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???視点③
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注意:話の内容がかなり暗いです。辛かったらこの話は飛ばしてください。
ーーーーーーーーーーーーーーー
『妹』はずっと泣き続けた。
あの子が居なくなってからずっと。
『妹』は冷たくなったあの子の亡骸をずっとずっと抱いていて。
お母さんやお父さんがサヨナラしようと言っても『妹』はあの子を離さなかった。
ずっとずっと泣き続けた。
だからあの子はいけなかった。
あの子は『妹』が心配で本当は還らなければいけなかったのに還れなかった。だから『妹』の為に身体はもうないのにあの子は『妹』の隣にいる事にした。
それは生前と同じように何時でもあの子に寄り添った。生きてた頃のように『妹』の温もりもあの子の温もりも感じる事は出来なかったけどそれでもあの子は寄り添った。
ー せめてあの笑顔がまた見れるようになるまでは…。
『妹』はあの子が死んでから笑わなくなったが、時が経つにつれ、泣かなくもなった。
「なんかさ、愛想悪くなったよね。」
「暗いし、付き合いも悪いしさぁ。」
そう女の子達は『妹』の変化に苦言を呈した。
それは最初はちょっとした不満だった。だけどそれがだんだんとエスカレートして『妹』を苦しめた。
「何でさあ、みんなが笑ってる時に笑えないの? 」
「空気読めないからじゃない? 」
「うわっ、K Y。」
「あーあ、楽しい雰囲気が台無しじゃん。」
「空気読めないなら来なきゃ良いのに。」
「居ても居なくても変わんないよねぇ。」
何かを直接された訳ではなかった。しかしその言葉達が『妹』の精神を削り続け、ついには自身の価値すらも見えなくなっていった。
「私、何で生きてるんだろ。」
『妹』は口癖のようにその言葉を呟いた。
◇
それはくしくも雪の日。
あの子が『妹』と出会い、別れた雪の日だった。
『妹』はふらふらと目に付いたマンションに入った。たまたまマンションの住人がマンションの入り口を通った為、それに続いて中に入った。
エレベーターで一番上の二十階まで登り、手すりに手を掛ける。この高さから下を見ると人が小さく見えて、『妹』は嗤った。
「何で私、生きてるんだろ。何でこんなに苦しいのに毎日ああやって歩いて、行きたくもない学校行って。…誰も私なんて必要としてないのに。私なんて居なくて良いのに。何で生きてるんだろう。」
『妹』は嗤っていた。
久しぶりに聞く笑い声だったが、それはまるで泣いているように聞こえた。
『妹』はゆっくりと手すりに身体を乗り上げる。
「もう、疲れた。もう終わりたい。もう死にたい。」
『妹』の身体がぐらりと傾く。
あの子は必死に止めようとしたが、身体のない霊体では『妹』を抱き締める事さえ叶わない。
ー 泣かないで。行かないで。私が、私が頑張るから私が守るから。
そう叫んでいるのに『妹』には聞こえない、届かない。どんなに生きて欲しいと想っても。大切なんだと訴えても届く事なんてない。
だってあの子の物語はあの雪の日に終わったのだから。
あの子の守って、愛おしんだ命が消えていく。
雪の中へと。
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『妹』はずっと泣き続けた。
あの子が居なくなってからずっと。
『妹』は冷たくなったあの子の亡骸をずっとずっと抱いていて。
お母さんやお父さんがサヨナラしようと言っても『妹』はあの子を離さなかった。
ずっとずっと泣き続けた。
だからあの子はいけなかった。
あの子は『妹』が心配で本当は還らなければいけなかったのに還れなかった。だから『妹』の為に身体はもうないのにあの子は『妹』の隣にいる事にした。
それは生前と同じように何時でもあの子に寄り添った。生きてた頃のように『妹』の温もりもあの子の温もりも感じる事は出来なかったけどそれでもあの子は寄り添った。
ー せめてあの笑顔がまた見れるようになるまでは…。
『妹』はあの子が死んでから笑わなくなったが、時が経つにつれ、泣かなくもなった。
「なんかさ、愛想悪くなったよね。」
「暗いし、付き合いも悪いしさぁ。」
そう女の子達は『妹』の変化に苦言を呈した。
それは最初はちょっとした不満だった。だけどそれがだんだんとエスカレートして『妹』を苦しめた。
「何でさあ、みんなが笑ってる時に笑えないの? 」
「空気読めないからじゃない? 」
「うわっ、K Y。」
「あーあ、楽しい雰囲気が台無しじゃん。」
「空気読めないなら来なきゃ良いのに。」
「居ても居なくても変わんないよねぇ。」
何かを直接された訳ではなかった。しかしその言葉達が『妹』の精神を削り続け、ついには自身の価値すらも見えなくなっていった。
「私、何で生きてるんだろ。」
『妹』は口癖のようにその言葉を呟いた。
◇
それはくしくも雪の日。
あの子が『妹』と出会い、別れた雪の日だった。
『妹』はふらふらと目に付いたマンションに入った。たまたまマンションの住人がマンションの入り口を通った為、それに続いて中に入った。
エレベーターで一番上の二十階まで登り、手すりに手を掛ける。この高さから下を見ると人が小さく見えて、『妹』は嗤った。
「何で私、生きてるんだろ。何でこんなに苦しいのに毎日ああやって歩いて、行きたくもない学校行って。…誰も私なんて必要としてないのに。私なんて居なくて良いのに。何で生きてるんだろう。」
『妹』は嗤っていた。
久しぶりに聞く笑い声だったが、それはまるで泣いているように聞こえた。
『妹』はゆっくりと手すりに身体を乗り上げる。
「もう、疲れた。もう終わりたい。もう死にたい。」
『妹』の身体がぐらりと傾く。
あの子は必死に止めようとしたが、身体のない霊体では『妹』を抱き締める事さえ叶わない。
ー 泣かないで。行かないで。私が、私が頑張るから私が守るから。
そう叫んでいるのに『妹』には聞こえない、届かない。どんなに生きて欲しいと想っても。大切なんだと訴えても届く事なんてない。
だってあの子の物語はあの雪の日に終わったのだから。
あの子の守って、愛おしんだ命が消えていく。
雪の中へと。
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