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???視点②
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何時もふたりは一緒に居た。
『妹』はあの子にとても懐いてて、外に行く時は何時もあの子の隣を歩きたがった。
『妹』は危なっかしくて。
あの子が目を離すとコケたり、迷子になったりする。だからあの子もずっと『妹』の隣に寄り添った。
だってあの子はお兄ちゃんだから。
あの子はお兄ちゃんだから『妹』を守らなきゃ。
『妹』は学校に行くようになっても、あの子にべったりだ。帰ってくると学校の話やアニメの話、読んだ漫画や小説の話をあの子に話してた。
あの子はそんな『妹』の話を聞き、何時もあの子の隣に居た。
「あのね、『◯◯』!! 今日はね。マユちゃんと公園で遊ぶの。『◯◯』も来て!! 」
それは雪の日だった。
あの子が『妹』と出会った時と同じ雪の日。
しんしんと降る雪が視界を霞ませる。
「真っ白で遠くが見えないね。」って『妹』は、はしゃいで車も人もいない道路の真ん中でくるりっと何度もターンした。
ー 危ないよ?
あの子は『妹』に駆け寄ろうとした。自分の隣に引き戻す為に。
ゴーゴーッ!!!
車が走ってくる音がした。
音の方へ視線を向けるとこの視界が悪い中、アクセル全開でトラックが走ってくる。
ー 危ないッ!!
車は『妹』が道路の真ん中にいるのに気付かないのか止まる気配がない。『妹』も雪で夢中で気付かない。
「見てッ!! 『◯◯』。雪って『◯◯』みたいで大好き!! 」
随分大きくなったけど『妹』は初めて出会った時みたい愛おしい可愛い笑顔を浮かべていた。自身に迫る死の足跡にも気付かずに。
ー 守らなきゃッ。守らなきゃ!!
だって私はお兄ちゃんだから。
真っ白な雪の中、けたたましい何かと何かが衝突する音が響いた。
そして白は赤に染まる。
視界が霞み。
身体を引き裂かれるような痛みを襲う。
『妹』が泣いていて。
でもあの子はホッとした。
ー 守れてよかった。
そしてあの子の意識は途切れた。
自身を身代わりにしてあの子は『妹』を守った。
守りきった。
あの子の物語は終わった筈だった。
『妹』はあの子にとても懐いてて、外に行く時は何時もあの子の隣を歩きたがった。
『妹』は危なっかしくて。
あの子が目を離すとコケたり、迷子になったりする。だからあの子もずっと『妹』の隣に寄り添った。
だってあの子はお兄ちゃんだから。
あの子はお兄ちゃんだから『妹』を守らなきゃ。
『妹』は学校に行くようになっても、あの子にべったりだ。帰ってくると学校の話やアニメの話、読んだ漫画や小説の話をあの子に話してた。
あの子はそんな『妹』の話を聞き、何時もあの子の隣に居た。
「あのね、『◯◯』!! 今日はね。マユちゃんと公園で遊ぶの。『◯◯』も来て!! 」
それは雪の日だった。
あの子が『妹』と出会った時と同じ雪の日。
しんしんと降る雪が視界を霞ませる。
「真っ白で遠くが見えないね。」って『妹』は、はしゃいで車も人もいない道路の真ん中でくるりっと何度もターンした。
ー 危ないよ?
あの子は『妹』に駆け寄ろうとした。自分の隣に引き戻す為に。
ゴーゴーッ!!!
車が走ってくる音がした。
音の方へ視線を向けるとこの視界が悪い中、アクセル全開でトラックが走ってくる。
ー 危ないッ!!
車は『妹』が道路の真ん中にいるのに気付かないのか止まる気配がない。『妹』も雪で夢中で気付かない。
「見てッ!! 『◯◯』。雪って『◯◯』みたいで大好き!! 」
随分大きくなったけど『妹』は初めて出会った時みたい愛おしい可愛い笑顔を浮かべていた。自身に迫る死の足跡にも気付かずに。
ー 守らなきゃッ。守らなきゃ!!
だって私はお兄ちゃんだから。
真っ白な雪の中、けたたましい何かと何かが衝突する音が響いた。
そして白は赤に染まる。
視界が霞み。
身体を引き裂かれるような痛みを襲う。
『妹』が泣いていて。
でもあの子はホッとした。
ー 守れてよかった。
そしてあの子の意識は途切れた。
自身を身代わりにしてあの子は『妹』を守った。
守りきった。
あの子の物語は終わった筈だった。
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