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私、流されてる?
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あの日。
あのトラウマ級の衝撃を受けた私は前世の記憶に目覚めた。
しかし実は、「思い出した!! 」っと力強く言える程全てを思い出した訳ではない。
「前世に妹がいて、妹が異世界ものの漫画やアニメが好きだった。」くらいのしょぼいもので、「前世の記憶を使って何かしよう。」とか。「実はこんなチートが!! 」とか。そういうのが一切ない。
そもそも自身の名前も性別も覚えていない。だから何故ここまで不完全な私が今、シュネーに成り代わっているか。甚だ疑問だ。
未だに私は私のままで。
そして時は進んでいく。
◇
シトシトと気持ちいい汗が肌を伝う。豆だらけなった堅い手を満足げに私は見つめていた。
成り行きでシュヴェルトに連れてこられた騎士団の鍛錬場。
護身程度には剣術を習うかと中途半端な気持ちで最初はシュヴェルトとともに騎士団の鍛錬に参加していたが、何時の間にかに剣術にのめり込んでいた。
エリアスから逃げていた時に薄々気付いていたのだが、シュネーは運動神経は悪くない。身体が動かす事が少なかったから気付かなかっただけで、寧ろ得意と言ってもいいくらい運動神経を持ってる。
最初は全く付いていけなかった鍛錬もみるみる内にこなせる様になり、自身でも見違える程、身体の調子が良い。どんなに鍛えても筋肉がさほどつかないのは解せないがそれでも同年代とやりあえるだけのセンスがあるので取り敢えず満足している。
「よう、相棒!! アルヴィンと互角にやり合うなんてまた腕上げたな!! 」
さも自分の事のように嬉しそうにシュヴェルトが肩を組んでくる。しかも何時の間にかに、強引に相棒認定されてしまっている。まあ、認められてるって感じで悪い気はしないが。
「おいおい、体重掛けるなよ。シュネーが潰れるぞ。」
「ダイジョーブ。相棒はこんな事じゃ潰れないさ、ジョゼ兄。」
私が徐々に重さに耐えかね沈んでいくのを見て、シュヴェルトの兄ジョゼフがベリっとシュヴェルトを引き剥がす。ジョゼフは「全く。」と溜息をつき、ウリウリとシュヴェルトの首を軽く締めて弟を可愛がる。そんなジョゼフの後ろをポテポテと付いてきたアルヴィンが私の横に無言で座った。
「休憩終わったら手合わせしてくれる? アルヴィン。」
「………。」
言葉は返って来なかったが、アルヴィンはコクリと首を縦に振った。どうやらもう一回手合わせしてくれるらしい。
アルヴィンは基本、誰に対しても無口だ。
彼は私とは違い、騎士になる為に騎士団の鍛錬に参加している。同い年だからか気付けば何時も隣にいる。無口なので友達らしい会話をした事無いが、私は初めて出来た同年代の友達だと思っている。
「良いなぁジョゼ兄は。今年で見習い騎士卒業で騎士かぁ。俺も早く十四歳になりたい。」
「お前は見習い騎士になったばかりだろう。早ぇよ。お前等もあと二年で見習い騎士だからな。そん時は祝ってやるよ。」
コクリとジョゼフの言葉に隣に居たアルヴィンが頷く。
この世界の騎士団の入隊年齢は早い。十二歳から見習い騎士として入隊して十四歳には騎士として正式に仕事をする。まぁ、貴族は皆十一歳から王都にある学園に通うので卒業の十六歳までは学業優先。…しかしながら何故『お前ら』なのか。
私は騎士になるつもりは今の所無い。
「私は騎士には…。」
「なるんだ。」
「相棒だろ!! 」
「……シュネーは向いてる。」
断る前に全員にゴリ押しされた。まさか、無口のアルヴィンにまで言われるとは思わなかった。しかも「向いてる。」って。そんなに向いてるのか?
剣術も身体動かすのも好きだけど。
このまま本当に流されて騎士になりそうだなと溜息をつくとシュヴェルトがポンポンと頭を撫でる。
「まあ、みんなで仲良くやろうぜ、相棒。流されるのも人生だって。」
「まあ、流されて『従騎士』になって欲しく無いけどなぁ。」
「従騎士? 」
「まだ、シュネーは知らなかったか。主人に命も人生も全て捧げる騎士の事だよ。」
「そうそう、スゲーヘビーな契約でさ。騎士の誓いに少し近いけど、結婚よりも重いんだ。主人と命運を共有してるから主人が死ねば『従騎士』も死ぬし、主人が罪を犯せば同じ刑に処される。一度誓いを立てると何故か主人と離れられないだってさ。
怖いよな…、相棒。絶対脅されてもするなよ。」
あははと楽しそうにエゲツない話をサラッとする。
なんて恐ろしい契約だ…。
ゾッと寒気が走った瞬間、奴の顔が浮かぶ。
気を付けねば。いや、騎士になる気はないが…。
「さぁ、剣術稽古を再開しようぜ。ボコボコにしてやるからかかって来な、シュヴェルトッ!! 」
「逆にコテンパンにしてやるよ、ジョゼ兄。」
「やる気なのは良いけど、力任せに使って剣折るなよ。」
休憩を終えた二人が意気揚々と練習用の刃を潰した鉄の剣を振る。
アルヴィンはそれを見て、黙って距離を取った。私も剣術稽古に戻るのをやめた。
キインッ!!
メキッ!!
私は剣術が好きだ。
力が相手より劣っても剣術の使い方次第で勝つ事が出来る。
メキッ!!
バキッ!!
だがらあの二人のは剣術とは呼ばない。剣を力任せにぶつけ合う。最早、殴り合いだ。
バキッメキッ!!
メキメキメキーッ!!!
二人のぶつかり合った鉄の剣は彼等の馬鹿力に耐えられず、鈍い悲鳴を上げて折れた。折れた刃先は宙を飛び、一つはアルヴィンの足元に刺さり、もう一つは一人の騎士の腕を掠めた。
「ヒィッ!! 」
「またッ、やりやがったなぁ。クソガキィッ!!! 」
血気盛んな騎士達。
たちまち場は大乱闘。
原因を作った兄弟は大乱闘の中で何故か背中を預け合って迎え撃っている。アルヴィンも何時の間にかに乱闘の輪の中にいる。
「やっぱり騎士なんぞなりたくない…。」
こんな血気盛んな中で騎士をやってる私を思い描き、身震いした。
あのトラウマ級の衝撃を受けた私は前世の記憶に目覚めた。
しかし実は、「思い出した!! 」っと力強く言える程全てを思い出した訳ではない。
「前世に妹がいて、妹が異世界ものの漫画やアニメが好きだった。」くらいのしょぼいもので、「前世の記憶を使って何かしよう。」とか。「実はこんなチートが!! 」とか。そういうのが一切ない。
そもそも自身の名前も性別も覚えていない。だから何故ここまで不完全な私が今、シュネーに成り代わっているか。甚だ疑問だ。
未だに私は私のままで。
そして時は進んでいく。
◇
シトシトと気持ちいい汗が肌を伝う。豆だらけなった堅い手を満足げに私は見つめていた。
成り行きでシュヴェルトに連れてこられた騎士団の鍛錬場。
護身程度には剣術を習うかと中途半端な気持ちで最初はシュヴェルトとともに騎士団の鍛錬に参加していたが、何時の間にかに剣術にのめり込んでいた。
エリアスから逃げていた時に薄々気付いていたのだが、シュネーは運動神経は悪くない。身体が動かす事が少なかったから気付かなかっただけで、寧ろ得意と言ってもいいくらい運動神経を持ってる。
最初は全く付いていけなかった鍛錬もみるみる内にこなせる様になり、自身でも見違える程、身体の調子が良い。どんなに鍛えても筋肉がさほどつかないのは解せないがそれでも同年代とやりあえるだけのセンスがあるので取り敢えず満足している。
「よう、相棒!! アルヴィンと互角にやり合うなんてまた腕上げたな!! 」
さも自分の事のように嬉しそうにシュヴェルトが肩を組んでくる。しかも何時の間にかに、強引に相棒認定されてしまっている。まあ、認められてるって感じで悪い気はしないが。
「おいおい、体重掛けるなよ。シュネーが潰れるぞ。」
「ダイジョーブ。相棒はこんな事じゃ潰れないさ、ジョゼ兄。」
私が徐々に重さに耐えかね沈んでいくのを見て、シュヴェルトの兄ジョゼフがベリっとシュヴェルトを引き剥がす。ジョゼフは「全く。」と溜息をつき、ウリウリとシュヴェルトの首を軽く締めて弟を可愛がる。そんなジョゼフの後ろをポテポテと付いてきたアルヴィンが私の横に無言で座った。
「休憩終わったら手合わせしてくれる? アルヴィン。」
「………。」
言葉は返って来なかったが、アルヴィンはコクリと首を縦に振った。どうやらもう一回手合わせしてくれるらしい。
アルヴィンは基本、誰に対しても無口だ。
彼は私とは違い、騎士になる為に騎士団の鍛錬に参加している。同い年だからか気付けば何時も隣にいる。無口なので友達らしい会話をした事無いが、私は初めて出来た同年代の友達だと思っている。
「良いなぁジョゼ兄は。今年で見習い騎士卒業で騎士かぁ。俺も早く十四歳になりたい。」
「お前は見習い騎士になったばかりだろう。早ぇよ。お前等もあと二年で見習い騎士だからな。そん時は祝ってやるよ。」
コクリとジョゼフの言葉に隣に居たアルヴィンが頷く。
この世界の騎士団の入隊年齢は早い。十二歳から見習い騎士として入隊して十四歳には騎士として正式に仕事をする。まぁ、貴族は皆十一歳から王都にある学園に通うので卒業の十六歳までは学業優先。…しかしながら何故『お前ら』なのか。
私は騎士になるつもりは今の所無い。
「私は騎士には…。」
「なるんだ。」
「相棒だろ!! 」
「……シュネーは向いてる。」
断る前に全員にゴリ押しされた。まさか、無口のアルヴィンにまで言われるとは思わなかった。しかも「向いてる。」って。そんなに向いてるのか?
剣術も身体動かすのも好きだけど。
このまま本当に流されて騎士になりそうだなと溜息をつくとシュヴェルトがポンポンと頭を撫でる。
「まあ、みんなで仲良くやろうぜ、相棒。流されるのも人生だって。」
「まあ、流されて『従騎士』になって欲しく無いけどなぁ。」
「従騎士? 」
「まだ、シュネーは知らなかったか。主人に命も人生も全て捧げる騎士の事だよ。」
「そうそう、スゲーヘビーな契約でさ。騎士の誓いに少し近いけど、結婚よりも重いんだ。主人と命運を共有してるから主人が死ねば『従騎士』も死ぬし、主人が罪を犯せば同じ刑に処される。一度誓いを立てると何故か主人と離れられないだってさ。
怖いよな…、相棒。絶対脅されてもするなよ。」
あははと楽しそうにエゲツない話をサラッとする。
なんて恐ろしい契約だ…。
ゾッと寒気が走った瞬間、奴の顔が浮かぶ。
気を付けねば。いや、騎士になる気はないが…。
「さぁ、剣術稽古を再開しようぜ。ボコボコにしてやるからかかって来な、シュヴェルトッ!! 」
「逆にコテンパンにしてやるよ、ジョゼ兄。」
「やる気なのは良いけど、力任せに使って剣折るなよ。」
休憩を終えた二人が意気揚々と練習用の刃を潰した鉄の剣を振る。
アルヴィンはそれを見て、黙って距離を取った。私も剣術稽古に戻るのをやめた。
キインッ!!
メキッ!!
私は剣術が好きだ。
力が相手より劣っても剣術の使い方次第で勝つ事が出来る。
メキッ!!
バキッ!!
だがらあの二人のは剣術とは呼ばない。剣を力任せにぶつけ合う。最早、殴り合いだ。
バキッメキッ!!
メキメキメキーッ!!!
二人のぶつかり合った鉄の剣は彼等の馬鹿力に耐えられず、鈍い悲鳴を上げて折れた。折れた刃先は宙を飛び、一つはアルヴィンの足元に刺さり、もう一つは一人の騎士の腕を掠めた。
「ヒィッ!! 」
「またッ、やりやがったなぁ。クソガキィッ!!! 」
血気盛んな騎士達。
たちまち場は大乱闘。
原因を作った兄弟は大乱闘の中で何故か背中を預け合って迎え撃っている。アルヴィンも何時の間にかに乱闘の輪の中にいる。
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