49 / 83
元自称婚約者の現恋人は、婚約者に昇格となりました
49 沸き起こった羞恥心
しおりを挟む抱かれたまま寝室に運ばれた。
右足に引っかかってたズボンと下着は、どこかで落とされた。だから、冷たく感じるシーツの上で、俺は何も身に着けてない。
嘉貴はベッドに横たえた俺を熱い目で見下ろしてる。……まだ、上着を脱いだだけの嘉貴。
「浩希」
名前を呼ばれて、ちゅ、ちゅ、ってキスをされる。
それからまた体を起こした嘉貴は、荒々しくネクタイを引き抜いて、ズボンのベルトを引き抜いた。
眼の前でさらされていく嘉貴の素肌。
もう何度か見たのに、ドキドキと心臓が忙しなくなる。
ワイシャツを脱ぎ捨てると嘉貴の素肌があらわれる。俺とぜんぜん違う鍛えられた綺麗な体。厚みのある胸板と、綺麗に割れた腹筋。筋肉好きじゃなくても見惚れる体だ。
それから、下を脱ぎ捨てる。
反り返って、腹部に付きそうになってるソレに、どうしても目がいってしまう。
ぷつりと先端から雫が溢れてるのを見て、喉が鳴った。
限界、って言ってた。
こんなに俺のことを欲しがってくれてるんだ…って思ったら、何故か下腹部がズクリと疼いて、イく直言まで嬲られた俺の先端からとぷりと雫が溢れる。
「浩希」
それでもまだ余裕そうな笑みを見せながら俺を呼ぶ嘉貴。視線が熱くて真っ直ぐで、目を逸らせない。
「怖くない?」
「だい、じょうぶ」
怖くない。
でも、恥ずかしい。
嘉貴がベッドに乗り上がってきて、ギシリときしむ音がした。
それからすぐ嘉貴の片手がするりと足の間に触れてきて、のどの奥が引きつったように鳴ってしまった。
「ぁ…ぁっ」
「…きもちいい?」
「ん……ぅん、いぃ……」
寸止めされてた体はあっという間に嘉貴の手に溶かされていた。
感じるのは、自分の心臓の音と、嘉貴の息遣いと、優しい手。
「キスしてもいい?」
なんで今さらそんなこと聞くんだろう…って、ぼーっとする頭で思いつつ頷いた。
熱くなる中心を弄られたまま、嘉貴の温かさを唇に感じる。
「んぅ」
ゆっくり重なった唇。
なのに、入り込んできたものは「ゆっくり」なんて言ってられないほどの性急さで口内を蹂躙していく。
息が苦しかった。
舌を吸われるだけでも快感が沸き起こって背筋が震えてしまうのに、それをわかっていて中心を弄る手の動きが早く、強くなる。
「ん…っ、んふ…っ」
舌が絡まって唾液の濡れる音と、もっと足の方から聞こえてくる「ぐちゅ」っていう音。
そんなにされたら、もう無理。
さっきは我慢してって言われたけど、もう、イく。イってしまう。
「や……ぁ、よし………んぅ」
射精感が込み上げてくる。
イっていいの?
イかない方がいいの?
わかんない。
わかんないのに、嘉貴の手も舌も、俺に容赦なく快感を与えてくる。
すがるものが欲しくて、嘉貴の背中に腕を回した。
しっとり濡れた背中が、手に吸い付く様。
何度か、唾液を飲み込んだ。
吸われた舌がじんじんしてくる。
先走りの量も増えたみたいで、下の嘉貴の手元からは濡れた音がひっきりなしに聞こえてくる。
「んぁ……っ」
上顎を強く舐められて、ぐちゃぐちゃになってる手ではち切れそうになってる亀頭のクビレをぐりって擦られたとき、ぞくぞくって快感が駆け上がってきた。
思わず口を離した俺を追いかけて嘉貴の唇にまた口を塞がれて、濡れた手に陰茎をきゅっと締められた。
「んんんっっ」
ビクンビクンと跳ねる体。
イった。
あちこち熱い。
ドクンドクン脈打ってる。
……けど、射精は阻まれて、熱がくすぶり続ける。
出したい。
出したくてたまらない。
けど、嘉貴の手はそれを許してくれない。なのに、親指で口を開いた先っぽをぐりぐりと潰してくる。
「んぅ~~っっ」
また、体が跳ねた。
……ぐちゃぐちゃで気持ちのいいキスと、限界まではち切れそうになってるそこをいじられてるだけで、立て続けにイってしまった。
腕にも力が入らなくて、ぱたりとベッドに落ちてしまった。
「……可愛い、浩希」
嘉貴が体を起こして口が離れる。
濡れて光った嘉貴の真っ赤な唇。
俺を見下ろす目元を赤くした嘉貴の顔。
……欲情した、男の人の目だ。
嘉貴はベッドサイドチェストに手を伸ばした。
射精を訴える俺の陰茎は相変わらず嘉貴の大きな手の中。
引き出しを開けて、何かを取り出した嘉貴。
「……ごめんね。可愛いけど乳首は少し待ってて」
突然そんなことを言われて、嘉貴の所作をじっと眺めてた俺は、すぐに顔が熱くなっていくのを感じた。
「そ、そんな、の…っ」
「食べられたそうに赤く尖ってるけど。ちょっと、余裕がないんだ」
……ちら、っと。見てしまった。……や、さっきから、見てたけど、嘉貴の象徴が、先走りで濡れて光って見える。
思わず喉を鳴らしたら、嘉貴はくすりと一度笑った。
「浩希、足を少し抱えていて」
「……はずかしっ」
そんなことしたら全部見られる。
だから躊躇ったのに、嘉貴は笑みを深くして俺の膝にキスをした。
「もう全部見えてる」
「……っ」
そうだ。
この部屋、光度を下げてると言っても明かりがついてる。
頭の中が真っ赤で気にしてなかったけど、俺はもう足を大きく広げていて、嘉貴はその間に陣取ってる。
……見られてる。
それは、間違いない。
「や……っ」
沸き起こった羞恥心がどうにもできない。
真っ赤だった頭の中は少しパニックだ。
嘉貴のいきり立つソレもよく見えていたのは当たり前だった。
……嘉貴の目に、手で高められてぐちゃぐちゃに濡れた俺のものがよく映っていることも、当たり前だった。
「や……っ、やぁ……っ」
恥ずかしい。
恥ずかしい。
身体を捩って逃げ出したかった。
けど、嘉貴の腕がそれを阻んでくる。
「浩希」
「や……ぁ……」
頭の中は羞恥に染まってるのに、俺のものは嘉貴の手にやわやわと刺激されてて、全然萎えてない。
でも嘉貴はそこからそっと手を離した。
32
お気に入りに追加
684
あなたにおすすめの小説



美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿

心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる