67 / 119
第二章 ローレライとロバ耳王子と陰謀と
36、R指定のやつ(言っとくが僕は関係ないっ!!)
しおりを挟む※ ※ 注意 ※※
ドS注意。
別カプのそういうシーン(ほぼ言葉責め)があります。
苦手な方は飛ばしましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「俺はリュビィを愛してる」
「リュ、リュビィ??」
「リュビィを手に入れる為ならなんだってする。その為に王位継承権を捨てた事も俺は一切後悔していない。寧ろ、愛しいリュビィをこの腕に囲い、愛でる時間が増え、満足している。俺はリュビィという存在全てを愛しているが、強いてひとつあげるなら自分に自信を持っている芯のある強さと、完璧でありたいのに抜けている所がとても可愛らしい」
「そ、そう…なんだ」
そこから始まったのは怒涛の惚気。
そのノンブレスで続けられる惚気に呆気に取られて、ただ相槌を打つ事しか許されない。
しかし、それが悪かったのだろう。
聞いてもらえた事が嬉しかったのか。更に惚気はヒートアップしていく。
「普段の清楚で美しい顔がベッドの上ではトロリと蕩けて情欲に染まっていくのがまたいいッ。最初は羞恥に閉ざしていたそのすらりと綺麗な脚を突き上げる度に誘うように淫らに開く姿は妖艶。S字結腸まで激しく突き上げられるのが好きで、止まらぬ快楽に身を浸す姿は雄の本能を掻き立てられる」
「あの…。もう、いいでs…」
「勿論、傷を付けるのは良くない事だ。だが、愛し過ぎて、リュビィの身体はもう、ちょっとやそっとの快楽では達せられなくなってしまってるのだ。胸の飾りを弄られるより噛まれる方が、大事に抱かれるように乱暴に抱かれる方が…。ああ、でも、達せられずに身体の熱を持て余したままよがり狂うのも捨て難いな…」
もう段々と一方的な惚気に疲れてゲンナリしてきた。
リュビオは惚気が始まった途端、顔が真っ赤になり、青くなり、まった真っ赤になりを繰り返し、最終的には放心状態になってしまった。
…ねぇ。リュビオ。
時々、専門用語的なものが出てきて話をあんまり理解出来なかったけど、君がドMだって事はよく分かったよ。
溜息をついて、再度リュビオを見て、やっと終わった惚気にもう勘弁してという意味を込めて、締めくくる。
「……今日は取り敢えず、距離を置きましょう。それで落ち着いてから、またきちんとカフェかどっか人気のある所で話し合ってください」
ドMという事は置いておいて、逃げたという事実を受け入れてほしい。
そう諭すと第一皇子ユーリウスは「しかし…」と粘ろうとしたものの「そうだな」と肯定した。
やっと終わった。僕は頑張ったとうんうんと頷いた。
そう取り敢えずは問題は完結した筈だったんだ。
放心状態だったリュビオがハッと意識を取り戻し、涙目で嬉しそうに僕にお礼の言葉を紡ぐ。
「ありがとうございます。…普段はお子ちゃま全開でちょっと間抜けだと思っていましたが、やるじゃないですかっ! 見直しましたっ!!」
「「…………」」
きっと本人は至って大真面目に僕を称賛している。
僕は助かったとホッとした笑顔を浮かべるリュビオにニコリっと笑い掛けると、ソッとリュビオを引き剥がし、立ち上がった。
そのまま扉の前まで行き、ニッコリと笑顔を浮かべたまま、扉を開け放った。
「ぎゃぁあああッ。何してるんですかーッ!」
「返品しますので、お引き取りください」
「なんか…すまん」
扉の向こうにいた皇子に威厳と男らしさを足した姿をした第一皇子ユーリウスは、とても申し訳なさそうに会釈した。
そして、この期に及んで逃げようとするリュビオを引っ捕まえて、抱っこした。
「う、裏切り者っ。裏切り者っ!」
「何故見捨てられたか、胸に手を当てて、よく考えてみてよ…。本当にリュビオのそういうとこ、直した方がいいと思う」
「今のはリュビィが悪い」
「うるさいっ! 私は絶対に帰らな…」
パーンッ!!!
「ひゃうっ!? あ…、あっ…ぁ」
性懲りも無くまだ粘ろうとしたリュビオのお尻をユーリウスはとても小気味良く叩いた。
綺麗に響いたその音とともに、リュビオは背を逸らし、見開いた目で天井を仰ぐと、くたりっと大人しくなった。
ユーリウスは何処かへとトリップして小刻みに体を振るわすリュビオの身体を抱き込むと、ワイシャツの下から見える叩いて少し赤くなったお尻を気遣わしげに撫でた。
「君の言葉は善処しよう」
「うん…。もう勝手にして」
何を善処するつもりなのか。ユーリウスは捕食者の目のまま捕食対象(リュビオ)を連れて消えてった。
「寝よう…。頭が痛いっ…」
ドッと疲れて、心労で痛くなった頭を抱えてベッドでうずくまる。
きっと、あれは僕がまだ見てはいけない世界だったんだ。
なんかこう…、R指定の付くアレだ。未成年に見せちゃいけない奴…。
あんな事があり、うなされるかと思ったが、その後、意外とすんなり寝れた。
でも、アレを見た後の所為か。
少し変な夢を見た。
真っ暗な部屋の中。
スースーと僕はいつも通り寝ている。
そして、いつも通りの現実とは違う夢のライモンド先生が暗い夜の闇の中から現れた。
しかし、何処か様子が違う。
何時もするあの落ち着くラベンダーの香りにヤニの匂いが混ざっている。
表情は少し暗く、複雑な表情を浮かべていた。
「ラニ…」
そう僕を呼ぶ声はか細く心配になる。
怪我でもしたようなとても痛そうな表情で唇を重ねた。
しかし、いつもの様に苦くなく、キスも啄む様に軽く優しい。
「俺…。間違ってるのかな…」
まるで何かを確かめるように、まるで何かに縋る様に何度も何度も軽いキスを重ねては、そう悲しげに呟く。
それがなんだか悲しくて、たったひとりでつぶやくその姿が寂しくて。
今起きたら、海の泡の様に何処かへ消えてしまいそうで。
「ラニ……」
あまりにも呼ぶ声は心許なくて。切なくて。
胸がチクチク痛くて、もどかしさが心の中で溢れた。
11
お気に入りに追加
95
あなたにおすすめの小説
某国の皇子、冒険者となる
くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。
転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。
俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために……
異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。
主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。
※ BL要素は控えめです。
2020年1月30日(木)完結しました。
新訳 美女と野獣 〜獣人と少年の物語〜
若目
BL
いまはすっかり財政難となった商家マルシャン家は父シャルル、長兄ジャンティー、長女アヴァール、次女リュゼの4人家族。
妹たちが経済状況を顧みずに贅沢三昧するなか、一家はジャンティーの頑張りによってなんとか暮らしていた。
ある日、父が商用で出かける際に、何か欲しいものはないかと聞かれて、ジャンティーは一輪の薔薇をねだる。
しかし、帰る途中で父は道に迷ってしまう。
父があてもなく歩いていると、偶然、美しく奇妙な古城に辿り着く。
父はそこで、庭に薔薇の木で作られた生垣を見つけた。
ジャンティーとの約束を思い出した父が薔薇を一輪摘むと、彼の前に怒り狂った様子の野獣が現れ、「親切にしてやったのに、厚かましくも薔薇まで盗むとは」と吠えかかる。
野獣は父に死をもって償うように迫るが、薔薇が土産であったことを知ると、代わりに子どもを差し出すように要求してきて…
そこから、ジャンティーの運命が大きく変わり出す。
童話の「美女と野獣」パロのBLです
皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
[BL]王の独占、騎士の憂鬱
ざびえる
BL
ちょっとHな身分差ラブストーリー💕
騎士団長のオレオはイケメン君主が好きすぎて、日々悶々と身体をもてあましていた。そんなオレオは、自分の欲望が叶えられる場所があると聞いて…
王様サイド収録の完全版をKindleで販売してます。プロフィールのWebサイトから見れますので、興味がある方は是非ご覧になって下さい
はじめて愛をくれた人
たがわリウ
BL
異世界転生/和風ファンタジー
勝利した領主×敗北した領主の伴侶
日本で生きていた記憶を持っている松葉は、現世では美しい外見になっていた。
その整った顔立ちで、領主である蘇芳の伴侶となる。不自由な立場でも贅沢な暮らしができることを幸運に思っていた。
しかしある日、突然邸から火の手が上がる。攻めいられ敗北した蘇芳のもとから、隣の土地を治める領主のもとへ行くことになった松葉。
今までの暮らしを捨て、故郷を去らなければならなくなった松葉は新たな相手を恨む。
良いようには扱われないだろうと思っていたが新たな相手、竜胆は、どこまでも優しく松葉に接した。
自分に好意を向けてくれる竜胆に、松葉も次第に心を開いていく。
※途中までですが、受けが攻め以外と関係を持っています。
▼ 登場人物
松葉(まつば)……受け。十五で蘇芳の伴侶となる。生まれ育った地から離れ、竜胆の伴侶に。
蘇芳(すおう)……松葉の元伴侶。贅沢が好きな領主。
竜胆(りんどう)……攻め。松葉の新たな伴侶。慕われている領主。
【完結】イケメン騎士が僕に救いを求めてきたので呪いをかけてあげました
及川奈津生
BL
気づいたら十四世紀のフランスに居た。百年戦争の真っ只中、どうやら僕は密偵と疑われているらしい。そんなわけない!と誤解をとこうと思ったら、僕を尋問する騎士が現代にいるはずの恋人にそっくりだった。全3話。
※pome村さんがXで投稿された「#イラストを投げたら文字書きさんが引用rtでssを勝手に添えてくれる」向けに書いたものです。元イラストを表紙に設定しています。投稿元はこちら→https://x.com/pomemura_/status/1792159557269303476?t=pgeU3dApwW0DEeHzsGiHRg&s=19
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる