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仕事をしろ
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カタカタと馬車が揺れる。
寒さは段々薄れ、つくしが地面からニョキニョキ元気に生え、タンポポが黄色い花を咲かせる程暖かな日和だ。
しかし馬車の中はとても重苦しく外とは真逆の空気に包まれている。
「フンッ、これから『刑受の森』にいくってぇのに随分とすましてやがる。ツマラねぇ。」
執行官の男が自身の対面で腕を組んで座り、怯えもせず目を瞑り瞑想する受刑者の姿に面白くなさそうに毒吐いた。
しかしその受刑者は男の毒なんて気にせず、ただその時を待つ。体力を温存する為に余計な労力は使いたくないのだ。
「ハンッ、騎士様は『刑受の森』も怖くないってか? 流石、騎士様。随分と自信がおありのようだ。…でもそのお綺麗な見てくれじゃあ、魔獣に犯し殺されるんじゃないか? ああ、もしかしたら魔獣に性処理の道具として生かされるかもなぁ? 」
ニヤニヤと男が嗤いながら受刑者を卑しい目で舐めるように見てやった。男の渾身の貶しだったが、それでも白く長い睫毛の奥のアメシストの瞳を覗かせる事もなく、男は苛立ちを募らせていく。
「やめとけよ。オメェの悪い癖だぜ。べっぴんさんは丁重に扱ってやらなきゃよ。元王子様の受刑者も居るんだ。今回は楽しみは次に取っとこうぜ兄弟。」
クツクツと同僚の男が嗤い、どぉどぉと男の肩を叩いた。男の腹の虫は収まらなかったが、騎士の受刑者の隣に座る元王子の受刑者が緊張の面持ちでゴクリと唾を飲む姿を見て、嗜虐心がくすぐられた。
「なぁ、王子様? 俺の靴を舐めたら『刑受の森』に流した事にして逃してやってもいいぜ。なぁ、舐めてみろよ王子様ぁ? 」
完全に標的を変えた男はそう言って元王子の顔の前に「死にたくなきゃ舐めろよ。」と足を出し、気持ち悪い笑みを浮かべた。
空色の瞳に困惑の色が浮かび、ひらひらと元王子の前で揺れる男の足を見た。
シュンッ!!
「イッテェッ!! 」
男の足が騎士の受刑者の持っていた剣によって叩き落される。刀身は鞘にしまわれていたが、十分重くて硬いので叩き落とされた足は火が付いたように痛かった。
「くそッ!! このッ…ガキャーッ。」
「無駄口叩いてないで仕事してください。」
「ひぇー、強気な美人。そそるねぇ。」
駄目だこりゃと執行人達に呆れ、騎士の受刑者は溜息をつき、外を見た。外では赤髪の騎士が馬に乗り、馬車を並走しながら警護している。
「そろそろ、休憩するから。」
と口パクで赤髪の騎士が騎士の受刑者にもう少しの我慢だと励ます。
「コイツ等、気持ち悪い。吐きそう。」
と口パクで赤髪の騎士に早く休憩を入れるように催促する。マジで吐くぞと。
やがて馬車は『メールフォルスト』に着く手前の草原で止まった。騎士の受刑者はジャラジャラと矢鱈重い手錠を嵌められている元王子を連れて、いち早く馬車を降りた。
「シュネー。大丈夫? 」
「何で執行人まともな奴いないの。あの職務怠慢の牢番といい勝負じゃないか。」
シュネーはグッと吐き気を抑える。
ここで吐いたら確実にあの性根の悪い執行人の男にいいネタを与えてしまう。それは絶対に嫌だ。ムカつく。
執行人の男はヒリヒリと痛む足を庇いながらもまだシュネーを貶してやろうと機会を伺う。
男は『刑受の森』に流される恐怖に怯える受刑者達をいたぶる事に生き甲斐を感じている。しかし騎士の受刑者が全く、動揺していないので面白くない。
今も受刑者の癖に護衛の騎士と親しげに話し、ゆっくりと休憩を取っている姿が気に入らない。隣の元王子も少しは緊張はしているがあの騎士の受刑者がいる所為で何処か安心しているようで全く恐怖の色に染まらない。
ー 気にいらねぇ。
「また、先輩の悪癖ですか。」
御者役の執行人達が馬の世話を終え、休憩の輪に入ってくる。
「『白百合の騎士』様は何も悪くないんですから手、出さないでくださいよ。」
「そうですよ。俺、非番だったから『従騎士の誓い』、生で見ましたけどめっちゃ綺麗で感動しましたよ。あんな妖精みたいな人、いじめちゃ駄目ですよ。」
「そうそう、あんな清廉な人が悪い人に身を捧げる訳ないですって。…ああ、キリッとした表情も良いけど笑ってくれないかなぁ。」
「オメェらここに何しに来たんだ…。」
男が引く程、御者役の執行人達はあの騎士の受刑者の話題で盛り上がり、あまつさえ庇ってくる。何時もは受刑者をどんなにいたぶっても見ないフリする癖に今日は一体なんなんだ!?
「清廉だぁ? あの容姿であの王子様を誑かして王を毒殺するように仕向けたんじゃねぇか? アイツがさ、あの上品そうなお口で王子のイチモツしゃぶってさ。」
「王子を誑かす傾国の騎士。そそるねぇ。…でもあの元王子を本気で愛してたから捨てられずに『従騎士』になってついてきたってか?兄弟。…あの薄桃色の少し薄い唇でか…。着く前に俺のもしゃぶってくれねぇかなぁ。」
折角、蔑めようと言った言葉から同僚が頰を染めながら嬉しそうに妄想する。御者役の執行人達すら「それもありですね。」と頰を赤らめた。
同僚達がそんな反応してくるもんだからあの騎士の受刑者を貶めた気がしない。
全然気が収まらない。
思い通りにならず、心の中で地団駄踏む。
「そういえば『白百合の騎士』様、随分と厚着ですね。着膨れしてます。あ、でも白いコートが更に清楚さが増してとても似合ってますけどね。」
「寒いの苦手らしいぜ。そんなに寒いなら俺が温めてやるってぇんだ。」
「ハンッ、物好きどもめッ。何であんなクソガキ。」
面白くなくてケッと唾を吐き、同僚達から離れた。八つ当たりに落ちていた石を蹴ったが収まらない。ああ、面白くねぇ。
その時をはたと出発する前に宰相様に頼まれていた事を思い出した。
『シュネー・フリューゲルの荷物を捨て、荷物の中身を石にでも詰め替えなさい。頼みましたよ。』
ニッコリと宰相様が男の手に金貨を握らせて、嗤った。どうやらあの騎士の受刑者は相当恨みを買っているらしい。
ポケットに入れた黄金に煌めくそれを見て、男はニィーと嗤う。
ー そうだ。
いたぶらなくても十分地獄は見せられるじゃないか。
男は馬車に置きっ放しになっている騎士の受刑者の荷物を取り出し、近くに見えた小川まで腰に付いている手錠の鍵をジャラジャラと揺らしながら走った。そして小川の中に荷物の中身を捨てるとそこらに落ちていた石を先程の重さになるように詰めた。
男は上機嫌で馬車に戻ったすると赤髪の騎士が男とすれ違った。肩が当たったが、赤髪の騎士は気にせずそのまま自分の馬の世話に戻る。
どうやら赤髪の騎士は男が騎士の受刑者の荷物を持っていた事を気付かなかった様子。
男はフゥッと息を吐き、満足げに元の場所に荷物を戻し、ニンマリと嗤った。
ー 出来れば『刑受の森』の門を通った所で気付かねぇかなぁ。絶望する姿が早く見たいぜ。
休憩は終わり、馬車は『刑受の森』に向けて走り出す。
稀に『刑受の森』にいく『メールフォルスト』内の道で魔獣が出現する事もあるが、今回は何事もなく、『刑受の森』まで着いた。
元王子はジャラジャラと手錠を揺らし、開けた『刑受の森』の門を通っていく。
騎士の受刑者も元王子に続いて門を通ったが、ふと、背負った荷物に手を掛ける。
ー そうだ、気付け。
ニンマリと男は嗤い、荷物を開けるのを待つ。しかし騎士の受刑者は荷物を開けず、ポイッと門の外に捨てた。
「はぁ!? 」
そして騎士の受刑者はするりと白いコートを脱ぎ捨てた。白いコートを脱ぎ捨てた下には茶色コートと荷物らしき麻袋が……。
ー まさか俺が中身を捨てた荷物はダミーか!?
出し抜かれた男は地団駄を踏み、閉まっていく門の奥の騎士の受刑者を最後まで睨みつけた。
「こんのッ!! クソガキィーッ!!! 」
騎士の受刑者はそんな叫びにも一瞥もくれず、男の怒りの叫び声だけがその場に響いた。
◇
「リヒト、手を。」
ガシャリッと音を立てて、重厚な手錠が地面に落ちる。
「えっ? 鍵!? 」
「アルヴィンがくれました。アイツ、騎士目指す前はスリやってたそうなので。」
地面に落ちた手錠を見つめてリヒトが驚きの声を上げる。私は腰から一本の剣を外し、リヒトに手渡す。
「これは貴方が持ってて。剣の腕は第一王子より貴方が上だってシュヴェルトが言ってましたよ。」
剣を素直に受け取るとリヒトは悲しげな閉まった門を見つめた。
「ごめん。巻き込んで…。」
「煩い、アホ。」
「……アホ。」
悲しげな表情が困惑の表情に変わる。
罪悪感で苛まれるよりその表情の方が、マシだ。
「まあ、ゆっくりのんびり生き残りますか。」
森の中からか獣の鳴き声が響く。
異様な空気を纏う森に二人は足を踏み出した。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ここまで読んで下さった方へ
ここからはR18です。
内容も匂わせて終わりだけでなく割りかしガッツリなものもあります。……初めて書くのでかなり手探りですが。
寒さは段々薄れ、つくしが地面からニョキニョキ元気に生え、タンポポが黄色い花を咲かせる程暖かな日和だ。
しかし馬車の中はとても重苦しく外とは真逆の空気に包まれている。
「フンッ、これから『刑受の森』にいくってぇのに随分とすましてやがる。ツマラねぇ。」
執行官の男が自身の対面で腕を組んで座り、怯えもせず目を瞑り瞑想する受刑者の姿に面白くなさそうに毒吐いた。
しかしその受刑者は男の毒なんて気にせず、ただその時を待つ。体力を温存する為に余計な労力は使いたくないのだ。
「ハンッ、騎士様は『刑受の森』も怖くないってか? 流石、騎士様。随分と自信がおありのようだ。…でもそのお綺麗な見てくれじゃあ、魔獣に犯し殺されるんじゃないか? ああ、もしかしたら魔獣に性処理の道具として生かされるかもなぁ? 」
ニヤニヤと男が嗤いながら受刑者を卑しい目で舐めるように見てやった。男の渾身の貶しだったが、それでも白く長い睫毛の奥のアメシストの瞳を覗かせる事もなく、男は苛立ちを募らせていく。
「やめとけよ。オメェの悪い癖だぜ。べっぴんさんは丁重に扱ってやらなきゃよ。元王子様の受刑者も居るんだ。今回は楽しみは次に取っとこうぜ兄弟。」
クツクツと同僚の男が嗤い、どぉどぉと男の肩を叩いた。男の腹の虫は収まらなかったが、騎士の受刑者の隣に座る元王子の受刑者が緊張の面持ちでゴクリと唾を飲む姿を見て、嗜虐心がくすぐられた。
「なぁ、王子様? 俺の靴を舐めたら『刑受の森』に流した事にして逃してやってもいいぜ。なぁ、舐めてみろよ王子様ぁ? 」
完全に標的を変えた男はそう言って元王子の顔の前に「死にたくなきゃ舐めろよ。」と足を出し、気持ち悪い笑みを浮かべた。
空色の瞳に困惑の色が浮かび、ひらひらと元王子の前で揺れる男の足を見た。
シュンッ!!
「イッテェッ!! 」
男の足が騎士の受刑者の持っていた剣によって叩き落される。刀身は鞘にしまわれていたが、十分重くて硬いので叩き落とされた足は火が付いたように痛かった。
「くそッ!! このッ…ガキャーッ。」
「無駄口叩いてないで仕事してください。」
「ひぇー、強気な美人。そそるねぇ。」
駄目だこりゃと執行人達に呆れ、騎士の受刑者は溜息をつき、外を見た。外では赤髪の騎士が馬に乗り、馬車を並走しながら警護している。
「そろそろ、休憩するから。」
と口パクで赤髪の騎士が騎士の受刑者にもう少しの我慢だと励ます。
「コイツ等、気持ち悪い。吐きそう。」
と口パクで赤髪の騎士に早く休憩を入れるように催促する。マジで吐くぞと。
やがて馬車は『メールフォルスト』に着く手前の草原で止まった。騎士の受刑者はジャラジャラと矢鱈重い手錠を嵌められている元王子を連れて、いち早く馬車を降りた。
「シュネー。大丈夫? 」
「何で執行人まともな奴いないの。あの職務怠慢の牢番といい勝負じゃないか。」
シュネーはグッと吐き気を抑える。
ここで吐いたら確実にあの性根の悪い執行人の男にいいネタを与えてしまう。それは絶対に嫌だ。ムカつく。
執行人の男はヒリヒリと痛む足を庇いながらもまだシュネーを貶してやろうと機会を伺う。
男は『刑受の森』に流される恐怖に怯える受刑者達をいたぶる事に生き甲斐を感じている。しかし騎士の受刑者が全く、動揺していないので面白くない。
今も受刑者の癖に護衛の騎士と親しげに話し、ゆっくりと休憩を取っている姿が気に入らない。隣の元王子も少しは緊張はしているがあの騎士の受刑者がいる所為で何処か安心しているようで全く恐怖の色に染まらない。
ー 気にいらねぇ。
「また、先輩の悪癖ですか。」
御者役の執行人達が馬の世話を終え、休憩の輪に入ってくる。
「『白百合の騎士』様は何も悪くないんですから手、出さないでくださいよ。」
「そうですよ。俺、非番だったから『従騎士の誓い』、生で見ましたけどめっちゃ綺麗で感動しましたよ。あんな妖精みたいな人、いじめちゃ駄目ですよ。」
「そうそう、あんな清廉な人が悪い人に身を捧げる訳ないですって。…ああ、キリッとした表情も良いけど笑ってくれないかなぁ。」
「オメェらここに何しに来たんだ…。」
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同僚達がそんな反応してくるもんだからあの騎士の受刑者を貶めた気がしない。
全然気が収まらない。
思い通りにならず、心の中で地団駄踏む。
「そういえば『白百合の騎士』様、随分と厚着ですね。着膨れしてます。あ、でも白いコートが更に清楚さが増してとても似合ってますけどね。」
「寒いの苦手らしいぜ。そんなに寒いなら俺が温めてやるってぇんだ。」
「ハンッ、物好きどもめッ。何であんなクソガキ。」
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その時をはたと出発する前に宰相様に頼まれていた事を思い出した。
『シュネー・フリューゲルの荷物を捨て、荷物の中身を石にでも詰め替えなさい。頼みましたよ。』
ニッコリと宰相様が男の手に金貨を握らせて、嗤った。どうやらあの騎士の受刑者は相当恨みを買っているらしい。
ポケットに入れた黄金に煌めくそれを見て、男はニィーと嗤う。
ー そうだ。
いたぶらなくても十分地獄は見せられるじゃないか。
男は馬車に置きっ放しになっている騎士の受刑者の荷物を取り出し、近くに見えた小川まで腰に付いている手錠の鍵をジャラジャラと揺らしながら走った。そして小川の中に荷物の中身を捨てるとそこらに落ちていた石を先程の重さになるように詰めた。
男は上機嫌で馬車に戻ったすると赤髪の騎士が男とすれ違った。肩が当たったが、赤髪の騎士は気にせずそのまま自分の馬の世話に戻る。
どうやら赤髪の騎士は男が騎士の受刑者の荷物を持っていた事を気付かなかった様子。
男はフゥッと息を吐き、満足げに元の場所に荷物を戻し、ニンマリと嗤った。
ー 出来れば『刑受の森』の門を通った所で気付かねぇかなぁ。絶望する姿が早く見たいぜ。
休憩は終わり、馬車は『刑受の森』に向けて走り出す。
稀に『刑受の森』にいく『メールフォルスト』内の道で魔獣が出現する事もあるが、今回は何事もなく、『刑受の森』まで着いた。
元王子はジャラジャラと手錠を揺らし、開けた『刑受の森』の門を通っていく。
騎士の受刑者も元王子に続いて門を通ったが、ふと、背負った荷物に手を掛ける。
ー そうだ、気付け。
ニンマリと男は嗤い、荷物を開けるのを待つ。しかし騎士の受刑者は荷物を開けず、ポイッと門の外に捨てた。
「はぁ!? 」
そして騎士の受刑者はするりと白いコートを脱ぎ捨てた。白いコートを脱ぎ捨てた下には茶色コートと荷物らしき麻袋が……。
ー まさか俺が中身を捨てた荷物はダミーか!?
出し抜かれた男は地団駄を踏み、閉まっていく門の奥の騎士の受刑者を最後まで睨みつけた。
「こんのッ!! クソガキィーッ!!! 」
騎士の受刑者はそんな叫びにも一瞥もくれず、男の怒りの叫び声だけがその場に響いた。
◇
「リヒト、手を。」
ガシャリッと音を立てて、重厚な手錠が地面に落ちる。
「えっ? 鍵!? 」
「アルヴィンがくれました。アイツ、騎士目指す前はスリやってたそうなので。」
地面に落ちた手錠を見つめてリヒトが驚きの声を上げる。私は腰から一本の剣を外し、リヒトに手渡す。
「これは貴方が持ってて。剣の腕は第一王子より貴方が上だってシュヴェルトが言ってましたよ。」
剣を素直に受け取るとリヒトは悲しげな閉まった門を見つめた。
「ごめん。巻き込んで…。」
「煩い、アホ。」
「……アホ。」
悲しげな表情が困惑の表情に変わる。
罪悪感で苛まれるよりその表情の方が、マシだ。
「まあ、ゆっくりのんびり生き残りますか。」
森の中からか獣の鳴き声が響く。
異様な空気を纏う森に二人は足を踏み出した。
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