寄るな。触るな。近付くな。

？？？視点④

あの子は自身を責め続けた。
見ているこちらが痛くなる程、『妹』を守れなかった事を悔い、僕の中でずっと泣き続けていた。

何であの子が自分を責めるの？ 
だってあの子は命がけで『妹』を守ったんだ。

『妹』が自身で自分の命を絶ったのに。
そんな『妹』を責めずに何であの子が苦しまなければいけないんだ。

身体が弱く家族に迷惑を掛けている僕と違って家族を守ったあの子が。
何でこんなに苦しまなければいけないんだ。

守れなかったから？
守る事が出来ればあの子はこの悲しみや苦しみから解放されるの？


だったら…。

「僕の身体を使ってよ！！ こんな身体でも君の役に立つなら使ってよッ。君の『妹』を守る為にッ！！ 」

あの子が初めて泣くのを止めて、こちらを見た。あの子は雪のように柔らかい毛で僕を包み、ペロリと僕の頰を舐めた。

どうやら僕は泣いていたようでそれを優しく舐めとってくれた。
本当にあの子は優しい。

包まれるとお日様のような匂いがしてとても落ち着く。あの子に包まれていると心がポカポカしてくる。

『ダメ。それは貴方の一生だから。』

あの子はもらえないと首を横に振る。
本当にあの子は僕の前世とは思えない程、意思が強くて優しい。

そんなあの子だから僕はとても誇らしく、とても愛しく感じるんだ。僕の一生をあげても良いと思う程。

「じゃあさ。僕と生きるっていうのはどう？ 僕、弱いから君が欲しいんだ。君の強さが欲しい。勇敢さが欲しい。だから僕と一緒に生きてくれない？ 」

その言葉にあの子は少し悩んだが、僕の人生初めてのプロポーズを受け入れてくれた。

前世の自分にプロポーズするっていうのもおかしい話だけれどそれでもあの子が泣き止んで、僕と生きてくれるなら悪くない。

「僕と一緒に君の『妹』を守ろう。君と一緒ならきっと…。」


そしてあの子と僕は混ざり、今のシュネーが産まれた。

トラウマの権化エリアスの所為で少し不具合が起こったけどやっと僕等は一つになれた。