131 / 160
《恋》の定義①
しおりを挟む
ー 救いようのねぇ馬鹿だな。コイツ。
そう自身を睨む王を見て思わず、ため息を溢すし、チラリとあのソレーユを見やる。すると奴は「行くよ。」と俺の指に自身の指を逃げないように絡め合わせて、手を引く。
《俺を求めろ。》
あの命令の所為で何故だかちょくちょくミドリの姿が奴と重なる。
だからだろうか?
こんな気狂いの事なんかどうでもいい筈なのに先程のやり取りで心がざわざわとしているのは。
「なんであんな事聞いたんだ?」
この気狂いが何を考えているのか分からない。
だが、一番デリケートな部分を淡々と質問していたのが気がかりだった。
ああいうのは怒ったり、泣いたりして聞くような事柄だと俺は思う。
その上、あれは無言の肯定だ。愛されていると思ってたなら落胆するだろ、普通。
そう聞けば「何のこと?」と首を傾げて、少し考え込んだ。そして「ああ。あれか。」と先程出た執務室の方に顔を向けた。
「いや、前に君が叱らないのは僕に興味がないからって言っていたからどう思ってるのか気になってね。」
「…お前。」
「君の言う通りみたいだね。僕は二人の《証》でしかないみたいだ。俺自身には興味がない。」
淡々としている所か、「ノワールは凄いな。」と笑みを溢した。
それをただ狂ってると切り捨てられたならまだ楽なのかもしれない。
だが…、イラつくものはイラつく。
俺は黙っているつもりはない。
「そこは怒る所だ。」
「ノワールはとことん俺を否定するね。」
「それが嫌ならさっさとモモを解放しろ。そしたらとっとと出てってやるよ。」
「嫌なんて一言も言ってないよ、ノワール。俺は君を手放す気なんてこれっぽっちもない。」
ツゥーッと男ソレーユの指が首筋を撫で、耳に触れる。
それが心底嫌だと顔で盛大に表現するがまた奴とミドリと重なり、耳に噛み付くのを許してしまった。
「イッ!?おいっ。ふざけんじゃねぇぞ。」
「君は俺のものだ。少し目を話した隙に浮気してたのを俺は許してないよ?…君を獄塔にひとりにしたのは間違いだった。片時も離してはダメみたいだね、君は。」
気を抜くとこの男は犬のように噛み付いてくる。
この前は油断して首筋を噛まれて、思いっきり殴ってやったのに全く懲りていない。
くっきり残った首筋の歯形は鏡で何度見ても痛々しい。容赦なく噛むからまだズキズキ痛い。…クソッ。絶対、やり返す。
噛んだ耳を撫で、首筋に残った歯形を撫でると満足気にこの男は笑う。
その顔を見ていると時折、夢現で見たミドリの顔が浮かぶ。
自身の残した痕に触れ、少し申し訳なさそうに頰を染めて微笑む姿が。
ー 俺はアイツをどうしたいんだろう?
前みたいには無理だとしても笑い合えるような関係がいい。その為に自身でどうにかしようと動いた。だけど…。
『僕はコタを愛してるの。そこに性別は関係ないし、歳だって関係ない。』
『コタはどう?男の僕とキスするのは嫌?気持ち悪い?』
きっとそれだけではダメなんだろうなと、ラヨネのやり取りを思い出して最近思ったりする。
ラヨネの事もミドリの事も。
俺が俺の中で答えを出さなければ進まない。
ー 違うな。もう答えは出てる。
溜息を吐き、新しく出来た噛み跡に触れる。
初めて身体を開かされた時に抵抗しなかったのも。その後身体を許したのも。この噛み跡がお前の顔がチラつくだけで許せてしまうのもそれは…。
それが嫌じゃないから。
それを気持ち悪いと思っていないからだ。
そう自身を睨む王を見て思わず、ため息を溢すし、チラリとあのソレーユを見やる。すると奴は「行くよ。」と俺の指に自身の指を逃げないように絡め合わせて、手を引く。
《俺を求めろ。》
あの命令の所為で何故だかちょくちょくミドリの姿が奴と重なる。
だからだろうか?
こんな気狂いの事なんかどうでもいい筈なのに先程のやり取りで心がざわざわとしているのは。
「なんであんな事聞いたんだ?」
この気狂いが何を考えているのか分からない。
だが、一番デリケートな部分を淡々と質問していたのが気がかりだった。
ああいうのは怒ったり、泣いたりして聞くような事柄だと俺は思う。
その上、あれは無言の肯定だ。愛されていると思ってたなら落胆するだろ、普通。
そう聞けば「何のこと?」と首を傾げて、少し考え込んだ。そして「ああ。あれか。」と先程出た執務室の方に顔を向けた。
「いや、前に君が叱らないのは僕に興味がないからって言っていたからどう思ってるのか気になってね。」
「…お前。」
「君の言う通りみたいだね。僕は二人の《証》でしかないみたいだ。俺自身には興味がない。」
淡々としている所か、「ノワールは凄いな。」と笑みを溢した。
それをただ狂ってると切り捨てられたならまだ楽なのかもしれない。
だが…、イラつくものはイラつく。
俺は黙っているつもりはない。
「そこは怒る所だ。」
「ノワールはとことん俺を否定するね。」
「それが嫌ならさっさとモモを解放しろ。そしたらとっとと出てってやるよ。」
「嫌なんて一言も言ってないよ、ノワール。俺は君を手放す気なんてこれっぽっちもない。」
ツゥーッと男ソレーユの指が首筋を撫で、耳に触れる。
それが心底嫌だと顔で盛大に表現するがまた奴とミドリと重なり、耳に噛み付くのを許してしまった。
「イッ!?おいっ。ふざけんじゃねぇぞ。」
「君は俺のものだ。少し目を話した隙に浮気してたのを俺は許してないよ?…君を獄塔にひとりにしたのは間違いだった。片時も離してはダメみたいだね、君は。」
気を抜くとこの男は犬のように噛み付いてくる。
この前は油断して首筋を噛まれて、思いっきり殴ってやったのに全く懲りていない。
くっきり残った首筋の歯形は鏡で何度見ても痛々しい。容赦なく噛むからまだズキズキ痛い。…クソッ。絶対、やり返す。
噛んだ耳を撫で、首筋に残った歯形を撫でると満足気にこの男は笑う。
その顔を見ていると時折、夢現で見たミドリの顔が浮かぶ。
自身の残した痕に触れ、少し申し訳なさそうに頰を染めて微笑む姿が。
ー 俺はアイツをどうしたいんだろう?
前みたいには無理だとしても笑い合えるような関係がいい。その為に自身でどうにかしようと動いた。だけど…。
『僕はコタを愛してるの。そこに性別は関係ないし、歳だって関係ない。』
『コタはどう?男の僕とキスするのは嫌?気持ち悪い?』
きっとそれだけではダメなんだろうなと、ラヨネのやり取りを思い出して最近思ったりする。
ラヨネの事もミドリの事も。
俺が俺の中で答えを出さなければ進まない。
ー 違うな。もう答えは出てる。
溜息を吐き、新しく出来た噛み跡に触れる。
初めて身体を開かされた時に抵抗しなかったのも。その後身体を許したのも。この噛み跡がお前の顔がチラつくだけで許せてしまうのもそれは…。
それが嫌じゃないから。
それを気持ち悪いと思っていないからだ。
0
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
某国の皇子、冒険者となる
くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。
転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。
俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために……
異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。
主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。
※ BL要素は控えめです。
2020年1月30日(木)完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる