第十王子は天然侍従には敵わない。

きっせつ

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え? なんて??

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「今、なんて?」

兄王子達の国外追放から一週間後。
俺は国王陛下に呼び出され、頭で理解したくない言葉を告げられた。

もう一度聞き直した俺に対して、国王陛下はやはりお前は愚息だと、一回で理解しない俺を嘲り、もう一度聞きたくもない言葉を紡ぐ。

「ツェーン。お前を王太子に任命する。」

「な、なんて?」

「本当にお前は愚鈍だな。十人いた王子が九人も国外追放だ。もう王子はお前しかいない。…例え、出来の悪い第十王子でもな。」

そう言われてはたと側で控える十人の妃を見た。

国王陛下の妃は十人。
国王陛下がハッスルして産まれたのは妃一人につき、一人。
もう俺以外王子はいない。

「俺が……次の王? 」

「フンッ…。兄の失態で一番遠いお前が王座に近付くとはな。その悪運が何処まで続くか。」

精々足掻く事だと吐き捨てると国王陛下は愕然とする俺を下がらした。

「俺が…次の王……。」

なんとか気が遠くなりそうなのを踏ん張って玉座の間から出て、もう一度信じられなくて呟くと、ポンっと肩を叩かれた。

振り返ると何だか逃げたくなるようないい笑みを浮かべる宰相が大量のお見合いの姿絵を持っていた。
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