【完結】見守り(覗き)趣味の腐男子令息は、恋人たちの交遊を今日も楽しく考察する

ゆずは

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★case03:アナニー好きなのに期待した快感が得られない僕

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 受けの子にはある程度の『才能』が必要らしい。

 お尻で気持ちよくなる才能。
 前立腺で気持ちよくなりやすい才能。
 中イキしやすい才能。

 そんなエッチに適した才能を、果たして全ての男子が備えているかといえば、それは『否』である。

 僕の趣味は秘密の場所での覗き見守りだけど、実は他にもある。
 対外的には「趣味は読書です」なんて当たり障りのない受け答えをする。もちろん、愛読書は男同士のお耽美ものだが、中身までは問われないからいい。もし問われれば、「女性のようで恥ずかしいですが純愛物が好きですね」と、少し照れながら答えれば高感度は高い。
 そんな僕のもう一つの趣味とは、何を隠そうアナニーだったりする。堂々と人前で漏らすにはちょっとアレな趣味だ。
 でも悲しいかな。
 僕が見続けた子たちのような、意識をなくすような激しい快感は得たことがない。
 うーん。
 何が違うんだろう?
 滑りを良くする香油を使っているし、指じゃ届かない場所をいじるために各種玩具だって用意してるし使ってる。
 なのに、なんか違う。
 前立腺にはあたってるのに、もんでも押しても、あまり気持ちよくない。……まあ、痛くもないんだけど。

「んー……、どうしようかな」

 一見卑猥な道具たちは、一つの箱に詰め込んで、ベッド下に隠すように収納してるんだけど、今は中身を全部ベッドの上に出して、一個一個吟味していた。

「うーん……」

 ディルドかパールか。そこまでは絞った。
 太さがほしいならやっぱりディルド。予測不能な刺激がほしいならパール。
 ……今日はあの鼻血ものの幼馴染たちの交遊を見てしまったから、なんとなくいつもより気持ちよくなれそうな気がするんだよな。だからさっさと決めてお風呂に入って準備しないと。
 それでも中々決めることができないでいると、部屋のドアが開いた。

「あ、おかえり」
「ただーま」
「お疲れ様。生徒会忙しかった?」
「なんか無駄に忙しかったわ」

 同室のイケメン生徒会副会長君が、盛大なため息を付きながら僕の方に来てぎょっとしたように立ち止まった。
 あ、いけない。

「ごめんね。今片付けるから」
「あー……、いや、謝ることはないけど俺以外が見たら驚くどころか叫ぶからな?もうちょっと気をつけてくれ?」
「うん。ありがと」

 同室のイケメン生徒会副会長君――――イケメン君が、呆れたように僕の頭を撫でた。ちらちらと僕の大人の玩具コレクションを見ながら。
 イケメン君はこんな僕の趣味を見ても気持ち悪がらないし、なんなら理解だってしてくれる僕の大事な友人だ。彼と同室になって二年目だけど、ほんとラッキーだったと思う。

 この貴族学院、実は全寮制である。もちろん、女子棟と男子棟にわかれてはいる。けれど、同性恋愛が珍しくない世の中で、その区分けになんの意味があるんだろう。女子棟だって同性交遊が行われているはずだ。
 ……あ、そっか。あれだな。同性ならいいんだ。間違いで子供ができないから。なるほど納得。

「……そこで考え込んでないでさっさと片付けろよ」
「あ、うん。ごめんね、ワルド君」
「だから、謝ることじゃないから」
「えへ。ありがと」

 このイケメン君、モテるんだよ。何人もあの場所で告白してるの見たことあるもん。
 やることスマートだし、身分も侯爵家の次男として申し分もないし(いずれ領地の一部を保有子爵位と共に与えられると聞いている)、イケメンだし、勉強もできるし、運動もできる。ちょっとだけ雑な言葉遣いが男らしくていい。
 彼は『抱く』方だ。童貞でもない、はず。
 以前一度だけ、彼の一物を見たことがある。…通常状態でもずっしり重そうな綺麗な形をしていた。あれに泣かされた子は多いんじゃないかなと予想してる。

「ワルド君、先にお風呂使って来て」
「お前は?」
「僕、もうちょっと吟味してからがいいから、ワルド君のあとに入るから」
「あー……、ああ。わかった」

 同室だから隠しにくくて、僕はイケメン君の人の良さを信じてアナニーしてることを告白してる。
 でも呆れることなく僕を気遣ってくれるイケメン君はやっぱりできた人だ。

「んー………、今日はディルドにしよ」

 他の道具はさっさとしまう。
 今夜こそは気持ち良くなりたい。

 イケメン君と交代でお風呂に入る。
 イケメン君、少し長かったから、きっと自己処理してたんだろうな。生徒会の仕事で遅くなって、部屋には僕がいて……だったら、恋人とか体だけの子とかと、会えないもんね。
 うんうん。わかってるよ。僕たちまだ十七歳だからね。毎日溜まるよね。

「……なんかお前が良からぬことを考えてる気がする」
「え?そんな変なことじゃないよ?ほら、同性でもデリケートな話題でしょ?だから、大丈夫。僕わかってるから!」

 お風呂から上がってきたイケメン君は、僕まで思わずドキッとしてしまうくらい格好いい。イケメン最高だ。

「わかってるって……」
「大丈夫!じゃ、僕入ってくるから。遅くなったら灯り消して先に寝てて」
「ああ……わかった」

 眉間にしわを寄せたイケメンも格好いい。
 僕は着替えとか、とかとか両手に抱えて浴室に急いだ。
 同室のイケメン君はどんなふうに男の子を抱くのかな。あの場所で一度してもらえないかな。完勃ちペニス拝みたい。

「ん」

 イケメン君のペニスを想像してたせいか、いつもよりアナルで感じてるような気がする。まだ洗ってるだけなのに、僕のささやかなペニスがゆるく頭をもたげてる。
 これは、いつもより絶対いい。
 念入りに洗って流したら、柑橘の香りがいい香油で慣らしていく。……ああ。いい、やわらかい。

「は……んん」

 三本、いける。僕の指細いから、イケメン君の指なら二本くらい…?

「っ、あ、ぐじゅぐじゅしてるっ」

 僕の喘ぎなんていらないけど、一人だしいいよね。声出ちゃうもん。

「ん、んっ」

 ……これは、いける。
 指を抜いて、立派な男の人の一物を模したディルドをまじまじと見つめた。
 ……イケメン君のペニス、これより立派かな……?
 ディルドにもたっぷりと香油をまぶして、浴室の壁に手をついて少し腰を押し出す。ひくひくしてるやわらかい自分のアナルに、ぬるぬるのディルドを押し付けて少しずつ奥に進めた。

「ひん……ん、んっ」

 あ、すごい。いつもより感じる。気持ちいい。今日こそできるかも。中イキ。頑張ろう。





「………」

 結果を言おう。




 ………駄目だった。



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