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アンタ、元王子だろッ!!

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はたと目を覚ましたのは夜。

最近家事を一手に請け負っているので、何時にお風呂掃除とか夕食はこの時間から用意を始めるとか。私の中の体内時計に記憶されているのに気付けば夕食の時間だった。

仕事が今、出来ない分こっちで頑張りたいのだが、どうやら完全に意識を失っていたようで起きられなかった。


昼に包丁で叩いてミンチにした鶏肉を丸めてつくねにする作業が終わってない。クジャク達にお茶入れた後やるつもりだったから。

慌てて起き上がろうとするが身体が怠くて起き上がれない。そして何だか尻に異物感が……。

恐る恐る自身の尻に手を当てると温かな人肌の温もりが手を伝う。そして広がったままの秘孔は何かを咥えている。それは私の中に居座り続けて…。

ー そのまま寝たの!?

私を貫き続けるそれが数時間前リヒトと何をしていたか生々しく思い出させる。

ー 私、リヒトと……。いや、二回目だけど。

やってしまった事……いや、まだやっている事の恥ずかしさに顔が火が噴くんじゃないかという程真っ赤に染まる。何度も囁かれた愛の言葉が脳内に甦り、身悶えする。

ー こ、殺してくれ…。誰か…私を殺してくれ!!

だが、殺されたとしてもやってしまった事は消えない。そもそも合意の上だ。そして時間は有限だ。

意を決して身体をゆっくりと起こし、尻からソレを引き抜く。しかし、引き抜こうと動く度、身体が反応してヒクヒクッと痙攣する。やっと抜いた時には息が上がり、甘い吐息が溢れていた。

「やっと…出れ……た……。」

何とか怠い身体を引き摺って立ち上がろうとするが、はたといきなり起きたリヒトに足を掴まれ止められる。

「待って。まさかソレ、そのままで出てく気? 」

「ソレ?? 」

リヒトに指差され、先程リヒトのモノを抜いた箇所に目をやるとトロリとお漏らしのようにリヒトの液が垂れている。

そういえばお腹が重い。
意識を失う前よりお腹の中が重い気がする。

「私が寝てる間に何をした!! 」と睨むとリヒトがスッと目を逸らす。目を逸らして何も言わないものだから怖くなり距離を取ると更に尻からリヒトの液が湧き出る。

「なっ、な……、な……。」

何か文句を言いたいのだが、自身の尻から絶えず流れ出すそれが私を更に追いつめる。まだヒクヒクと痙攣するソコは満足げに飲み込みきれなかったものを吐き出している。

「…シュネー、ごめん。怯えないで。やり過ぎたのは謝るからそれを何とかしよう。」

「こ、こ…これ以上、何、何をする気だ!! 」

「シュネーはソレ掻き出せないでしょ。僕が中から出してあげるからこっちに来て。」

「……だ、出すだけなら自分でも…。」

「その選択後悔しない? 僕の目の前で自分で掻き出せるかみせて。 ……君の中に吐き出しといてなんだけどお腹に残しておくのはあまりよくないから。きちんと君が出せるか確認したい。」

その二択が私を更に追い詰める。
寝ている間に散々やったリヒトにまた尻を差し出すか。リヒトの前で自分で……おそらく指で掻き出すのか? …兎に角、尻を自分で弄る所を見られながらこの液を掻き出すか。

どっちが嫌だ?
どっちも嫌だ!!

リヒトが段々距離を詰め始める。
まるで町に迷い込んだ野生の動物を捕獲するかのようにジワジワと。

「険しい顔で考え込まないでよ。掻き出すだけだから…。絶対君は自分じゃ出来ない。そんな気がしてきた。」

「……出てってください。自分でやります。私、出来ると思うので結構。」

「…今、君、立てないでしょ。足がプルプル震えてるよ。解してる時から腰砕けてたよね。そんな状態で出来ないでしょ。いいから諦めておいで。」

「「…………。」」

暫し、睨み合う。
実際、本当に足腰に力が入らない。

何度か立とうか試してみたが、脚が痙攣して身体はだるいし、お腹が重いし、動けない。だが、かといって今、リヒトへの信頼は私の中で底辺だ。

空色の瞳を細めてにっこりと人畜無害そうに笑い掛けてくる。

「シュネー? 」

「断る。」

「シュネー。……愛してる。好きなんだ。君にそうやって拒絶されるのは辛い。」

シュンッと捨てられた子犬のような悲しい顔をする。思わず心配になり、リヒトにそろりと慎重に近付く。

すると思いっきり抱き寄せられて、捕縛された。

もうこの元王子駄目だ。
もうこの元王子を私は信じない。


「じゃあ、掻き出すね。」

私を笑顔で捕まえたまま、耳元でそう囁いた。

本当にこの元王子は駄目だ。
必死に疼きも出る声も抑えて最後まで掻き出してもらったのに結局また、抱かれて意識を手放した。



頭がふわふわする。

リヒトの腕の中があったかくて気持ちよくてスリッと頰を擦り付けるとチュッチュッと口付けの雨が降ってくる。



「リヒッちゃん。流石に昼御飯も夜御飯も食べずにイチャコラって……不潔よ!! そんな子に育てた覚えはないわッ!! 」

およよとネズミが泣き真似をする。
リヒトは隣で肩に頭を預けて座るシュネーが落ちないように肩を抱いた。そんな様子に流石のネズミも苦笑いを浮かべた。

「…リヒッちゃん。シュネッちを元のシュネッちに戻してあげよーよぉ。一回…一回離れないと、きっと戻って来れない。オイラの負担も考えて若人よ。」

「分かってる。ただつい、可愛くて…もうちょっとこのままでも……。」

何時もと違い、とろんとした表情を浮かべるシュネー。やり過ぎた所為で意識がぼんやりしていて頭が回っていない。

頰を擦り付けてきたり、身体を寄せてきたり、何時もしない甘えたな行動。それがリヒトには愛くるしくてしょうがない。


分かってると言いつつも反省の色がなく、満足そうにトロトロになってしまった愛しい人をまだ熱を帯びた視線で見つめるリヒト。

その姿にネズミは今ちょっと反省している。流石に部屋に閉じ込めるのはやり過ぎたと。

気を遣ったのもあった。
二人ともそろそろ限界じゃないかと。爆発する前に解消させてやろうというお節介と単純に若人の恋模様を楽しんでた。

クジャクと揃って弄って楽しんでた。
初々しいのー、なんて。

だが、これは……。


「シュネッち!! お願いッ!!謝っから帰って来て欲しいんでい!! やり過ぎたよぉ、流石に。」

何時も最年少の癖に誰よりもしっかりしているシュネー。

もう少し周りに甘えるという事を覚えた方がいいこの最年少が愛玩動物のようにリヒトに甘えてる。

おそらく長時間に渡りイたした事で色々とネジが緩んで蕩けてしまったのだろう。

ずっとこの先もこんな感じでは困る。
毒が抜けたらまたその腕を買いたいので相当困る。

散々面白がって新妻感を出そうとしたが、別に家事に専念してほしい訳ではない。
欲しいのは新妻でなく戦力だ。



頭がふわふわする。
意識は雲のようにふわふわ浮いている。

ネズミが何故か頭を抱えている姿が見えた気がしたがどうでもいい。リヒトの側に居られればどうでもいい。

チュッと肩を抱くリヒトの頰に口付けをするとリヒトがとても幸せそうな表情を浮かべる。

ずっとこの表情が見たかった。
『あの子』が見る事が叶わなかった幸せなこの表情をもっと近くで。

「好き。私は…リヒトが大好き。」

「ちょっと待って!? シュネッちなんでこのタイミングでそれ言っちゃったんでい!? 帰ってくる気あるぅ!? 」

ネズミの必死な声が聞こえる。
が、何だかそれが遠くに聞こえる。

リヒトは幸せそうな表情に更に目を潤ませて私を抱き上げだ。

「イヤッ!? 待とう。そこは耐えてリヒッちゃん。シュネッちにそろそろ食事させたげて!! きっと糖が頭に回ってないのもあるよソレ!! 」

ネズミはリハビリ中の足を引き摺って必死にリヒトを止めたが、止まらなかったとか。

後に、シュネッちも十分悪い!!
とネズミが言っていたのだが、私は悪くないと思う。

クジャクやネズミが鍵さえかけなければ途中で逃げ出せたと思うし、リヒトが抱き潰さなければこうはならなかった。


そして正気に戻った私は………………。



「シュネー…そろそろ機嫌直さない? 」

「………。」

私は大いにグレた。
やさぐれた。

「シュネーちゃーん。久しぶりぃ!! 」

久々に身体が元のように動くようになってやって来た町。
キツネが名一杯私に手を振りながらやって来た……が。

ヒュンッ!!

キツネが間合いに入った瞬間。
容赦なく剣を、刃を振り抜く。
炎のように揺らめく刃が空を切り、キツネを襲ったがギリギリの所でキツネは避けた。

「おわぁッ!? いきなり…いきなり、どぉーしたのシュネーちゃーんッ。」

「私の間合いに入るな!! 斬るぞ。」

殺意をギンギンに向けるとキツネが大いにビビる。キツネの後ろに毛が逆立った尻尾が見えた気がした。

「誰!? 俺のシロツメクサをアザミに変えたのッ!? 棘みたいな殺気がガンガン飛んでくるッ。」

「シュネー…その……帰りに金平糖でも何でも甘いもの買うよ!? だからその…ごめん許してッ!! 」

「……貴方は私を甘いものに釣られるガキだとでも思っておいでで? 成る程、ご機嫌取れば無茶苦茶やって良いと…。へぇー……。」

「そんな事ないよ!! ついッ、つい、可愛くてッ。歯止めが利かなくなってその……。」

「チッ!! 」

リヒトが私の舌打ちに驚愕して、やがて、しゅんっと小さくなる。

可愛くて歯止めが利かなかった?
普通、布団から丸一日起き上がれなくなるまでやるか?
限度ってものがある。

ブツブツと恨み節を呟いているとリヒトの指がするりと私の手を滑り、ギュッと恋人繋ぎをする。しゅんっとした表情のまま、私よりも誤差の五センチの高さから九センチの高さになったリヒトが少ししゃがみ込んで懇願するように上目遣いで私を覗く。

「シュネーは僕の事嫌いになった? 」

「………………喧嘩売ってます? 」

握られた手をギュッ握り返し、呆然とその光景を眺めるキツネを置いて、歩き出す。

ー 顔が熱い…もう、やだ。

嫌いになれる訳がない。

自覚してから悪夢も見なくなった。
やはりリヒト以外の同性に触られるのもダメだし、まだトラウマも消えないけど。貴方の隣に居るだけでこんなにも幸せに思えるのだから。
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