ワンソード

九楽

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第五十六話

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「うぅ...痛っ。」
「少年!大丈夫...じゃないわね。はい、回復薬飲んで。」
「まずっ。」
 全員が僕をみて心配そうな目で見ている。だが、回復薬のおかげで多少痛みは、引いてきた。早くいかないと。
「一体なにがあったのよ。」
 ユリスが泣きそうな目で僕を見つめる。
「大丈夫だから。マリーさん早く戻してください!」
「少年。今度はミリアと私でいってくるから待ってなさい。」
「でも...。」
「でも、じゃないの。ユリスちゃんみててね。ミリア準備できた?」
 そこには、完全武装したミリアさんが立っていた。
「ああ、問題ない。とりあえず君が無事で良かったよ。休んでなさい。」
 マリーさんが詠唱を始めて数秒たった後二人は消えた。
「一体どうしたのよ。なんとか無事みたいだけど。」
「さっきいってたあのドッコイカイザーなんとかドラゴンってのがでて急に襲ってきたんだ。」
「本当にいたの!?伝説のドラゴンよ!本当にいるなんて思わなかったわ。不謹慎だけど、少しだけ見たかったな。」
「見るもんじゃないよ。危うく死にかけた。」
「でも、温厚なドラゴンなはずなんだけど伝説とは、違うのね。」
「ほんと、なんとか倒せたよ。」
「って倒したの!?それ...」
「少年ごめんやっぱりこっちきてくれる?」
 突然、マリーさんの声が聞こえた。
「まさか、まだ倒せてなかったんですか!?」
「そこは、問題ないわ。っていうかよく倒せたわね。こんな伝説ドラゴン。じゃ、少年呼ぶよ。」
 ふと、ユリスの方をみるといきたそうな目をしていた。
「ダメ、だからね。」
「もう、大丈夫何でしょ?一目だけでいいから。」
「...当然マリーさんダメですよね?」
「まあ、少しくらいいいんじゃない?じゃ飛ばすよ。」
「いいんですか!?」
 そういって数秒後には、さっきの海辺にきていた。そしてそこには、あのドラゴンが地面へ大きな穴をあけ倒れていた。
倒れていたが、意識はあるようだった。マリーさんの魔法で完全に捕縛されていたドラゴンは僕をじっとみていた。
「少年ごめんね。こんなにでっかいドラゴンだとは思わなくって。少し手伝って。」
「あれ、ミリアさんは?」
「近くの支部にいってるわ。このようすだとあるかどうかも怪しいわね。」
 僕達は、ドラゴンへ近づいた。
「返せ...」
 ん?
「ユリス何か言った?」
「いってないわよ。」
「返せ!!」
「うるさいな。マリーさん、さっきから誰かが返せって言ってませんか?」
「少年。打ち所悪かったのかもね。さっきからドラゴンがうなり声をあげてるぐらいしか聞こえないわよ。」
「まあ、ドラゴンが喋るわけないか。」
 僕は、更にドラゴンへ近づいた。
「お前もさっきの奴らの仲間か?許さんぞお前らは、皆殺しだ。」
「ドラゴンが、喋った!?」
「...お前、話せるのか。」
「今、話してるのは君であってるのか。」
「無事に返せば見逃してやる。だが、返さなければ皆殺しだ。」
「まってくれ。話が見えない。僕は、急に襲われたから戦っただけだ。事情を説明してくれないか?」
 ドラゴンが、じっと僕の方を見つめる。
「...すまない。確かにあの人間達の臭いがしない。私の勘違いだった。実は...」
 簡単に言えばこうだった。誰かが、ドラゴンの卵を盗み出しそれを取り返そうとしている。そして、もうすぐ竜王が到着すればここ一帯は消滅し海の中へ消える。
「...ってこと何ですけどマリーさんどうすればいいですか?」
「どうすればって何でドラゴンと話せるの?まあ、時間も無いようだしそこはいいわ。少年と話し出してドラゴンも落ち着いてるし信じるわ。ミリアに連絡をとってみるから、少年は、卵の特徴を聞いて。」
「まず、卵の大きさは?」
「あの岩くらいの大きさだ。」
「色は?」
「色は、この砂浜のような色だ。」
「マリーさん、大きさは3メートルくらいで色は白色から灰色みたいです。」
「わかったわ。うん、もうちょっとまってね。私も、いってくるわ。」
「私も探しにいきます。」
 ユリスがマリーさんとともに卵を探しにいった。
「ドラゴン、もう少しまってくれ。」
「...わかった。」
 しばらくたった後、水平線に黒い点が現れた。その数秒後に、目の前のドラゴンの倍はあるドラゴンが目の前に現れた。竜王が。
「...お前が、やったのか?」
 やったと言えば殺されるだろう。そんなことを考えていたら倒れているドラゴンが話し出す。
「まって。今この人間達が探している。この人間は、私達と会話ができる。」
「...わかった。少しの間まとう。で、これはお前がやったのか。」
 その竜王の尻尾は、倒れているドラゴンを指した。
「...まあ、そうです。」
「なかなか、やるな。ん?何か尻尾に刺さっているな。」
 竜王は、尻尾で器用に刺さった剣を掴むと眺めだした。
「...。」
「これは、お前のか?」
「...はい。」
「なかなか良いものを持っているな。よし、試しに壊してみるか。」
 竜王は、その一本の剣目掛けて様々な攻撃を放った。だが、壊れなかった。
「...。」
 これは、戦いになったら死ぬな。
「固すぎるヒビも入らんな。流石伝説の剣だ。返すぞ。」
 僕は返してもらった剣をまじまじとみたが、確かにヒビ一つ入っていなかった。
「この剣のこと知ってるんですか?」
「ん?その剣はこの世界で一番固い剣だ。さて、卵はまだかな?来るまで実戦といくか?」
「マリーさんまだですかー!?」
「少年あったわ。今いくから。」
 数秒後に、マリーさんは卵と共に現れた。
「これで間違いないかしら?」
「もっと近くに。」
 ドラゴン達も落ち着きを完全に取り戻した。ユリスが言っていた温厚なドラゴンというのは嘘ではないのだろう。
マリーさんから今回の騒動の詳細を聞くと原因は、盗賊が卵を盗みギルドの人達がそれを見つけ返そうとしたが返そうとしたらドラゴンに見つかってしまいまるで盗み出しているように見えたということだった。
 
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