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生徒会長学校侵略編
生徒会長の野望
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流れ星高校。 正式名称は、私立星空流星高校。
他所の高校と違うところは、工場の仕事、データ管理……例を挙げたらキリがないが、数学、英文などと言った勉強はしていない。
生徒は、勉強という概念を忘れている。だが、ここの生徒はそんな事を気にしていない奴ばかりだ。
今の学校生活を満喫している人もいれば、逆に不満を持つ人だっている。これは、その中の一人の、ある生徒会長のお話……。
※
……星空流星学校は、正しい道を歩む、純粋で正当な学校となるべきだ。
来る日も来る日も、工場での勤務をやらされて、将来役に立たない事ばかりやらされる。私は退屈だ。
だけど、こんな日も今日でおしまい。
私が長期間開発してきた、脳波強制学習マシンが、遂に完成した。スピーカーから出る周波数を生徒たちに聞かせ、強制的に勉強をしたいという気持ちにさせるのだ。
これを使えば、この学校は本来のあるべき姿になる。いや……私が望んだ物になる。
モモミ校長も捕らえた。教頭も別の場所で隔離させてある。
明日の朝、朝の挨拶運動という名の、「生徒強制勉強脳化作戦」を実行させる。
──ああ、早く夜が明けないだろうか……。月も私に勝利へ導いてくれるかのように、私を照らしてくれる。
──私の考えが正しいと証明させるのだ。いや、これが世間一般的だという事をしらしめなくてはならない。
反応を楽しみにしていな。モモミ校長。
─────────────────────
時刻は朝六時半頃。今日も気持ちいい目覚め……ではない。夏も近づいてきて、シーツは汗で濡れている。
学校に行く前に、シャワーでも浴びよう。階段を降りて、風呂場へと向かう。
「カキナ~? お友達が来てるわよ~」
その途中で、母さんが僕にそう言った。
「お友達? いちごやびわにも、一緒に行く約束はしてないはずなのに……」
眠い眼を擦りながら、玄関のドアを開ける。そこには、焦った表情をしながら立っている、缶詰め隊、オデン隊長がいた。
「た、隊長? 僕の家まで来てどうしたんですか?」
「大変だカキナ……流れ星高校が、マズイ事になる……まずはお前の友達を集めろ」
「な、何を言ってるんですか隊長? マズイ事具体的に言ってくれないと……」
「流れ星高校の生徒全員が洗脳されちまうんだ! とにかく集めろ!」
「わ、わかりましたよ!!」
ど、どうしたんだろう隊長……? あそこまで焦っている隊長、初めて見た。それ程に大変な事なのか……?
※
「もぉ~、どうしてこんな朝早くから集合しなきゃいけないのぉ~? 眠くて辛みだよぉ~」
「私も木こりTV観てて、つい夜更かししてしまいましたわ……あと数分だけ寝かせてくれませんこと……?」
二人とも、ダイニングテーブルに座りながら、眼を擦っている。
いちごとびわは連絡を取って、僕の家まで来ることが出来た。だが、メロくんとは連絡がつかない。何かあったのだろうか……。
「そんな戯言言ってる場合じゃないくらい、今ヤバい事になってんだ……モモミ校長が、生徒会長に攫われた」
「えぇ!? ど、どういう事!?」
「昨日の夜、モモミ校長と校内を夜回りしていた時だ。突然、得体の知れない光る何かが、校長の腹を掴んで、肩で担いで生徒会長室に連れていったんだ。ドアを開けようとしても、カギが掛かって開かなかった。部屋内の会話は聞こえる事は出来たんだが……」
「ど、どんな内容だったんですの?」
「今日、朝の挨拶運動という名の、”生徒勉強脳化作戦”を実行するらしい。校門の前で、会長がスピーカーを隠し持っていて、そこから流れる無音の周波数を聞いてしまったら最後、勉強脳にさせるらしい」
──その無音の周波数を僕達が聞く前に、みんなを僕の家に集めた……そうしなきゃ、モモミ校長を助ける事は出来ない、という解釈であっている筈だ。
「でもオデンさん、モモミ校長を助けなきゃ、この学校は終わっちゃうよ! 何か助ける方法はないの!?」
「安心しろ、万が一の時の為に、以前校長に裏口を教えてもらっていた。サバキとタラバに入れ替えでここまで来た。待たせない内に早く行くぞ」
隊長がイスから立ち上がると、続けていちご、びわも立ち上がった。
「……どうしたの、カキナ? 具合悪い?」
「ううん、少し気がかりがあって……得体の知れない光る何か、つまり、正体不明の何かって事ですよね、隊長?」
「ああ、この人生で、様々なヤバいのを見てきたが、あんなのは初めてだ。でも、生徒会長が関わっているのは確かだ。そこを暴けば、校長も助かるかもしれない……まずは学校に着いてから考える。いいな?」
「……はい」
僕も菓子パンを口に加えて、イスから立ち上がった。
流れ星高校の危機、そしてモモミ校長の救助。僕達はこの危機を乗り越えられるのだろうか。
僕達の長い一日が、今始まろうとしていたのだった。
他所の高校と違うところは、工場の仕事、データ管理……例を挙げたらキリがないが、数学、英文などと言った勉強はしていない。
生徒は、勉強という概念を忘れている。だが、ここの生徒はそんな事を気にしていない奴ばかりだ。
今の学校生活を満喫している人もいれば、逆に不満を持つ人だっている。これは、その中の一人の、ある生徒会長のお話……。
※
……星空流星学校は、正しい道を歩む、純粋で正当な学校となるべきだ。
来る日も来る日も、工場での勤務をやらされて、将来役に立たない事ばかりやらされる。私は退屈だ。
だけど、こんな日も今日でおしまい。
私が長期間開発してきた、脳波強制学習マシンが、遂に完成した。スピーカーから出る周波数を生徒たちに聞かせ、強制的に勉強をしたいという気持ちにさせるのだ。
これを使えば、この学校は本来のあるべき姿になる。いや……私が望んだ物になる。
モモミ校長も捕らえた。教頭も別の場所で隔離させてある。
明日の朝、朝の挨拶運動という名の、「生徒強制勉強脳化作戦」を実行させる。
──ああ、早く夜が明けないだろうか……。月も私に勝利へ導いてくれるかのように、私を照らしてくれる。
──私の考えが正しいと証明させるのだ。いや、これが世間一般的だという事をしらしめなくてはならない。
反応を楽しみにしていな。モモミ校長。
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時刻は朝六時半頃。今日も気持ちいい目覚め……ではない。夏も近づいてきて、シーツは汗で濡れている。
学校に行く前に、シャワーでも浴びよう。階段を降りて、風呂場へと向かう。
「カキナ~? お友達が来てるわよ~」
その途中で、母さんが僕にそう言った。
「お友達? いちごやびわにも、一緒に行く約束はしてないはずなのに……」
眠い眼を擦りながら、玄関のドアを開ける。そこには、焦った表情をしながら立っている、缶詰め隊、オデン隊長がいた。
「た、隊長? 僕の家まで来てどうしたんですか?」
「大変だカキナ……流れ星高校が、マズイ事になる……まずはお前の友達を集めろ」
「な、何を言ってるんですか隊長? マズイ事具体的に言ってくれないと……」
「流れ星高校の生徒全員が洗脳されちまうんだ! とにかく集めろ!」
「わ、わかりましたよ!!」
ど、どうしたんだろう隊長……? あそこまで焦っている隊長、初めて見た。それ程に大変な事なのか……?
※
「もぉ~、どうしてこんな朝早くから集合しなきゃいけないのぉ~? 眠くて辛みだよぉ~」
「私も木こりTV観てて、つい夜更かししてしまいましたわ……あと数分だけ寝かせてくれませんこと……?」
二人とも、ダイニングテーブルに座りながら、眼を擦っている。
いちごとびわは連絡を取って、僕の家まで来ることが出来た。だが、メロくんとは連絡がつかない。何かあったのだろうか……。
「そんな戯言言ってる場合じゃないくらい、今ヤバい事になってんだ……モモミ校長が、生徒会長に攫われた」
「えぇ!? ど、どういう事!?」
「昨日の夜、モモミ校長と校内を夜回りしていた時だ。突然、得体の知れない光る何かが、校長の腹を掴んで、肩で担いで生徒会長室に連れていったんだ。ドアを開けようとしても、カギが掛かって開かなかった。部屋内の会話は聞こえる事は出来たんだが……」
「ど、どんな内容だったんですの?」
「今日、朝の挨拶運動という名の、”生徒勉強脳化作戦”を実行するらしい。校門の前で、会長がスピーカーを隠し持っていて、そこから流れる無音の周波数を聞いてしまったら最後、勉強脳にさせるらしい」
──その無音の周波数を僕達が聞く前に、みんなを僕の家に集めた……そうしなきゃ、モモミ校長を助ける事は出来ない、という解釈であっている筈だ。
「でもオデンさん、モモミ校長を助けなきゃ、この学校は終わっちゃうよ! 何か助ける方法はないの!?」
「安心しろ、万が一の時の為に、以前校長に裏口を教えてもらっていた。サバキとタラバに入れ替えでここまで来た。待たせない内に早く行くぞ」
隊長がイスから立ち上がると、続けていちご、びわも立ち上がった。
「……どうしたの、カキナ? 具合悪い?」
「ううん、少し気がかりがあって……得体の知れない光る何か、つまり、正体不明の何かって事ですよね、隊長?」
「ああ、この人生で、様々なヤバいのを見てきたが、あんなのは初めてだ。でも、生徒会長が関わっているのは確かだ。そこを暴けば、校長も助かるかもしれない……まずは学校に着いてから考える。いいな?」
「……はい」
僕も菓子パンを口に加えて、イスから立ち上がった。
流れ星高校の危機、そしてモモミ校長の救助。僕達はこの危機を乗り越えられるのだろうか。
僕達の長い一日が、今始まろうとしていたのだった。
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