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第1章 出会い編
彼女と主従の契約 その二
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シェロに促されるまま、勇人はリリアの後を追って、森の中へと入る。
頭の中で繰り返される言葉は、かつての彼女との誓いの言葉。
――もし、もし私の子供たちが困っていたら、助けてあげて。私の子供だから、多少強引にいかないと絶対に人を頼ろうなんてしないから。
最後に別れる時、寂しそうな顔でそういった彼女のことを、勇人は二百年経ったいまも忘れない。
森へでリリアを探して数十分、ようやく見つけたリリアが、ドマに組み敷かれている場面を目撃した瞬間、問答無用で力を解放しなかった自分を勇人は褒めてやりたくなった。
(落ち着け。大丈夫だ)
絶望に支配され、今まさに心が折れそうになっているリリアと、自分が絶対強者であると信じて疑わない彼らに対して、勇人は正義の味方のように宣戦布告する。
「おいおい。勝手に人の同居人に手を出すなよ」
「なっ! 誰だ!」
声をかけたことでようやくこちらの接近に気がついたのか、護衛の男たちが狼狽え始める。
(この程度の隠行にすら気がつかないなんて。三流の護衛を雇っているのか、それとも質が下がったのか。まあ、後者だろうな)
見るからに格の低い装備を見て、勇人は嘆息する。貴族らしい男の護衛がこの装備なのだ。市井の者はさらに劣悪なものを使っているのだろうことは想像に容易い。
「己コソコソと! 姿を現せ!」
見つからない勇人に苛立ったドマが叫ぶと、見ていられないとばかりに隠行を解いた。
ドマは、いきなり現れた勇人に驚いた表情をするが、相手が一人だとわかるやすぐに余裕の表情に戻る。
「ははは! 誰かは知らんがよくも俺の楽しみを邪魔したな! たった一人でノコノコ現れた愚か者には罰を与えねばな! お前たち!」
ドマが目配せすると、姿を表した勇人を男たちが取り囲む。
「イチノセさん! 逃げて!」
悲痛に満ちたリリアの叫びに勇人は不敵な笑みで答える。
「バーカ。俺がこの程度のド三流に負けるかよ」
「馬鹿め! こそこそ隠れていた奴が俺の雇ったAランクパーティーの勝てるものか!」
「あーはいはい。豚が他人の威を借りて吠えるのはみっともないぞ」
「な!?」
勇人が中指を立てて挑発すると、ドマは顔を真っ赤にして脂肪をプルプルと震わせる。
「脂肪がプルプルしてるとハムみたいだな」
「殺せ! この無礼者をいますぐ俺の前から消せ!」
ドマの命令に従い、護衛の男たちが動き出す。
彼らは今の世の中では一流と呼ばれる腕を持つ冒険者だった。
並大抵の者に遅れをとることはないが、いかんせん相手が悪かった。
一之瀬勇人というかつて勇者と呼ばれた男を相手にするには、彼らは力不足過ぎた。
男たちが油断なく勇人に攻撃魔法が襲いかかる。火が、雷が、氷のつぶてが、一人の男を殺すために向けられる。
誰が見ても避けられない攻撃を、勇人は腰から抜いた剣を一線するだけで消し飛ばした。
「は?」
それは誰の口から漏れた言葉だったのか。
ただの鉄剣を振るっただけで魔法を散らすなど、誰が想像できたのだろうか。
誰もがそう思ったが、しかし現実として男たちが放った魔法は消されたのだ。
考えられる可能性として、勇人が持つ剣がl魔道具なのだとドマは当たりをつける。
「あの剣が魔法を無効化したのだ! 魔法ではなく切り殺せ!」
「無駄だ」
遠距離からの優位を捨て、切りかかって男の胴を、まるで濡れ紙を割くように断ち切る。
切りかかってきた男が倒れる前に駆け出し、近くで動揺している男の首をはねる。
(後三つ)
自分たちがそれなりの冒険者だと思っていた男たちは、いきなり現れた恐るべき技量を持った勇人を見て浮き足立つ。
その稚拙さに呆れながらも、勇人が隙を逃すことはない。
一瞬でリーダー格の男に接近すると、神速ともいえる早さで切りかかる。
だが、腐っても上位冒険者のリーダーである男は、反射的に勇人の剣を受け止めようとして、
「ごほっ」
防御した剣ごと叩き切られた。
(後二つ)
「ひ、ひいいいいいいい!」
残った冒険者に視線を向けると半狂乱になりながら突撃してきた。
完全に注意力散漫となって突撃してくる男の足を引っ掻けて倒すと、喉に剣を突き立てて絶命させる。
(後一つ)
「い、嫌だ! 死にたくない!」
武器を捨て、逃亡しようと背中を向けた男に向けて、手に持った剣を投擲する。
「こひゅ!」
頭蓋骨を貫通し、木に縫い付けられた男は、びくびくと断末魔の痙攣をした後、動かなくなった。
「さて、後は」
護衛の冒険者をわずか数秒で片付けた勇人は、ついでとばかりにリリアを押さえている冒険者へポーチから取り出した投げナイフをプレゼントして命を刈り取った。
「な、な、な」
目の前で起こった、戦闘とも呼べぬ虐殺劇に、さすがのドマも顔を真っ青にする。
ジャリっと、勇人が一歩近づくと、情けない悲鳴を上げて腰を抜かす。
「え、偉そうなことを言って悪かった! 金ならいくらでも出す! なんなら我が家の専属として雇ってもいい! そ、そうだ! そこの女も好きに抱いていいぞ! だから命だけはーー」
「悪い。豚の言葉は習ってないんだ」
「い、嫌だ! 助けーー」
みっともなく転げ回って逃げようとするドマの首を、勇人はきっちり撥ね飛ばした。
******
一連の虐殺を、リリアは茫然とした表情で見つめていた。
自分を犯そうとしていた相手とはいえ、殺すほどなのだろうかという気持ちはあるが、それは甘えだと知っているリリアは口を噤む。
だが、目の前で起こっている光景よりもリリアは気になっていることがあった。
勇人が強いことは、以前に助けられたこともあって知っていた。しかし、ここまで人間離れした強さを持っているとは思っていなかった。
(イチノセさんは、一体……)
一振りで魔法を消し飛ばし、A級冒険者と呼ばれる、人間の中でも上位に近い者たちを、有象無象のように薙ぎ払い、倒していくその姿はお伽噺にでてくる魔王か、もしくは勇者のようである。
(まさか……)
リリアは思い浮かんだ考えを打ち消す。
勇者は人間である。
幾多の学者が、勇者と言う超常的な存在が化け物であるとのたまっている。
だが、聖女の末裔と呼ばれるクレスティン家には絶対的な事実として、勇者は人間であったと受け継がれている。
故に、人である勇者が今代に生きているはずがない。では、このような化け物染みた強さをもつ勇人とは一体どういう存在なのか――。
「ひっ!」
そこまで思考が飛びかけた所に、ドマの首が転がってきたことで中断される。
憎い筈の男は、恐怖に顔を引きつらせたままその命を散らしたようだ。
「……ふう、こんな所か」
リリア以外に、動く者がいなくなったことで、ようやく勇人の動きが止まる。
全身を返り血で赤黒く染め、鉄臭い死臭を漂わせながら、勇人はリリアに近づくと、そのままお姫様抱っこの格好で抱き上げられる。
血の臭いがする腕の中に抱き上げられたことで、反射的に身が竦み、目を瞑ってしまう。
「なにもしないから安心しろ。血がついて気持ち悪いとは思うが、少しの間だけ我慢してくれ」
「は、はい……」
「いい子だ」
ニッと、白い歯を見せて笑う勇人は、まるで子供のようで、先ほどまで殺し合いをしていた人物とは思えなかった。
「じゃ、少し飛ばすからしっかり捕まっていろよ」
「へ? 飛ばすって――きゃあああああああああああ!」
猛烈に嫌な予感がしたかと思えば、リリアの身体に強烈な慣性が襲い掛かる。
まるで馬に乗っているかのような速度で次々と変わる景色を見て、落とされてはたまらないと勇人の首に手を回してがっちり抱き着いた。
******
「到着、っと」
しばらくの間腕の中で揺られていると、綺麗な泉に辿り着いた。
周囲には休みにきている獣たちが、穏やかな表情で泉を囲んでいる。
「あの、イチノセさん?」
「ほら、土と埃、あー血もついているか。とりあえず身体を洗うか。俺も洗うから」
「あの……」
「いいから」
「きゃっ!」
勇人はリリアを抱き、服を着たまま泉に飛び込んだ。
バシャンッ、という音に、周囲の獣たちが警戒して立ち上がるが、音の発生源が勇人だとわかるや、安心したように再び身体を休ませる。
「い、イチノセさん。いきなりなんですか?」
「汚れたままじゃ嫌だろ?」
ゆっくりと泉の中へと降ろされるが、いきなりの行動にリリアは戸惑いを浮かべる。
「そうですけど……別に自宅に戻って身体を拭くだけでもよかったのでは?」
「それだとシェロに余計なちょっかいを出されるかもしれないからな」
「ちょっかい?」
不思議そうに首を傾げると、勇人はニンマリと笑ってリリアの胸元を指差す。
「ここ。さっきから丸見えだぞ。そんな風に挑発されたら我慢できないのも仕方ないだろ?」
「……へ? あっ!」
リリアは、そこでようやく自分の服がドマに破られていることを思い出し、慌てて両手で胸元を隠そうとする。
「いやいや、隠さなくていいって」
「馬鹿なこと言わないでください! ああああ……恥ずかしい」
自分の格好に恥じたリリアが頭を抱えていると、勇人の顔を近づけてきた。
「あの、イチノセさん。顔がちか――むぐっ」
勇人の唇が、無理矢理にリリアの唇へと重ねられる。
「むぐっ、んむぅ、んんっ!」
突然の事態に驚くリリアを無視して、閉じている口をこじ開けてきた舌が、口腔を舐るように這い回っていく。
なんとか顔を逸らして逃げようとするが、片手でガッチリと抑えられた頭は動かない。
「むぅっ、ふぅぅ、っっ!」
絡みあう舌と舌。二人の間を唾液が往復し、零れた滴が胸元へと滑る。呼吸すら忘れて唇を貪り尽くされているリリアの顔が息苦しさと恥ずかしさで真っ赤になったところで、ようやく勇人が唇を離した。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
唾液の糸が離れた二人を名残惜しそうに繋いでいる。
一体なぜこんなことをするのか。荒い呼吸のままリリアが睨みつけると、勇人は頬を掻く。
「フェミルナは――ああ、もう他人行儀なんて面倒くせえ。リリアはこれからどうするか考えているのか?」
ガシガシと頭を掻いた勇人が、いままでにないほど真剣な眼差しでリリアを見つめる。
聞きたかった言葉ではないが、勇人の真剣な瞳を見たリリアは、眉根を寄せながらも答える。
「どうするか、ですか?」
「そう。俺はリリアがどういう理由で逃げているのかはしらない。けど、これからもあの貴族の豚みたいなのがお前を狙うだろうさ。それをどうやり過ごすのか。やり過ごした上で、なにをしていきたいのかだ。復讐か? それともどことも知れない場所への逃亡か? 望むのなら手を貸してやるぞ」
「……不要です。私の、我が家の事情にイチノセさんを巻き込めません」
「なんでだ? 俺の強さをみただろ? どういう理由であれ、傍に置いておけば役に立つぞ」
「……確かに、イチノセさんの力は魅力的です。私が成したいこと、成せねばならないことに対して大きな力になることは間違いありません」
「だったらいいだろ」
「だからこそ、です。私は私の事情で、我が家の問題に対して他人を巻き込みたくありません。ましてやイチノセさんはこんな場所に隠れ住んでいます。それは、貴方の力を他人にひけらかすのを嫌っているからではないのですか?」
彼ほどの力を持った人間は、本来ならば英雄として祭り上げられていてもおかしくはないとリリアは思っている。
「名誉や地位を欲するのではなく、隠れる様に生きているイチノセさんは目立つようなことはしたくないのでしょう? 違いますか?」
「……半分は正解だ。だが、もう半分はハズレだ」
「半分正解で、半分ハズレ?」
「そうだ。俺は人間に失望した。もう二度と他人のために力を振るわないと決めた。だから隠居したっていうのが正解部分。ハズレの部分は、ある一族が本気で困った時に無理矢理に力を貸してやるって約束があるから、目立つようなことをしたくないわけじゃない」
「ある一族……状況から考えるに、私たちの、クレスティン家?」
「ああ、そうだ。初代聖女、アリア・クレスティン・フェミルナと、勇者一之瀬勇人が交わした絶対的な盟約だ」
******
「ああ、そうだ。初代聖女、アリア・クレスティン・フェミルナと、勇者一之瀬勇人が交わした絶対的な盟約だ」
勇人は、自分の口から出た壮大な言葉に内心で苦笑する。
あれは盟約など重苦しいものではない。死に瀕したアリアが零した弱みであり、お願いだ。
そこに契約のような強制力はない。だが、勇人はそのお願いを叶える機会があれば全力で叶えてやると決めていた。
自分の心を癒し、人に戻してくれた優しい少女の願いを、勇人はこの世界のなによりも尊重したかった。
「ってわけで、俺こと勇者はお前たちの一族が困っているのなら無理矢理にでも手を貸してやるってわけだ」
「…………」
「ん? おーい、もしもーし? リリア?」
勇者、という言葉を聞いたリリアは顔を引きつらせながら動きを止めた。
いくら手を振っても反応しないリリアに業を煮やした勇人は、無防備に晒されている秘部に手を伸ばして撫で上げる。
「ひゃんっ! なにするんですか!?」
「お、動いた。いやーしかしリリアってアソコの毛がないんだな。顔つきもそうだけど、そういうとこもアリアにソックリだ」
「~~~~!!」
バシバシとリリアが胸元を叩くが、ドラゴンに殴られても傷一つつかない勇人にとって、その程度で痛みを感じることはない。
「いきなり女性に対してキスするのも、ひ、秘部を触るのもありえません! それに貴方が勇者なんて嘘はやめてください! クレスティン家には勇者は人間だったと伝わっています! 人間が、二百年も生きられるわけがありません!」
「勇者は人間、か。嬉しいことを伝えてくれているものだな。だけど、残念ながら勇者の身体は化け物だ。歳はとらないし、少なくともこの世界の者ではほとんど傷がつけられない。その言葉はな、俺が魔王を倒すためだけの化け物だと思って心が壊れかけた時にアリアが言ってくれた言葉なんだよ」
いくら人外の力を持とうとも、常人とは違う存在なれど、心が人間であるのなら、それは化け物ではない。
勇者は人間である。
その言葉にどれだけ勇人が救われたのかなど、考える必要もない。
「そういうわけで、俺は正真正銘の勇者だ」
「しょ、証拠は! 口にするだけならば誰にでもできます」
なおも信じられないリリアがそういうと、勇人は片手を天高く構えて宣言する。
「――召喚」
瞬間、極光が膨れ上がる。あまりの眩しさにリリアが目を閉じて、次に開いた瞬間には勇人の手に一振りの剣が握られていた。
光で鍛えたかのような刀身に、溢れる神気はそばにいるだけで魂が安らぐ。これこそが、伝承で聖剣と呼ばれる勇人の半身だった。
直に聖剣を見たことで、嫌がおうにもリリアは理解してしまう。
勇人の言葉が嘘偽りのない真実なのだと。
「本当に、勇者様……?」
「だからそういっているだろ? まあ、俺の行動を知っていると納得し難いよな」
せっかくカッコいい場面だというのに、勇人は空いた片手でリリアの胸を揉みし抱く。
「あんっ! ゆ、勇者様! ふざけないでくださいっ」
「ふざけていないって。むしろ本気。どうせ俺が勇者だって知っても、協力は拒むんだろ?」
「んんっ! あ、当り前、ひゃん、ですっ。なおさら、勇者様を私の事情に巻き込むなんてしたく、ひぎっ、ないでしゅ」
最後の方は若干呂律が周っていなかったが、それでも強い意志を持って見つめてくるリリアに、勇人は苦笑する。
「本来ならばお前たちの一族の説得はそれはもう時間がかかるだろうが、今回はラッキーだ。本当は快楽漬けの俺無しでは生きていけないくらいに調教してからのつもりだったが、手間が省けた」
「な、なんですか、んっ、それっ」
「体液はさっきのキスで飲み込ませたから、後は俺の魔力か」
なんとも物騒な言葉を吐きながら勇人は、手の中に納まらない胸を揉み、乳輪を撫でて、ぷっくりと膨れた乳首を摘まむ。
「あひっ」
リリアの意識が、明らかに逸れていることを確認してから、勇人は清々しいほどに下種の表情を浮かべて聖剣を消すと、隙をついてリリアの首についている物に触れる。
「我、一之瀬勇人。彼の者リリア・クレスティン・フェミルナを束縛にて戒める。彼の者を我が僕に。隷属契約、執行」
勇人の魔力が流し込まれ、リリアの首についていた隷属の首輪が作動する。幾重物魔法陣が空中に展開された後、首輪に契約履行完了の印が付けられた。
「これでよし。――あだっ!」
満足気に頷く勇人だったが、即座に真横から飛んできた平手を受けて真っ赤な紅葉を頬に作ってしまう。
「し、信じられません! こ、こんな無理矢理に、隷属の契約を結ぶなんて!」
「別にいいだろ。リリアには力がいる。俺はお前を手伝いたい。利害の一致が噛みあった結果だろ」
「全然噛みあっていませんし、納得なんてしていません! 勝手なことしないでください!」
「あーはいはい。文句なら今後いくらでも聞くからさ、素直に手伝わせてくれよ、な?」
「……契約の破棄は」
「しない」
「期限は――」
「リリアが死ぬか、俺がいらないと思うまで」
取りつく島のない勇人の言葉に、リリアは諦めたように肩を落とす。
「せめて……せめて、私にできることを勇者様にさせてください。助けていただくのを諦めて貰うのを諦めますけど、一方的な関係にはしたくありません」
「リリアにできること? んー?」
わざとらしく考える素振りをしてから、勇人はリリアが受け入れることのできない無茶振りを提案する。
「俺の性欲処理に付き合ってくれるとか?」
性欲処理という言葉を聞いた瞬間に、リリアはただでさえ赤い顔を更に真っ赤に染めて俯かせた。
別に対価など求めていない勇人は、これでリリアは諦めてくれるだろうと思っていた。だが、
「わ、わかりました」
沸騰させたような真っ赤な顔を上げ、涙目になりながらリリアは勇人の提案を受け入れた。
「……はい?」
「ですからわかりましたと言ったんです! 勇者様の性欲処理は、私がします!!」
「…………えぇ」
絶対に断れることを前提に提案したことが受け入れられたことに、勇人は頬を引きつらせる。
そして、心の中で盛大に呟く。
どうしてこうなった、と。
頭の中で繰り返される言葉は、かつての彼女との誓いの言葉。
――もし、もし私の子供たちが困っていたら、助けてあげて。私の子供だから、多少強引にいかないと絶対に人を頼ろうなんてしないから。
最後に別れる時、寂しそうな顔でそういった彼女のことを、勇人は二百年経ったいまも忘れない。
森へでリリアを探して数十分、ようやく見つけたリリアが、ドマに組み敷かれている場面を目撃した瞬間、問答無用で力を解放しなかった自分を勇人は褒めてやりたくなった。
(落ち着け。大丈夫だ)
絶望に支配され、今まさに心が折れそうになっているリリアと、自分が絶対強者であると信じて疑わない彼らに対して、勇人は正義の味方のように宣戦布告する。
「おいおい。勝手に人の同居人に手を出すなよ」
「なっ! 誰だ!」
声をかけたことでようやくこちらの接近に気がついたのか、護衛の男たちが狼狽え始める。
(この程度の隠行にすら気がつかないなんて。三流の護衛を雇っているのか、それとも質が下がったのか。まあ、後者だろうな)
見るからに格の低い装備を見て、勇人は嘆息する。貴族らしい男の護衛がこの装備なのだ。市井の者はさらに劣悪なものを使っているのだろうことは想像に容易い。
「己コソコソと! 姿を現せ!」
見つからない勇人に苛立ったドマが叫ぶと、見ていられないとばかりに隠行を解いた。
ドマは、いきなり現れた勇人に驚いた表情をするが、相手が一人だとわかるやすぐに余裕の表情に戻る。
「ははは! 誰かは知らんがよくも俺の楽しみを邪魔したな! たった一人でノコノコ現れた愚か者には罰を与えねばな! お前たち!」
ドマが目配せすると、姿を表した勇人を男たちが取り囲む。
「イチノセさん! 逃げて!」
悲痛に満ちたリリアの叫びに勇人は不敵な笑みで答える。
「バーカ。俺がこの程度のド三流に負けるかよ」
「馬鹿め! こそこそ隠れていた奴が俺の雇ったAランクパーティーの勝てるものか!」
「あーはいはい。豚が他人の威を借りて吠えるのはみっともないぞ」
「な!?」
勇人が中指を立てて挑発すると、ドマは顔を真っ赤にして脂肪をプルプルと震わせる。
「脂肪がプルプルしてるとハムみたいだな」
「殺せ! この無礼者をいますぐ俺の前から消せ!」
ドマの命令に従い、護衛の男たちが動き出す。
彼らは今の世の中では一流と呼ばれる腕を持つ冒険者だった。
並大抵の者に遅れをとることはないが、いかんせん相手が悪かった。
一之瀬勇人というかつて勇者と呼ばれた男を相手にするには、彼らは力不足過ぎた。
男たちが油断なく勇人に攻撃魔法が襲いかかる。火が、雷が、氷のつぶてが、一人の男を殺すために向けられる。
誰が見ても避けられない攻撃を、勇人は腰から抜いた剣を一線するだけで消し飛ばした。
「は?」
それは誰の口から漏れた言葉だったのか。
ただの鉄剣を振るっただけで魔法を散らすなど、誰が想像できたのだろうか。
誰もがそう思ったが、しかし現実として男たちが放った魔法は消されたのだ。
考えられる可能性として、勇人が持つ剣がl魔道具なのだとドマは当たりをつける。
「あの剣が魔法を無効化したのだ! 魔法ではなく切り殺せ!」
「無駄だ」
遠距離からの優位を捨て、切りかかって男の胴を、まるで濡れ紙を割くように断ち切る。
切りかかってきた男が倒れる前に駆け出し、近くで動揺している男の首をはねる。
(後三つ)
自分たちがそれなりの冒険者だと思っていた男たちは、いきなり現れた恐るべき技量を持った勇人を見て浮き足立つ。
その稚拙さに呆れながらも、勇人が隙を逃すことはない。
一瞬でリーダー格の男に接近すると、神速ともいえる早さで切りかかる。
だが、腐っても上位冒険者のリーダーである男は、反射的に勇人の剣を受け止めようとして、
「ごほっ」
防御した剣ごと叩き切られた。
(後二つ)
「ひ、ひいいいいいいい!」
残った冒険者に視線を向けると半狂乱になりながら突撃してきた。
完全に注意力散漫となって突撃してくる男の足を引っ掻けて倒すと、喉に剣を突き立てて絶命させる。
(後一つ)
「い、嫌だ! 死にたくない!」
武器を捨て、逃亡しようと背中を向けた男に向けて、手に持った剣を投擲する。
「こひゅ!」
頭蓋骨を貫通し、木に縫い付けられた男は、びくびくと断末魔の痙攣をした後、動かなくなった。
「さて、後は」
護衛の冒険者をわずか数秒で片付けた勇人は、ついでとばかりにリリアを押さえている冒険者へポーチから取り出した投げナイフをプレゼントして命を刈り取った。
「な、な、な」
目の前で起こった、戦闘とも呼べぬ虐殺劇に、さすがのドマも顔を真っ青にする。
ジャリっと、勇人が一歩近づくと、情けない悲鳴を上げて腰を抜かす。
「え、偉そうなことを言って悪かった! 金ならいくらでも出す! なんなら我が家の専属として雇ってもいい! そ、そうだ! そこの女も好きに抱いていいぞ! だから命だけはーー」
「悪い。豚の言葉は習ってないんだ」
「い、嫌だ! 助けーー」
みっともなく転げ回って逃げようとするドマの首を、勇人はきっちり撥ね飛ばした。
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一連の虐殺を、リリアは茫然とした表情で見つめていた。
自分を犯そうとしていた相手とはいえ、殺すほどなのだろうかという気持ちはあるが、それは甘えだと知っているリリアは口を噤む。
だが、目の前で起こっている光景よりもリリアは気になっていることがあった。
勇人が強いことは、以前に助けられたこともあって知っていた。しかし、ここまで人間離れした強さを持っているとは思っていなかった。
(イチノセさんは、一体……)
一振りで魔法を消し飛ばし、A級冒険者と呼ばれる、人間の中でも上位に近い者たちを、有象無象のように薙ぎ払い、倒していくその姿はお伽噺にでてくる魔王か、もしくは勇者のようである。
(まさか……)
リリアは思い浮かんだ考えを打ち消す。
勇者は人間である。
幾多の学者が、勇者と言う超常的な存在が化け物であるとのたまっている。
だが、聖女の末裔と呼ばれるクレスティン家には絶対的な事実として、勇者は人間であったと受け継がれている。
故に、人である勇者が今代に生きているはずがない。では、このような化け物染みた強さをもつ勇人とは一体どういう存在なのか――。
「ひっ!」
そこまで思考が飛びかけた所に、ドマの首が転がってきたことで中断される。
憎い筈の男は、恐怖に顔を引きつらせたままその命を散らしたようだ。
「……ふう、こんな所か」
リリア以外に、動く者がいなくなったことで、ようやく勇人の動きが止まる。
全身を返り血で赤黒く染め、鉄臭い死臭を漂わせながら、勇人はリリアに近づくと、そのままお姫様抱っこの格好で抱き上げられる。
血の臭いがする腕の中に抱き上げられたことで、反射的に身が竦み、目を瞑ってしまう。
「なにもしないから安心しろ。血がついて気持ち悪いとは思うが、少しの間だけ我慢してくれ」
「は、はい……」
「いい子だ」
ニッと、白い歯を見せて笑う勇人は、まるで子供のようで、先ほどまで殺し合いをしていた人物とは思えなかった。
「じゃ、少し飛ばすからしっかり捕まっていろよ」
「へ? 飛ばすって――きゃあああああああああああ!」
猛烈に嫌な予感がしたかと思えば、リリアの身体に強烈な慣性が襲い掛かる。
まるで馬に乗っているかのような速度で次々と変わる景色を見て、落とされてはたまらないと勇人の首に手を回してがっちり抱き着いた。
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「到着、っと」
しばらくの間腕の中で揺られていると、綺麗な泉に辿り着いた。
周囲には休みにきている獣たちが、穏やかな表情で泉を囲んでいる。
「あの、イチノセさん?」
「ほら、土と埃、あー血もついているか。とりあえず身体を洗うか。俺も洗うから」
「あの……」
「いいから」
「きゃっ!」
勇人はリリアを抱き、服を着たまま泉に飛び込んだ。
バシャンッ、という音に、周囲の獣たちが警戒して立ち上がるが、音の発生源が勇人だとわかるや、安心したように再び身体を休ませる。
「い、イチノセさん。いきなりなんですか?」
「汚れたままじゃ嫌だろ?」
ゆっくりと泉の中へと降ろされるが、いきなりの行動にリリアは戸惑いを浮かべる。
「そうですけど……別に自宅に戻って身体を拭くだけでもよかったのでは?」
「それだとシェロに余計なちょっかいを出されるかもしれないからな」
「ちょっかい?」
不思議そうに首を傾げると、勇人はニンマリと笑ってリリアの胸元を指差す。
「ここ。さっきから丸見えだぞ。そんな風に挑発されたら我慢できないのも仕方ないだろ?」
「……へ? あっ!」
リリアは、そこでようやく自分の服がドマに破られていることを思い出し、慌てて両手で胸元を隠そうとする。
「いやいや、隠さなくていいって」
「馬鹿なこと言わないでください! ああああ……恥ずかしい」
自分の格好に恥じたリリアが頭を抱えていると、勇人の顔を近づけてきた。
「あの、イチノセさん。顔がちか――むぐっ」
勇人の唇が、無理矢理にリリアの唇へと重ねられる。
「むぐっ、んむぅ、んんっ!」
突然の事態に驚くリリアを無視して、閉じている口をこじ開けてきた舌が、口腔を舐るように這い回っていく。
なんとか顔を逸らして逃げようとするが、片手でガッチリと抑えられた頭は動かない。
「むぅっ、ふぅぅ、っっ!」
絡みあう舌と舌。二人の間を唾液が往復し、零れた滴が胸元へと滑る。呼吸すら忘れて唇を貪り尽くされているリリアの顔が息苦しさと恥ずかしさで真っ赤になったところで、ようやく勇人が唇を離した。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
唾液の糸が離れた二人を名残惜しそうに繋いでいる。
一体なぜこんなことをするのか。荒い呼吸のままリリアが睨みつけると、勇人は頬を掻く。
「フェミルナは――ああ、もう他人行儀なんて面倒くせえ。リリアはこれからどうするか考えているのか?」
ガシガシと頭を掻いた勇人が、いままでにないほど真剣な眼差しでリリアを見つめる。
聞きたかった言葉ではないが、勇人の真剣な瞳を見たリリアは、眉根を寄せながらも答える。
「どうするか、ですか?」
「そう。俺はリリアがどういう理由で逃げているのかはしらない。けど、これからもあの貴族の豚みたいなのがお前を狙うだろうさ。それをどうやり過ごすのか。やり過ごした上で、なにをしていきたいのかだ。復讐か? それともどことも知れない場所への逃亡か? 望むのなら手を貸してやるぞ」
「……不要です。私の、我が家の事情にイチノセさんを巻き込めません」
「なんでだ? 俺の強さをみただろ? どういう理由であれ、傍に置いておけば役に立つぞ」
「……確かに、イチノセさんの力は魅力的です。私が成したいこと、成せねばならないことに対して大きな力になることは間違いありません」
「だったらいいだろ」
「だからこそ、です。私は私の事情で、我が家の問題に対して他人を巻き込みたくありません。ましてやイチノセさんはこんな場所に隠れ住んでいます。それは、貴方の力を他人にひけらかすのを嫌っているからではないのですか?」
彼ほどの力を持った人間は、本来ならば英雄として祭り上げられていてもおかしくはないとリリアは思っている。
「名誉や地位を欲するのではなく、隠れる様に生きているイチノセさんは目立つようなことはしたくないのでしょう? 違いますか?」
「……半分は正解だ。だが、もう半分はハズレだ」
「半分正解で、半分ハズレ?」
「そうだ。俺は人間に失望した。もう二度と他人のために力を振るわないと決めた。だから隠居したっていうのが正解部分。ハズレの部分は、ある一族が本気で困った時に無理矢理に力を貸してやるって約束があるから、目立つようなことをしたくないわけじゃない」
「ある一族……状況から考えるに、私たちの、クレスティン家?」
「ああ、そうだ。初代聖女、アリア・クレスティン・フェミルナと、勇者一之瀬勇人が交わした絶対的な盟約だ」
******
「ああ、そうだ。初代聖女、アリア・クレスティン・フェミルナと、勇者一之瀬勇人が交わした絶対的な盟約だ」
勇人は、自分の口から出た壮大な言葉に内心で苦笑する。
あれは盟約など重苦しいものではない。死に瀕したアリアが零した弱みであり、お願いだ。
そこに契約のような強制力はない。だが、勇人はそのお願いを叶える機会があれば全力で叶えてやると決めていた。
自分の心を癒し、人に戻してくれた優しい少女の願いを、勇人はこの世界のなによりも尊重したかった。
「ってわけで、俺こと勇者はお前たちの一族が困っているのなら無理矢理にでも手を貸してやるってわけだ」
「…………」
「ん? おーい、もしもーし? リリア?」
勇者、という言葉を聞いたリリアは顔を引きつらせながら動きを止めた。
いくら手を振っても反応しないリリアに業を煮やした勇人は、無防備に晒されている秘部に手を伸ばして撫で上げる。
「ひゃんっ! なにするんですか!?」
「お、動いた。いやーしかしリリアってアソコの毛がないんだな。顔つきもそうだけど、そういうとこもアリアにソックリだ」
「~~~~!!」
バシバシとリリアが胸元を叩くが、ドラゴンに殴られても傷一つつかない勇人にとって、その程度で痛みを感じることはない。
「いきなり女性に対してキスするのも、ひ、秘部を触るのもありえません! それに貴方が勇者なんて嘘はやめてください! クレスティン家には勇者は人間だったと伝わっています! 人間が、二百年も生きられるわけがありません!」
「勇者は人間、か。嬉しいことを伝えてくれているものだな。だけど、残念ながら勇者の身体は化け物だ。歳はとらないし、少なくともこの世界の者ではほとんど傷がつけられない。その言葉はな、俺が魔王を倒すためだけの化け物だと思って心が壊れかけた時にアリアが言ってくれた言葉なんだよ」
いくら人外の力を持とうとも、常人とは違う存在なれど、心が人間であるのなら、それは化け物ではない。
勇者は人間である。
その言葉にどれだけ勇人が救われたのかなど、考える必要もない。
「そういうわけで、俺は正真正銘の勇者だ」
「しょ、証拠は! 口にするだけならば誰にでもできます」
なおも信じられないリリアがそういうと、勇人は片手を天高く構えて宣言する。
「――召喚」
瞬間、極光が膨れ上がる。あまりの眩しさにリリアが目を閉じて、次に開いた瞬間には勇人の手に一振りの剣が握られていた。
光で鍛えたかのような刀身に、溢れる神気はそばにいるだけで魂が安らぐ。これこそが、伝承で聖剣と呼ばれる勇人の半身だった。
直に聖剣を見たことで、嫌がおうにもリリアは理解してしまう。
勇人の言葉が嘘偽りのない真実なのだと。
「本当に、勇者様……?」
「だからそういっているだろ? まあ、俺の行動を知っていると納得し難いよな」
せっかくカッコいい場面だというのに、勇人は空いた片手でリリアの胸を揉みし抱く。
「あんっ! ゆ、勇者様! ふざけないでくださいっ」
「ふざけていないって。むしろ本気。どうせ俺が勇者だって知っても、協力は拒むんだろ?」
「んんっ! あ、当り前、ひゃん、ですっ。なおさら、勇者様を私の事情に巻き込むなんてしたく、ひぎっ、ないでしゅ」
最後の方は若干呂律が周っていなかったが、それでも強い意志を持って見つめてくるリリアに、勇人は苦笑する。
「本来ならばお前たちの一族の説得はそれはもう時間がかかるだろうが、今回はラッキーだ。本当は快楽漬けの俺無しでは生きていけないくらいに調教してからのつもりだったが、手間が省けた」
「な、なんですか、んっ、それっ」
「体液はさっきのキスで飲み込ませたから、後は俺の魔力か」
なんとも物騒な言葉を吐きながら勇人は、手の中に納まらない胸を揉み、乳輪を撫でて、ぷっくりと膨れた乳首を摘まむ。
「あひっ」
リリアの意識が、明らかに逸れていることを確認してから、勇人は清々しいほどに下種の表情を浮かべて聖剣を消すと、隙をついてリリアの首についている物に触れる。
「我、一之瀬勇人。彼の者リリア・クレスティン・フェミルナを束縛にて戒める。彼の者を我が僕に。隷属契約、執行」
勇人の魔力が流し込まれ、リリアの首についていた隷属の首輪が作動する。幾重物魔法陣が空中に展開された後、首輪に契約履行完了の印が付けられた。
「これでよし。――あだっ!」
満足気に頷く勇人だったが、即座に真横から飛んできた平手を受けて真っ赤な紅葉を頬に作ってしまう。
「し、信じられません! こ、こんな無理矢理に、隷属の契約を結ぶなんて!」
「別にいいだろ。リリアには力がいる。俺はお前を手伝いたい。利害の一致が噛みあった結果だろ」
「全然噛みあっていませんし、納得なんてしていません! 勝手なことしないでください!」
「あーはいはい。文句なら今後いくらでも聞くからさ、素直に手伝わせてくれよ、な?」
「……契約の破棄は」
「しない」
「期限は――」
「リリアが死ぬか、俺がいらないと思うまで」
取りつく島のない勇人の言葉に、リリアは諦めたように肩を落とす。
「せめて……せめて、私にできることを勇者様にさせてください。助けていただくのを諦めて貰うのを諦めますけど、一方的な関係にはしたくありません」
「リリアにできること? んー?」
わざとらしく考える素振りをしてから、勇人はリリアが受け入れることのできない無茶振りを提案する。
「俺の性欲処理に付き合ってくれるとか?」
性欲処理という言葉を聞いた瞬間に、リリアはただでさえ赤い顔を更に真っ赤に染めて俯かせた。
別に対価など求めていない勇人は、これでリリアは諦めてくれるだろうと思っていた。だが、
「わ、わかりました」
沸騰させたような真っ赤な顔を上げ、涙目になりながらリリアは勇人の提案を受け入れた。
「……はい?」
「ですからわかりましたと言ったんです! 勇者様の性欲処理は、私がします!!」
「…………えぇ」
絶対に断れることを前提に提案したことが受け入れられたことに、勇人は頬を引きつらせる。
そして、心の中で盛大に呟く。
どうしてこうなった、と。
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