10 / 12
十幕 アデラール*7
しおりを挟む閨事の実践……て、もしかして、他の誰かを抱いた?イヴが?僕じゃない誰かを?
「ひぅ……っ」
「アデラール様?」
「ふぇ……っ」
「アデラール様!?」
「イヴ……ひどい……っ、イヴの馬鹿ぁ……っ」
「え!?」
「ぼ、ぼく、ずっとイヴのこと待ってたのに……っ、イヴがぼくじゃない人、抱いてたなんて……っ、溜まるのはわかるよっ、戦闘の後だって滾っちゃうのはわかるよっ、でも、でもっ、そんなのぼくはやだ……っ」
「いや、まって、まってください、アデラール様っ、僕、他人を抱いたりしてません!抱くのも抱かれるのもアデラール様だけって決めてるんですから…!!」
「……だって、じっせん重ねた、て」
「誤解です!……あ、いや、実践は重ねました。アデラール様に万が一でも痛い思いはしてほしくなかったし、下手だって思われたくなかったし……っ」
「じゃ……」
「全部、自分の身体で試しましたよ」
「自分の……身体?」
「はい。乳首のいじり方も力加減も、陰茎の扱き方も、前立腺の位置も、それから」
やおら、イヴの手が僕のお尻に回されて、小さく硬く閉じた窄まりを指で撫でられた。
「ひゃん…!?」
「ここを綺麗にする魔法も、濡らす魔法も、ほぐす魔法も、全部覚えました」
……いや、本格的にそんな魔法聞いたことないんですけどっ。
「さすがに舐めたりはできなかったので、道具を使ったりはしましたけど。頑張りました」
……僕の他の誰かを抱いたわけじゃないってことは安心できたけど……、イヴの頑張りの方向性がよくわかんなくなってきた……。
「誤解、解けましたか?」
「うん……」
「よかった」
イヴは嬉しそうに笑う。
なんとなくだけど、イヴが僕に嘘をつくよことはない、って信じられる。
頑張りの方向性は置いといて、僕たちは初めて同士なんだから、全部手探りで、でも知識だけは十分あるから、二人のペースで進めばいいんだ……って半ば納得しかけたとき。
僕は何故か反転させられていた。
「えっ、イヴっ」
「大丈夫です、任せてください」
うつ伏せで、腰だけを高くした姿勢。
頭がこの状況を理解しきれないうちに、お尻にイヴの手が添えられて左右に割り広げられた。
「!!」
「ああ……想像通り……、いえ、想像以上です。アデラール様の蕾はなんて清楚で綺麗なんでしょう……!」
改めて、イヴの目に僕の恥ずかしいところが全部見られてるってことに気づいた。気づいてしまうと、この姿勢はひどく恥ずかしいものだと思ってしまい、顔どころか全身が熱くなっていく。
「イ、イヴっ、や、やだっ、これ、やあっ、は、ずかしい…っ」
「可愛い……アデラール様……」
「ひぁ…!?」
熱くて湿ったものが僕のそこを舐めた。
……舐めた。
「やぁっ、いゔ、やだっ、きたない……からぁっ」
「ふふ……綺麗ですよ」
僕のお尻に顔を埋めながら笑わないでほしいんだけど!
「僕、頑張って舌先からも魔法が使えるようになったんですよ。もちろん無詠唱です。……まあ、アデラール様のここをほぐすときにしか使いませんけどね」
閨事に特化した魔法訓練ってことですか…!
舌って!
舌先って!!
「あんんん……!!」
にゅるっと、僕のそこに弾力のある熱いものが入り込んできた。
……イヴの舌なんだな……って、理解はできても恥ずかしさは更に強くなる。
逃げ出そうにもイヴの手は力強くてほんの僅かにも腰を動かすことができない。でも、軽く左右に揺することはできて、繰り返せば逃れられるか……と思ったとき、イヴの笑い声が聞こえてきて、はたっと、これじゃ腰を振りながらおねだりしてるみたいだってことに気付かされた。
「ふふ…。おねだりは終わりですか?」
「お、ねだり……ちがぅ……っ、っ、ひぁっ、あ、あんんっ」
「もっと気持ちよくなって、アデラール様」
ぐにゅっと、一旦出てた舌がまた挿入された。
内壁をぐるりと舐められる感覚に、声が止まらなくなる。
そのうち、一度達した僕のものを、イヴの大きな手が包みこんでしごき始めた。
そこからもぬちゃぬちゃと音がしてるから、射精したあとまたぽたぽた流れてるんだと思う。
「あぅ……っ、あんっ、あ、あっ、いゔ、い……あっ」
舌が限界まで差し込まれたとき、お腹の中がぶわっと暖かくなった。それから、わずかに重くなるような感覚。
ぬちゃぬちゃって水音の中に、じゅるじゅるって何かを啜るような音が混ざる。
「ひっ、ひぁっ、あ、あっ、なにっ、あん……あー……っ」
唐突に舌が抜かれて、もっと質量のあるものが奥まで入ってきた。
……多分、指、なんだけど。
「痛いですか?」
「いた……く、なぃ……っ」
「気持ちいい?」
「ん……っ、い、ぃ…っ」
「よかった。魔法もちゃんと効いてますね。力が抜けて……今すぐにでも挿れることができそうです。……でも、ほら、ここ」
「あああ……!?」
何本かの指が、お腹側の一点をグニグニ潰すように撫でたとき、僕の腰はぶるぶる震えた。
「ここが前立腺。……僕と同じような場所ですね」
「あ、あ、あっ」
「……感度を上げる魔法とか……、いいですね。アデラール様が乱れる姿をもっと見たい……!」
「ひぁっ、あんっ、あ、あっ、イく、い…あ、ああー……!!!」
これ以上感度上げるとかイヴは鬼かな!?なんて言葉は出てこなくて。絶妙な力加減で前立腺を撫でられて、僕は頭の中まで痺れるような快感に襲われた。
イヴの片手が吐き出された僕のものを受け止めてる。……いや、受け止めてるんじゃない。ひくひくしてるそこを撫でて、先の方をゆるゆるいじり続けてる。
「あ、や、イった、あ、だめ……っ、いゔ、て、はなし、てぇっ、あんんんっ」
「背中が薔薇色です……。本当にアデラール様はどこもかしこも綺麗です」
うっとりと言われて、頭の中が熱くなってる僕はそれにまともに返すことができなくて。
イヴは僕の股間のものをいじる手を止めないし、前立腺だってずっとくにくにといじったままだ。
「あ、あっ、また、またっ、いく、い……あんん、ああんんんっ」
立て続けに三度目の白濁を噴き出した。……多分、もう、そんなに色がついてないんじゃないかな。
でもイヴは『まだだ』とでもいうように、手を止めてくれない。
快感が引ける前に次の快感に襲われる。
終わらない。
心臓が苦しくて。
……そしたら、お腹の奥から何かがぐわっと込み上げてくる感覚。
「て、て、やめ、てっ、いゔっ」
「気持ちいいでしょう?」
「だめぇ……っ、もれちゃう、から……っ、や、やだっ、やだっ、いゔ……っ」
尿意のようなものが込み上げてくる。
さすがに眼の前で漏らすのは恥ずかしすぎるしいたたまれない。
閨の最中だけどなんとかトイレに行って……と思いながら腰をよじったけれど、僕は開放されなかった。
「いゔ……っ」
「漏らして」
背中にあたるイヴの体温。
耳もとに吹きかけられる熱い吐息。
僕のものを扱く手と、前立腺をいじる手。
……腹筋と背筋がすごいな……ってところは、今感心するところではなく。
「ひゃああんんん……!!!」
全身を震わせながら、プシャッ、プシャッと僕のそこは何かを噴き出した。
駆け抜ける強烈な快感に意識を飛ばしかけながら、あ、これ、潮だ……なんて、冷静に分析する僕がいた。
208
お気に入りに追加
1,446
あなたにおすすめの小説

ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました
無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。
前世持ちだが結局役に立たなかった。
そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。
そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。
目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。
…あれ?
僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。


麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる