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グレアンドラ町編
高井 魂夜とディメルス=ブレイブ
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まだ日本にいた頃の話だ。俺の家の一族は武道家で、毎日修行を重ねていた。
この前の春休みの間、親の命令で山奥で一ヶ月間籠り、修行を行う事になった。しかも、一人でだ。
最初は順調だったものの、段々と食料も取れなくなり……最終的には餓死した。
己の弱さの問題でなく、食料に困って死ぬなんてな……まだやり残した事が沢山あったのによ……。
死んだと思ったけど、もう一度目覚める事が出来た。
最初は何が起きているか分からなかったけど、頭を落ち着かせると、ここは神聖なる場所で、俺は寝心地の悪いベッドの上で寝転がっている事が分かった。
死の先なんて考えた事もなかったが、まさかもう一度生き返れる事を知った時は嬉しかった。
喜んでいると、一人の女性が出てきた。名前は忘れたけど、美人な女神だった。
そんな美人とは裏腹に、異世界に連れてってやるから、何か特典だのチートだのをプレゼントすると、怪しい訳の分からん事を聞かれたが、何か嫌な予感がしたし、そんなので強くなっても仕方がない。そう思って貰うのを断った。
だが、そういう訳にも行かないらしく、何かしら与えようとしていた時、別のちっこい女神が何かを持って俺の所へ来た。それは、エメラルドの宝石が埋め込まれたペンダントだった。
金目の物でも持ってけって事かよ……と思ったその瞬間、ペンダントから光が放たれ、誰かが出てきた。
「だ、誰なんだ!?」
「お初にかかります。私、剣士ディメルスと申します。とは言え、もう剣士と呼べる者では無いんですが……」
「あっちの世界では強くて有名だったけど、魔王にやられて死んだの。んで、彼には未練があるらしいのよ。何だっけ?」
「もちろん、魔王にもう一度挑んで戦い、勝ち抜きたいです! ですが、死んでしまった以上、再び肉体を手に入れないのです。もう私の体も燃やされてるでしょうし、乗り移る体もない……」
「そこで、あんたにはディメルスの魂を預かって欲しいの。このペンダントの中でね」
何でだよ、何で強い剣士と格闘家の俺が一緒に居なきゃならないんだよ!! 全く同じ系統じゃないだろ!!
「──不満そうな顔してるけど、あんただって、未練があるんじゃないの?」
「た、確かにあるけど……だからって、何で俺がディメルスだの何だのを連れなきゃいけないんだよって事だ!!」
「未練がある者同士、って事。ディメルスだって、あんたと同い年なのよ。若いのに死んで、やり残した事なんか山ほどあるでしょ? だから、それを異世界でやり遂げるの。悪い話じゃないでしょ?」
「そ、そんな事言われたってよ……」
「……あんたね、ディメルスの気持ちにもなってみなさいよ。こんなに自分と一緒に行くのを拒否されて、悲しくなっているって事に気づかないの?」
ハッと我に返り、横を見てみると、苦笑い3割、悲しみ7割の顔をしたディメルスが体育座りをしていた。
「一人だと、生活に困る事だってある。だけど、異世界出身のディメルスが一緒なら、安心安全。きっと、餓死になるなんて事もないわよ」
「お前! 人の死因を馬鹿にするな!! ……でも、あんたの言う通りかもしれない。……いいだろう、着いてきたきゃ着いてくるがいい、ディメルス」
「はい! この瞬間、私は高井魂夜のお供になる事を誓います!!」
「決まりね。じゃあ、ペンダントはプレゼントとして、あんたには憑依魔法を伝授するわ。ディメルスを一時的に甦らせる為の、ね」
結局、その特典だのを受け取ってしまった。……まあ、ディメルスを呼ぶためだったら仕方ないか、と自分に言い聞かせたのだった。
※
「なんて事があったんだ。で、今のディメルスは前の力の半分しか出せない。法則だのでの決まりらしい。……どうだ、これでわかっただろ」
「はい、とても分かりました。その特典をくれた女神の正体も」
「なら良かったです。スリヒト、ようやく苺畑さんが来てくれたんだから、そろそろ魔王を倒すために出発を……」
「嫌だ。確かにお前にはあの文章を書かせたが、あくまでも動画のコラボの為だ」
やっぱり、トールドさんが書いたんじゃなかっんだ……。ディメルスさんの方がいい印象だし。
「それに、何の宛もなく魔王の元へと行っても、また返り討ちに会うだけなんじゃないのか」
「そ、それはそうだけど……」
「それよりもだ。苺畑が来てくれた事だし、早速一緒に動画のネタを考えるぞ。2階からパソコン取ってくるから待ってろ……」
トールドさんはまた扉を閉めて、2階へと向かっていった。
「……スリヒトの言う通りにしなくちゃですね。僕はスリヒトのお陰で、今皆さんとお話しすることが出来るんですから、偉い態度を取れないんです」
ディメルスさんは何とか無理をしながら笑いながら話しているが、心の中では悲しい顔をしてるだろう。
「ディメルスさん……」
「スリヒトが戻ってくる音がします。楽しく企画、考えましょう」
「……はい」
ディメルスさんの言う通り、トールドさん直ぐに扉を開けて入ってきた。
「……よ、待たせたな」
「いや、全然待ってないですよトールドさん」
「──そうだ、お前ら、今からは俺の事を呼び捨てで呼んでくれ。敬語も使っちゃダメだ。硬い空気でやりたくないんだ。な、駿我」
「わ、わかったよ、トールド……魂夜?」
「うん、それでいい。魂夜で頼む」
余りスッキリとした気持ちにはならないが、俺達は次の動画の内容会議へと移っていった。
※
会議開始から数時間が経過した。様々な意見が飛び交ったが、最終的には、「パンケーキを作ってみた」になった。シンプルイズベスト、と言うやつだ。
「……撮影は明日、という事で決まりだな。てか、お前らって今日の宿泊場所決まっているか?」
「……あーーー!! 予約すんの忘れてたぁーーー!!」
「デカい声を出すな七海。さっき席を外した時、帰ってきた家主さんに相談したら、泊めてもいいって言ってたから、良かったら今夜は家に泊まってけ」
「いいの魂夜!? じゃあお言葉に甘えて泊まっちゃおうよ!」
「そうね! お泊まりは楽しいものね!」
泊まっていくのはいいけど……ここ人形屋敷だし、夜なんか動き出しそうで怖いな……いや、既にディメルスさん自身が動いてるし平気か……。
「じゃあ、夕飯が出来るまで自由時間にする。町に出かけるもよし、部屋で休むのもよし、だ」
「それじゃあ私、町長さんに挨拶しに言ってこようかしら」
「私は部屋で漫画の続き書こっと。それじゃあ二人とも、夕飯にまた会おうねぇ」
女子達は各自の場所へと向かっていった。残るは男子チームのみ。
「俺は夕飯前の修行に行くが、駿我も着いてくるか?」
「う、うん。折角だしね」
魂夜は格闘家、と言っていたが、一体どれくらい強いのだろうか……。
※
修行場所は、町より100メートル程離れた森林だ。木を倒して、それを売って、屋敷の家賃に回しているらしい。
ちなみにディメルスさんは、町の中を歩くとみんながパニックになる為、またペンダントに魂を預けた。
「……今日はこの木辺にしよう。ちゃんと見てろよ駿我」
魂夜は目を閉じ、大きく息を吸い、そして吐く。目を開き、腰を低くする。──拳を引き、力を貯める。拳は震える程力強い。
「──!! はぁっっっっっっっ!!!!」
大きく目を開眼し、そして大きな声と共に、拳を前へと引き伸ばした。その時、俺はとんでもない物を目撃してしまった。
拳からサッカーボール程の大きさの真空波が生まれ、目で追えない早さで木を目掛けて放たれた。森林中に、ドオォォォォォォォン!!! という凄まじい衝撃音が響いた。
勿論木は直ぐに倒れ、砂煙を撒き散らす。
「……これが我が高井家に伝わる、真空拳だ。魔法なんかは一切使ってない」
「こ、これで魔法じゃないって事は、日本にいた時から既に習得してたって事!?」
「そう言う事だ。日本じゃ中々この技を出せないけど、こっちの世界なら、変に思われること無く真空拳を放てるから、その点ではこっちに来てよかったと思えるんだよ」
──日本にこんな種族が居たのか……まだまだ知らない事ばかりだったんだな……。
「──今度はお前の番だ、ディメルス。憑依魔法!! 対象は霊人形。 蘇 生精 霊!!」
さっきと同じように、ペンダントから魂を藁人形に移し、再び肉体を取り戻した。
「ディメルス、再びこの地に蘇ったり!! いつも通りでいいのか、スリヒト?」
「ああ。好きにやってどうぞ」
「了解だ。……スガル君、僕の力を感じてください。……創作魔法!!剣・生!!!」
ディメルスさんは両手を空に力強く向け、魔法を唱えた。すると、さっきまで何も無かった所から、徐々に剣が作られていく。
そして、立派な剣が出来上がり、その剣は地面に突き刺さった。それを、ディメルスさんが引き抜く。
「驚くのはまだ早いですよ、スガルさん。……透明マテリアル!」
そう唱えたと思った途端、ディメルスさんの姿が突如としてスッと消えた。だが、そこにディメルスさんが存在している事は伝わる。
「透明マテリアル。現役時代に、盗賊等から狙われていた宝を隠す為に使っていた魔法らしい。だが、今は自分が憑依している物自身に魔法をかけて、自分を透明化させて戦う戦法を取っている。敵には見えない、霊だからこそできる技だ。まぁ、三時間しか持たないけどな」
三時間も持つなんて凄い……でも、ディメルスさんの力は昔の半分しかないから、現役時代は六時間も持ったってこと!? 有名だったと言うのも納得だ。
(──行くぞ!! はぁぁぁぁぁぁ!!!)
そう関心している間に、木片が周囲に散らばり、そして、シュン! という切られたような擬音と共に、電ノコで切っても数分掛かりそうな大きな木は、一瞬にして複数に切り刻まれた。
(解除!!)
そう唱えると、またしても突如、ディメルスさんが俺の目に見えるようになった。
「──今日はいつもよりも上手く切り刻めなかったな……」
「……少し緊張気味だったんじゃないか? だがそれを克服するのも修行の一つだ。でも、今日はこの辺にしよう。いい状態のはこれだな……ヨイショ、っと」
魂夜は何の躊躇もなく、軽々と倒木を持ち上げた。まるで、空のペットボトルを持っているような感覚で。
もはや格闘家の域を超えて超人じゃん……。
「ディメルス、ペンダントに戻れ」
「了解」
ディメルスさんは憑依魔法を解除し、人魂となってペンダントへと戻っていく。地面には霊人形がボトっと落ちた。
「駿我、その霊人形を拾ってくれ。手が塞がってるから取れない」
「う、うん」
地面に落ちた霊人形を拾う。髪もない、服も着ていない、白いマネキンのような物だ。
「この近くに木材屋がある。日が暮れる前にそこに売りに行こう」
「わ、わかった……」
俺は魂夜の後に続いて、森林の中を歩いていった。
※
「はい、今日の木はBランク級だから、五百円だ。いつもありがとう、スリヒト君」
木材屋に着いて、早速査定をしてもらうも、この値段で驚いている。流石に安いんじゃ……と思ったけど、こっちの世界って物価が安いから、その分買取値も安いものか……。
「こちらこそ、いつも買い取ってくれて助かります。──スガル、行くぞ」
「うん……ねぇ、家賃って幾らくらいなの?」
「飯代、水道代、電気代、それにネット代込で三千円。毎日木を売っても、殆ど家賃で持ってかれるから、手元に残るのは雀の涙だ。だから、自分の好きな物に使えるように、動画投稿を始めたわけ」
お小遣い稼ぎの為って事ね。なるほど。
「でも、俺も底辺な方だから、収入も多くはない。……まあ、上り線はこれからだと思えば、なんて事ない」
「──そうだよね。動画投稿って、楽な道じゃないもんね……」
結局、あっちでもこっちでも、上手く行く事なんてない、そういう事なんだな。
「まあ、こんな暗い話は出会って一日目にする事じゃないよね。もっと楽しい話しよっか」
「そうだな。そういえば、駿我はどんな力を持っているんだ?」
「えっ、そ、それは……あの、大変言い難いんだけど……Sランク魔法のファイヤーソウルっての……」
「……やっぱりな。今の子は強い能力を最初から持ちたがるものだ、全然悪い事では無いと……ブブッ」
あ、今笑ったな。笑うの耐えてたなこいつ。てか俺が望んで貰った力じゃないし、萌子が選んでくれたやつだし。
「でも、魔法とか使える世界に来たんだし、他の技も習得してみたらどうだ? 軽くなら、ディメルスに教えて貰えると思うぞ。基本的な魔法くらいなら、あいつでも教えられるだろう……」
「魂夜は魔法を習得しないの?」
「ああ、憑依魔法以外、覚える気などない。真空拳だけを極める、そう決めたから」
今時チートやら最強やらと騒いでる人達が多い中、こういう考え方が出来るって凄いなぁ……。
そう話している内に、グレアンドラ町へと戻って来ていた。夕日をバックに、町の人達は買い物したり散歩したりしている。
「……何だか、まだ自分が異世界に来たって実感が湧かないなぁ」
「俺だって、まだ日本にいる感覚で生きている。狭い世界で生きてるからなのかもしれないけど」
狭い世界、という事は、魂夜はこの町から遠くへ離れた事がないのかな。まあ、俺だって初めて別の町に来たから、何も言えないけどさ。
※
ここでみんなが気になっている生態系のお話をしよう。
結論から言うと、牛も豚も魚もいる。だが、自然で育った物ではなく、牧場や養殖場などで育ったものを、こっちの世界では食べているようだ。
理由は聞かなくても分かるだろうけど、自然に放置していたら、ドラゴン等のモンスター達に食べられるからだ。……と、魂夜は言っていた。
ちなみに、今日の晩御飯はオムライスだった。家主さんは70代くらいのおばあちゃんで、料理には手馴れているのか、今まで食べてきたオムライスの中で一番美味しかった。
そんな幸せに浸りながら、魂夜の部屋のカーペットで横になっていた。……無意識にベットの下に目線が行く。何やら本がある。それも、薄いの。
メノの時のように勝手に見たら悪いし、遠慮しておこう……そう思ってはいるけど、手は勝手に伸びてしまう。
「おい」
たったその一言で、俺の体は条件反射で立ち上がった。
「ベットの下に手を伸ばして何してた?」
「ち、ちちち違う違う!! 財布の整理をしてたらベットの下に百円落としちゃって!!」
「例えそうだとして、中に入ってるものは見たんだろ。今白状したら、真空拳は無しにしてやる」
「すみませんっ!! 何か薄い本があったのを見てしまいました!!」
「タイトルは?」
「私は貴方を抱き締めたい、という百合同人みたいなのが見えました!!」
「大声出して言うなぁぁ!! 真空拳ッッッ!!」
真空拳は出さないって言ってたのに。俺の頬に拳で殴られたような痛みが伝わった。痛い。
※
「……ったく、会って一日も経ってないやつに性癖を知られるなんてよ……」
「ご、ごめんって……」
鏡で腫れた頬を確認する。湯気が邪魔して見づらい。
「でも、別におかしい事ないと思うよ。メノだってドラ×スラとか好きだし、趣味は人それぞれだからいいんじゃないかな」
「ドラ……スラ? 何だその異様なジャンルは。まだまだ俺の知らない世界ってもんがあるんだな……」
いや、俺も数日前に初めてそのジャンルを知りました。衝撃的でした。
「でも、百合はいいぞ、駿我。姉妹百合、喧嘩百合、双子百合……」
「わかったわかった! でも、それって女の子に対してそういう目で見るって、ちょっと失礼じゃないの?」
「全員そういう目で見てるわけじゃない! 七海やメノは普通の人として見てるぞ!」
うーん……百合の定義って難しいんだな。俺が入っていい世界じゃないのかも……。
「……そうだ。明日、みんなでパンケーキ作るんだよな。楽しみだ」
「そうだね。魂夜ってパンケーキ好きなのか?」
「まあ、好きという理由もあるけど、同年代の人と何か一緒にやるって、本当に久しぶりだからな。あっちの世界では、毎日修行させられて、友達と遊ぶ時間もロクにくれなかった。だから今、そういう機会を作ってくれたディメルスには、感謝しないとな……」
友達かぁ。今頃、みんな悲しんでるんだろうなぁ……。葬式とかやったのかな。いや、お通夜が先か……。
※
風呂から出て、髪をタオルで拭きながら廊下を歩く。一つ手前の部屋をチラ、と見ると、メノがペンタブで作業している姿が見えた。
「メノ、まだ絵を描いてるのか? 今日はもうその辺にしたらどうだ?」
「駿我くん、乙女の部屋にノックもせずに入ってくるなんて失礼だねぇ。今日はあと二ページ書かないと、締切までに間に合わないから」
メノは真剣な眼差しをしながら、描く手を止めず俺にそう言ってきた。
「……メノは駿我の事、くん付けで呼ぶのか?」
俺の背後で、後から来た魂夜がそう言う。
「そんなに気になる……? じゃあ、呼び捨てで……す、駿我……もう! 邪魔しないでってばぁ!!」
メノは顔を赤く染めさせて、俺らに怒ってきた。そして、扉を勢いよく閉めた。
でも、確かにメノと七海は、くん付けでずっと呼んできたな……何でだろう。
「──駿我くんに魂夜。女の子怒らせちゃダメじゃない」
「七海、いつの間に来てたのか……」
「……七海も、一緒のパーティなら、駿我の事呼び捨てで呼んだらどうだ?」
「わかったわ、駿我。これでいいの?」
魂夜の方を見ると、え、コレジャナイ、という顔をしていた。いや、俺もコレジャナイ感を感じてる。
「でもさ、呼び捨てで呼ぶタイミングって難しいじゃない? だから、そういうタイミングをくれてありがとうね、魂夜。じゃ、おやすみ」
そう言って、七海は部屋に入っていった。魂夜は、少し恥ずかしそうな顔をしていた。
「……俺らも寝るか」
「……うん」
そして我々も、さっさと自室へ戻り、布団の中に潜り込んだ。……何故だか分からないけど、俺もなんか恥ずかしくなってきた。
──今日も、面白い一日だったな……。
この前の春休みの間、親の命令で山奥で一ヶ月間籠り、修行を行う事になった。しかも、一人でだ。
最初は順調だったものの、段々と食料も取れなくなり……最終的には餓死した。
己の弱さの問題でなく、食料に困って死ぬなんてな……まだやり残した事が沢山あったのによ……。
死んだと思ったけど、もう一度目覚める事が出来た。
最初は何が起きているか分からなかったけど、頭を落ち着かせると、ここは神聖なる場所で、俺は寝心地の悪いベッドの上で寝転がっている事が分かった。
死の先なんて考えた事もなかったが、まさかもう一度生き返れる事を知った時は嬉しかった。
喜んでいると、一人の女性が出てきた。名前は忘れたけど、美人な女神だった。
そんな美人とは裏腹に、異世界に連れてってやるから、何か特典だのチートだのをプレゼントすると、怪しい訳の分からん事を聞かれたが、何か嫌な予感がしたし、そんなので強くなっても仕方がない。そう思って貰うのを断った。
だが、そういう訳にも行かないらしく、何かしら与えようとしていた時、別のちっこい女神が何かを持って俺の所へ来た。それは、エメラルドの宝石が埋め込まれたペンダントだった。
金目の物でも持ってけって事かよ……と思ったその瞬間、ペンダントから光が放たれ、誰かが出てきた。
「だ、誰なんだ!?」
「お初にかかります。私、剣士ディメルスと申します。とは言え、もう剣士と呼べる者では無いんですが……」
「あっちの世界では強くて有名だったけど、魔王にやられて死んだの。んで、彼には未練があるらしいのよ。何だっけ?」
「もちろん、魔王にもう一度挑んで戦い、勝ち抜きたいです! ですが、死んでしまった以上、再び肉体を手に入れないのです。もう私の体も燃やされてるでしょうし、乗り移る体もない……」
「そこで、あんたにはディメルスの魂を預かって欲しいの。このペンダントの中でね」
何でだよ、何で強い剣士と格闘家の俺が一緒に居なきゃならないんだよ!! 全く同じ系統じゃないだろ!!
「──不満そうな顔してるけど、あんただって、未練があるんじゃないの?」
「た、確かにあるけど……だからって、何で俺がディメルスだの何だのを連れなきゃいけないんだよって事だ!!」
「未練がある者同士、って事。ディメルスだって、あんたと同い年なのよ。若いのに死んで、やり残した事なんか山ほどあるでしょ? だから、それを異世界でやり遂げるの。悪い話じゃないでしょ?」
「そ、そんな事言われたってよ……」
「……あんたね、ディメルスの気持ちにもなってみなさいよ。こんなに自分と一緒に行くのを拒否されて、悲しくなっているって事に気づかないの?」
ハッと我に返り、横を見てみると、苦笑い3割、悲しみ7割の顔をしたディメルスが体育座りをしていた。
「一人だと、生活に困る事だってある。だけど、異世界出身のディメルスが一緒なら、安心安全。きっと、餓死になるなんて事もないわよ」
「お前! 人の死因を馬鹿にするな!! ……でも、あんたの言う通りかもしれない。……いいだろう、着いてきたきゃ着いてくるがいい、ディメルス」
「はい! この瞬間、私は高井魂夜のお供になる事を誓います!!」
「決まりね。じゃあ、ペンダントはプレゼントとして、あんたには憑依魔法を伝授するわ。ディメルスを一時的に甦らせる為の、ね」
結局、その特典だのを受け取ってしまった。……まあ、ディメルスを呼ぶためだったら仕方ないか、と自分に言い聞かせたのだった。
※
「なんて事があったんだ。で、今のディメルスは前の力の半分しか出せない。法則だのでの決まりらしい。……どうだ、これでわかっただろ」
「はい、とても分かりました。その特典をくれた女神の正体も」
「なら良かったです。スリヒト、ようやく苺畑さんが来てくれたんだから、そろそろ魔王を倒すために出発を……」
「嫌だ。確かにお前にはあの文章を書かせたが、あくまでも動画のコラボの為だ」
やっぱり、トールドさんが書いたんじゃなかっんだ……。ディメルスさんの方がいい印象だし。
「それに、何の宛もなく魔王の元へと行っても、また返り討ちに会うだけなんじゃないのか」
「そ、それはそうだけど……」
「それよりもだ。苺畑が来てくれた事だし、早速一緒に動画のネタを考えるぞ。2階からパソコン取ってくるから待ってろ……」
トールドさんはまた扉を閉めて、2階へと向かっていった。
「……スリヒトの言う通りにしなくちゃですね。僕はスリヒトのお陰で、今皆さんとお話しすることが出来るんですから、偉い態度を取れないんです」
ディメルスさんは何とか無理をしながら笑いながら話しているが、心の中では悲しい顔をしてるだろう。
「ディメルスさん……」
「スリヒトが戻ってくる音がします。楽しく企画、考えましょう」
「……はい」
ディメルスさんの言う通り、トールドさん直ぐに扉を開けて入ってきた。
「……よ、待たせたな」
「いや、全然待ってないですよトールドさん」
「──そうだ、お前ら、今からは俺の事を呼び捨てで呼んでくれ。敬語も使っちゃダメだ。硬い空気でやりたくないんだ。な、駿我」
「わ、わかったよ、トールド……魂夜?」
「うん、それでいい。魂夜で頼む」
余りスッキリとした気持ちにはならないが、俺達は次の動画の内容会議へと移っていった。
※
会議開始から数時間が経過した。様々な意見が飛び交ったが、最終的には、「パンケーキを作ってみた」になった。シンプルイズベスト、と言うやつだ。
「……撮影は明日、という事で決まりだな。てか、お前らって今日の宿泊場所決まっているか?」
「……あーーー!! 予約すんの忘れてたぁーーー!!」
「デカい声を出すな七海。さっき席を外した時、帰ってきた家主さんに相談したら、泊めてもいいって言ってたから、良かったら今夜は家に泊まってけ」
「いいの魂夜!? じゃあお言葉に甘えて泊まっちゃおうよ!」
「そうね! お泊まりは楽しいものね!」
泊まっていくのはいいけど……ここ人形屋敷だし、夜なんか動き出しそうで怖いな……いや、既にディメルスさん自身が動いてるし平気か……。
「じゃあ、夕飯が出来るまで自由時間にする。町に出かけるもよし、部屋で休むのもよし、だ」
「それじゃあ私、町長さんに挨拶しに言ってこようかしら」
「私は部屋で漫画の続き書こっと。それじゃあ二人とも、夕飯にまた会おうねぇ」
女子達は各自の場所へと向かっていった。残るは男子チームのみ。
「俺は夕飯前の修行に行くが、駿我も着いてくるか?」
「う、うん。折角だしね」
魂夜は格闘家、と言っていたが、一体どれくらい強いのだろうか……。
※
修行場所は、町より100メートル程離れた森林だ。木を倒して、それを売って、屋敷の家賃に回しているらしい。
ちなみにディメルスさんは、町の中を歩くとみんながパニックになる為、またペンダントに魂を預けた。
「……今日はこの木辺にしよう。ちゃんと見てろよ駿我」
魂夜は目を閉じ、大きく息を吸い、そして吐く。目を開き、腰を低くする。──拳を引き、力を貯める。拳は震える程力強い。
「──!! はぁっっっっっっっ!!!!」
大きく目を開眼し、そして大きな声と共に、拳を前へと引き伸ばした。その時、俺はとんでもない物を目撃してしまった。
拳からサッカーボール程の大きさの真空波が生まれ、目で追えない早さで木を目掛けて放たれた。森林中に、ドオォォォォォォォン!!! という凄まじい衝撃音が響いた。
勿論木は直ぐに倒れ、砂煙を撒き散らす。
「……これが我が高井家に伝わる、真空拳だ。魔法なんかは一切使ってない」
「こ、これで魔法じゃないって事は、日本にいた時から既に習得してたって事!?」
「そう言う事だ。日本じゃ中々この技を出せないけど、こっちの世界なら、変に思われること無く真空拳を放てるから、その点ではこっちに来てよかったと思えるんだよ」
──日本にこんな種族が居たのか……まだまだ知らない事ばかりだったんだな……。
「──今度はお前の番だ、ディメルス。憑依魔法!! 対象は霊人形。 蘇 生精 霊!!」
さっきと同じように、ペンダントから魂を藁人形に移し、再び肉体を取り戻した。
「ディメルス、再びこの地に蘇ったり!! いつも通りでいいのか、スリヒト?」
「ああ。好きにやってどうぞ」
「了解だ。……スガル君、僕の力を感じてください。……創作魔法!!剣・生!!!」
ディメルスさんは両手を空に力強く向け、魔法を唱えた。すると、さっきまで何も無かった所から、徐々に剣が作られていく。
そして、立派な剣が出来上がり、その剣は地面に突き刺さった。それを、ディメルスさんが引き抜く。
「驚くのはまだ早いですよ、スガルさん。……透明マテリアル!」
そう唱えたと思った途端、ディメルスさんの姿が突如としてスッと消えた。だが、そこにディメルスさんが存在している事は伝わる。
「透明マテリアル。現役時代に、盗賊等から狙われていた宝を隠す為に使っていた魔法らしい。だが、今は自分が憑依している物自身に魔法をかけて、自分を透明化させて戦う戦法を取っている。敵には見えない、霊だからこそできる技だ。まぁ、三時間しか持たないけどな」
三時間も持つなんて凄い……でも、ディメルスさんの力は昔の半分しかないから、現役時代は六時間も持ったってこと!? 有名だったと言うのも納得だ。
(──行くぞ!! はぁぁぁぁぁぁ!!!)
そう関心している間に、木片が周囲に散らばり、そして、シュン! という切られたような擬音と共に、電ノコで切っても数分掛かりそうな大きな木は、一瞬にして複数に切り刻まれた。
(解除!!)
そう唱えると、またしても突如、ディメルスさんが俺の目に見えるようになった。
「──今日はいつもよりも上手く切り刻めなかったな……」
「……少し緊張気味だったんじゃないか? だがそれを克服するのも修行の一つだ。でも、今日はこの辺にしよう。いい状態のはこれだな……ヨイショ、っと」
魂夜は何の躊躇もなく、軽々と倒木を持ち上げた。まるで、空のペットボトルを持っているような感覚で。
もはや格闘家の域を超えて超人じゃん……。
「ディメルス、ペンダントに戻れ」
「了解」
ディメルスさんは憑依魔法を解除し、人魂となってペンダントへと戻っていく。地面には霊人形がボトっと落ちた。
「駿我、その霊人形を拾ってくれ。手が塞がってるから取れない」
「う、うん」
地面に落ちた霊人形を拾う。髪もない、服も着ていない、白いマネキンのような物だ。
「この近くに木材屋がある。日が暮れる前にそこに売りに行こう」
「わ、わかった……」
俺は魂夜の後に続いて、森林の中を歩いていった。
※
「はい、今日の木はBランク級だから、五百円だ。いつもありがとう、スリヒト君」
木材屋に着いて、早速査定をしてもらうも、この値段で驚いている。流石に安いんじゃ……と思ったけど、こっちの世界って物価が安いから、その分買取値も安いものか……。
「こちらこそ、いつも買い取ってくれて助かります。──スガル、行くぞ」
「うん……ねぇ、家賃って幾らくらいなの?」
「飯代、水道代、電気代、それにネット代込で三千円。毎日木を売っても、殆ど家賃で持ってかれるから、手元に残るのは雀の涙だ。だから、自分の好きな物に使えるように、動画投稿を始めたわけ」
お小遣い稼ぎの為って事ね。なるほど。
「でも、俺も底辺な方だから、収入も多くはない。……まあ、上り線はこれからだと思えば、なんて事ない」
「──そうだよね。動画投稿って、楽な道じゃないもんね……」
結局、あっちでもこっちでも、上手く行く事なんてない、そういう事なんだな。
「まあ、こんな暗い話は出会って一日目にする事じゃないよね。もっと楽しい話しよっか」
「そうだな。そういえば、駿我はどんな力を持っているんだ?」
「えっ、そ、それは……あの、大変言い難いんだけど……Sランク魔法のファイヤーソウルっての……」
「……やっぱりな。今の子は強い能力を最初から持ちたがるものだ、全然悪い事では無いと……ブブッ」
あ、今笑ったな。笑うの耐えてたなこいつ。てか俺が望んで貰った力じゃないし、萌子が選んでくれたやつだし。
「でも、魔法とか使える世界に来たんだし、他の技も習得してみたらどうだ? 軽くなら、ディメルスに教えて貰えると思うぞ。基本的な魔法くらいなら、あいつでも教えられるだろう……」
「魂夜は魔法を習得しないの?」
「ああ、憑依魔法以外、覚える気などない。真空拳だけを極める、そう決めたから」
今時チートやら最強やらと騒いでる人達が多い中、こういう考え方が出来るって凄いなぁ……。
そう話している内に、グレアンドラ町へと戻って来ていた。夕日をバックに、町の人達は買い物したり散歩したりしている。
「……何だか、まだ自分が異世界に来たって実感が湧かないなぁ」
「俺だって、まだ日本にいる感覚で生きている。狭い世界で生きてるからなのかもしれないけど」
狭い世界、という事は、魂夜はこの町から遠くへ離れた事がないのかな。まあ、俺だって初めて別の町に来たから、何も言えないけどさ。
※
ここでみんなが気になっている生態系のお話をしよう。
結論から言うと、牛も豚も魚もいる。だが、自然で育った物ではなく、牧場や養殖場などで育ったものを、こっちの世界では食べているようだ。
理由は聞かなくても分かるだろうけど、自然に放置していたら、ドラゴン等のモンスター達に食べられるからだ。……と、魂夜は言っていた。
ちなみに、今日の晩御飯はオムライスだった。家主さんは70代くらいのおばあちゃんで、料理には手馴れているのか、今まで食べてきたオムライスの中で一番美味しかった。
そんな幸せに浸りながら、魂夜の部屋のカーペットで横になっていた。……無意識にベットの下に目線が行く。何やら本がある。それも、薄いの。
メノの時のように勝手に見たら悪いし、遠慮しておこう……そう思ってはいるけど、手は勝手に伸びてしまう。
「おい」
たったその一言で、俺の体は条件反射で立ち上がった。
「ベットの下に手を伸ばして何してた?」
「ち、ちちち違う違う!! 財布の整理をしてたらベットの下に百円落としちゃって!!」
「例えそうだとして、中に入ってるものは見たんだろ。今白状したら、真空拳は無しにしてやる」
「すみませんっ!! 何か薄い本があったのを見てしまいました!!」
「タイトルは?」
「私は貴方を抱き締めたい、という百合同人みたいなのが見えました!!」
「大声出して言うなぁぁ!! 真空拳ッッッ!!」
真空拳は出さないって言ってたのに。俺の頬に拳で殴られたような痛みが伝わった。痛い。
※
「……ったく、会って一日も経ってないやつに性癖を知られるなんてよ……」
「ご、ごめんって……」
鏡で腫れた頬を確認する。湯気が邪魔して見づらい。
「でも、別におかしい事ないと思うよ。メノだってドラ×スラとか好きだし、趣味は人それぞれだからいいんじゃないかな」
「ドラ……スラ? 何だその異様なジャンルは。まだまだ俺の知らない世界ってもんがあるんだな……」
いや、俺も数日前に初めてそのジャンルを知りました。衝撃的でした。
「でも、百合はいいぞ、駿我。姉妹百合、喧嘩百合、双子百合……」
「わかったわかった! でも、それって女の子に対してそういう目で見るって、ちょっと失礼じゃないの?」
「全員そういう目で見てるわけじゃない! 七海やメノは普通の人として見てるぞ!」
うーん……百合の定義って難しいんだな。俺が入っていい世界じゃないのかも……。
「……そうだ。明日、みんなでパンケーキ作るんだよな。楽しみだ」
「そうだね。魂夜ってパンケーキ好きなのか?」
「まあ、好きという理由もあるけど、同年代の人と何か一緒にやるって、本当に久しぶりだからな。あっちの世界では、毎日修行させられて、友達と遊ぶ時間もロクにくれなかった。だから今、そういう機会を作ってくれたディメルスには、感謝しないとな……」
友達かぁ。今頃、みんな悲しんでるんだろうなぁ……。葬式とかやったのかな。いや、お通夜が先か……。
※
風呂から出て、髪をタオルで拭きながら廊下を歩く。一つ手前の部屋をチラ、と見ると、メノがペンタブで作業している姿が見えた。
「メノ、まだ絵を描いてるのか? 今日はもうその辺にしたらどうだ?」
「駿我くん、乙女の部屋にノックもせずに入ってくるなんて失礼だねぇ。今日はあと二ページ書かないと、締切までに間に合わないから」
メノは真剣な眼差しをしながら、描く手を止めず俺にそう言ってきた。
「……メノは駿我の事、くん付けで呼ぶのか?」
俺の背後で、後から来た魂夜がそう言う。
「そんなに気になる……? じゃあ、呼び捨てで……す、駿我……もう! 邪魔しないでってばぁ!!」
メノは顔を赤く染めさせて、俺らに怒ってきた。そして、扉を勢いよく閉めた。
でも、確かにメノと七海は、くん付けでずっと呼んできたな……何でだろう。
「──駿我くんに魂夜。女の子怒らせちゃダメじゃない」
「七海、いつの間に来てたのか……」
「……七海も、一緒のパーティなら、駿我の事呼び捨てで呼んだらどうだ?」
「わかったわ、駿我。これでいいの?」
魂夜の方を見ると、え、コレジャナイ、という顔をしていた。いや、俺もコレジャナイ感を感じてる。
「でもさ、呼び捨てで呼ぶタイミングって難しいじゃない? だから、そういうタイミングをくれてありがとうね、魂夜。じゃ、おやすみ」
そう言って、七海は部屋に入っていった。魂夜は、少し恥ずかしそうな顔をしていた。
「……俺らも寝るか」
「……うん」
そして我々も、さっさと自室へ戻り、布団の中に潜り込んだ。……何故だか分からないけど、俺もなんか恥ずかしくなってきた。
──今日も、面白い一日だったな……。
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