ワンソード

九楽

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第二十八話

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「少年の料理はおいしいな。もし少年が次で負けても私が雇ってあげるよ。」

彼女は元気そうにパクパクとソファで食べていた。 

「ミリアさんにも言われました。そういえばもう大丈夫ですか?」

「だから最初から大丈夫だっていってるでしょ。それとって。」

「はい。」

「おっと少年こないかと思っていたが、はいこのコップをテーブルにおいて。」

「はい。誰か来たんですか?」

「少年私の膝の上に乗って。そうじゃない。はやく。私の方を向いてそうだ。」

「なんでこんなことするんですか!?」

「はやく。」

僕はマリーさんの膝の上に乗った。
ドアを叩く音がしたので左をむくと次の瞬間僕はマリーさんの上にもたれ掛かっていた。正確にいえばマリーさんの封魔剣により倒れてしまった。

「なんでこんなこと?」

「おっとしゃべれないように。」

マリーさんは僕の顔をソファに埋めて何やら詠唱をした後に指先を口元に近づけた。
あれ、しゃべれない!
こんなことも出来るのか!?

「少年だめだって。誰か来てるよ。ね。もうそんなことしちゃだめだって。」

次の瞬間ドアが吹き飛んだ。
恐らくこの声はミリアさんだった。

「おまえ達何をしている。」

「どうしたのミリア?そんな顔して。」

「お前が私に向かってピースしたときから怪しいと思っていたがまさかこんなことをしているとは。もっとはやくくればよかった。」

「でも私がしたんじゃないよ。ね、少年。」

あんたがしたんだよ!

「…そうなのか?なんとかいったらどうだ!」

ミリアさんすいません。何もしゃべれません。

「なに?なに?早く帰ってくれ?って」

いってません。

「ユリスさんだってこんなこと望んでないぞ。」

僕もこんなこと望んでません。

「でも…ほんとに望んでないのはあなただったりして」

後ろの方で恐ろしい魔力を感じたが、すっと消えてしまった。

「わかった。今日のところは私が帰ろう。決勝でもし当たることがあれば地獄を見せよう。性根をたたきのめしてやる。」

そう言うと帰っていったのだろう。
再びドアが破壊された音が聞こえた。
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