……あんん、ああんんんっ」

 立て続けに三度目の白濁を噴き出した。……多分、もう、そんなに色がついてないんじゃないかな。
 でもイヴは『まだだ』とでもいうように、手を止めてくれない。
 快感が引ける前に次の快感に襲われる。
 終わらない。
 心臓が苦しくて。
 ……そしたら、お腹の奥から何かがぐわっと込み上げてくる感覚。

「て、て、やめ、てっ、いゔっ」
「気持ちいいでしょう?」
「だめぇ……っ、もれちゃう、から……っ、や、やだっ、やだっ、いゔ……っ」

 尿意のようなものが込み上げてくる。
 さすがに眼の前で漏らすのは恥ずかしすぎるしいたたまれない。
 閨の最中だけどなんとかトイレに行って……と思いながら腰をよじったけれど、僕は開放されなかった。

「いゔ……っ」
「漏らして」

 背中にあたるイヴの体温。
 耳もとに吹きかけられる熱い吐息。
 僕のものを扱く手と、前立腺をいじる手。
 ……腹筋と背筋がすごいな……ってところは、今感心するところではなく。

「ひゃああんんん……!!!」

 全身を震わせながら、プシャッ、プシャッと僕のそこは何かを噴き出した。
 駆け抜ける強烈な快感に意識を飛ばしかけながら、あ、これ、潮だ……なんて、冷静に分析する僕がいた。



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