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モーサン町編

パソコン買う為にモンスター狩り

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 町役場から徒歩5分、ギルド集会所へと到着した俺たちは、早速受付のお姉さんにギルド結成の手続きをしてもらう事になった。内装はやっぱり日本っぽい造りだけど、ギルドという概念はちゃんと存在しているだけまだマシだ。


「それでは、まずはこちらのギルド一覧表にお名前をお描きください」

「あ、はい。えっと、真壁 駿我まかべ するがっと......」

「待って駿我くん。日本名はこの世界では使えない事になってるの。十秒で考えて」

「鬼畜! 待って待って...... じゃあハンドルネームの、スガル・リーフでいいです......」

「ぶっ! ...... なんでもないわ、早速書いて頂戴」
 


 おい七海、俺のハンドルネーム馬鹿にしたな。中学の頃悩みに悩んで付けた名前なんだからな。



「では、スガル・リーフさんと、ナナミール・ヒンドさんで間違えないですね。こちらでの名前で手続きを行っていきます。それでは次に、なりたい職業、又は現在の職業をお聞かせください」

「私は刀使いって所かしら。スガルくんは魔法使いです」

「え、俺って魔法使いってカウントされるの?」

「Sランク魔法使いが何言ってんのよ。あなた、動画配信者って答える気だったの?」

「逆にあるのその仕事!? ...... いやまてよ、すみません、職業の掛け持ちって出来ますか?」

「はい。2つまでは出来ますが、どちらかは副業という形になりますけど......」



 それなら持ってこいの話だ! よし、覚悟を決めたぞ!



「スガルくん、まさかあなた......」

「じゃあ、職業は魔法使い、そして動画配信者で!!」

「はい、了解しました!」

「ちょちょちょっとスガルくん! 何考えているの!?」

「これにはちゃんとした訳があるんだよ。少し大人しくなってくれ」

「それでは最後に、会員証の発行です。明日完成予定なので、また明日こちらにお越しください」



 意外とすんなりと終わってしまった。もっと色々聞かれると思ったけど、そうでなくて良かった。...... にしても、この世界に動画配信者という職業があったなんてな......。



「ちょっと駿我くん! 何で動画配信者なんて職業選んだの!?」

「それはだな、動画を投稿して、知名度アップすれば、地球人も見てくれてるかもしれないだろ? 」

「まあそれもそうだけど...... カメラは私のを貸してあげるわ。でも、それ以外手伝わないわよ?」

「わかってるさ。あとはパソコンさえあれば完璧だし。それで、パソコンはどこに売ってるの?」

「ちょうど右に見える店ね。寄ってみましょう」



 都合のいい事に、家電用品が売っている店があったので、入店してみた。日本の家電店ほど品揃えが良いわけではないが、家庭で最低限必要な物は揃いそうだった。



「洗濯機に電子レンジ、更には加湿器まで...... この世界って電気通ってるの?」

「そうみたいよ、私がこのモーサン町に来た時から通ってるの」

「ホント、不思議な世界だこと......げっ!?」



 パソコンが見つかったのはいいが、値段は20万円とお高めだった。



「ねぇ! 話がちがうじゃないか七海!」

「パソコンなんてそう簡単に買えるわけないわよ。少しはモンスター狩りをして金を稼ぎなさい」

「モンスターなんてどこにいるのこの世界に!? もうここが異世界だってこと忘れてたよ!!」

「ごちゃごちゃうるさいわね! グズグズ言ってる暇あるんなら行動で示しなさい!」

「わ、わかったよ......」



 そう言われて、俺は大人しく町外へと向かうことにした。







「モンスターでてこーい。早くでてこーい」

「やる気を見せなさい! そんな態度じゃ立派なトレーナーになれないわよ!」

「トレーナー志望ちゃうし! モンスター狩りだし!」



 それにしても、本当にモンスターが出てこない。何故だろう?



〔その真実を知りたい?〕

「聞けるんなら聞きたいよ萌子!!」


 声がするなぁと思ったが、もうそれは萌子の声だって事を認知していたから、驚きも何も感じなくなった。


〔そうね、あれよあれ、レベルが強すぎるから虫よけスプレー使っても敵が出ません状態よ。あんたにSランク魔法あげちゃったから敵も怖くなって出てこないんだと思うわ〕

「余計な事しやがって!!」

「あら、私が折角あげた能力に感謝する気持ちは持ってないわけ? わがままね」



 うるせえよ! 俺だって望んでこの世界来たわけじゃないんだからなこの死神が!!



「......お取込み中悪いんだけど、あそこから何か走って来る物が見えない?」

「え、どこどこ?...... あれドラゴンじゃね?」




 俺の瞳に映ったのは、羽が生えていて足が速い赤いドラゴンだった。


〔な、なんですって!? あれはここから六つ先の国に住んでいると言われる「ハイヤーレッドドラゴン」じゃないの!? どうしてこんな駆け出し町の近くにいるの?〕

「わからないわ...... あっちょっと駿我くん!」

「カネになるなら行くべきだろ!!」



 俺にとってあのドラゴンは金にしか見えなくなった。そんな上級者向けモンスターを討伐したら、それなりの金額はもらえる事間違いなしだろ!!



「さあてハイヤーレッドドラゴンちゃん、くらえっ! ファイアーソウル!!!!......あ、あれ、おかしいな? トロ火程度しかでない......」

〔バカ! あんたスタミナっちゅう概念を知らないの!? あんな魔法ポンポン使えたらこの世界の法則壊れちゃうでしょうが!!〕

「もう既に壊れてるだろうがバカ!」




 そう喧嘩している内に、ハイヤーレッドドラゴンは俺に段々と近づいてきた。もうだめだ、折角死亡回避したのにまた死んじゃう......」萌子よろしく......。




「スケッチ!!!」





 そんな女の声が聞こえたと思った途端、ハイヤーレッドドラゴンは地面に倒れ込んだ。足を見て見ると、どうやら罠に引っかかったようだ。



「ああもう見てらんない! 必刀!斜切炎熱刀はすぎりえんねつとう!!!!」



 七海は俺を助けるべく、ハイヤーレッドドラゴンの腹にクロスを描き、討伐した。




「あ、ありがとう七海......」

「全くよもう!! 私がいなかったらあんた死んでたんだからね!?」

「わかったわかった......あんな罠、さっきまであったか?」

「わ、わたしが仕掛けたの!」




 そういって出てきたのは、ショートヘアで、ハンモッグのような服を纏い、スケッチブックを持った少女だった。
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