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紫色の瞳
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『お前、本当は女なんだろ。』
小学生の頃。度々、そう揶揄われた。
長い睫毛に大きな瞳。日に焼ければすぐに赤くなり、日焼けなんで出来ない白い肌。
男らしくないその姿に悪ガキどもには格好の的で、ズボンを下ろせやら男なら証明して見ろやらなんやらそれは日々エスカレートしていった。揶揄われるその度にあの頃は拳で黙らせ、そして怒られた。
「暴力はいけません。」
先に仕掛けてきたのはあっちなのに悪いのは何時も俺。
あの頃はただ自分のプライドを守りたくて拳を挙げた。誰も俺の気持ちなんざ分かってくれないからただ自分を守る為に喧嘩をしていた。
それに俺は運動神経がいい方で高学年の奴らとの喧嘩でも負けなかった。誰も分かってくれない俺のこの燻った気持ちも喧嘩に勝てば、その時だけは消えてくれる。
俺は強い。俺は女じゃない男だ。
お前等なんかに負けない。屈しない。
誰にも俺の気持ちを分かってもらえなくていい。
だが、喧嘩をすればする程、大人からは見放され、周りからは恨みを買っていく。
『お前、低学年のくせに生意気なんだよ。』
そしてついには高学年の連中に小学校の裏にあった裏山に呼び出され、喧嘩の末に勢い余って崖から突き落とされた。きっとあの時、俺の人生は本当なら終わっていたのかもしれない。
青空に伸ばされた誰にも掴まれる事のない小さな手。
その手すら霞んで見えなくなる朦朧とする意識の中、花の香りが身体を包む。
裏山にいた筈なのに気付けば俺は花園の中にいて、あの人に膝枕をされていた。
「おはよう。私の可愛い獣。」
あの人はそう花が咲いたようにその美しい顔を綻ばせ、あの青空に伸ばした小さな手を力強く握ってくれた。
「死と生の狭間。楽園にようこそ。」
それは俺にとって神様でもあり、悪魔でもあるあの人との出会い。
その出会いは幸か不幸か。
あの頃の俺には…、いや、今の俺にも未だ分からない。
……………。
……………………。
「んっ…。」
温かな手が優しく肌を撫でる。
その手は何処かあの人の手に似ているが、あの人よりゴツゴツした手で、まるで宝物を扱うように丁寧で優しい。
頰を。首筋。鎖骨、脇と、身体のラインをなぞるように撫でるその手にブルリッと身体が擽ったくて震える。もぞりと足を動かすとシーツは引っかかる事なく滑らかに波打つ。
足が滑り、逃げを打つ事の出来ない身体は刺激を逃す事が出来ず、感受するしかない。
「っ…。ぁ。…はぁ。んんっ…。んっ。」
触れられた所が熱を持ち、身体が熱を帯びる。堪らず熱い吐息が漏れる口を唇が塞ぐ。
角度を変えて、何度も塞がれる口。
唇が触れるたびに蕩けるような甘さが口の中に広がり、ふわりと思考までもが蕩けそうになる。身体は先程よりも熱を帯び、毛先から爪先まで細胞が全てが気持ち良くて仕方がない。
それはずっと身体が待ち望んでいたものだった。
欲しかったものを与えられて、身体が喜びに身を震わせる。
もっと欲しい。
もっと満たされたい。
「…コタ。」
腰にソッと手が当てられて、先程よりも深く唇が重なる。口の中を優しく掻き回し、チュッと舌を吸い上げられる。
そうされると口の中が先程よりも甘くて満たされて幸せで、とろんとした目で二人の間に引く銀の糸の先を追う。
途中でプツンと切れた銀の糸の先には精悍な顔付きをした美丈夫が熱のこもった紫色の瞳でこちらを見ていた。
小学生の頃。度々、そう揶揄われた。
長い睫毛に大きな瞳。日に焼ければすぐに赤くなり、日焼けなんで出来ない白い肌。
男らしくないその姿に悪ガキどもには格好の的で、ズボンを下ろせやら男なら証明して見ろやらなんやらそれは日々エスカレートしていった。揶揄われるその度にあの頃は拳で黙らせ、そして怒られた。
「暴力はいけません。」
先に仕掛けてきたのはあっちなのに悪いのは何時も俺。
あの頃はただ自分のプライドを守りたくて拳を挙げた。誰も俺の気持ちなんざ分かってくれないからただ自分を守る為に喧嘩をしていた。
それに俺は運動神経がいい方で高学年の奴らとの喧嘩でも負けなかった。誰も分かってくれない俺のこの燻った気持ちも喧嘩に勝てば、その時だけは消えてくれる。
俺は強い。俺は女じゃない男だ。
お前等なんかに負けない。屈しない。
誰にも俺の気持ちを分かってもらえなくていい。
だが、喧嘩をすればする程、大人からは見放され、周りからは恨みを買っていく。
『お前、低学年のくせに生意気なんだよ。』
そしてついには高学年の連中に小学校の裏にあった裏山に呼び出され、喧嘩の末に勢い余って崖から突き落とされた。きっとあの時、俺の人生は本当なら終わっていたのかもしれない。
青空に伸ばされた誰にも掴まれる事のない小さな手。
その手すら霞んで見えなくなる朦朧とする意識の中、花の香りが身体を包む。
裏山にいた筈なのに気付けば俺は花園の中にいて、あの人に膝枕をされていた。
「おはよう。私の可愛い獣。」
あの人はそう花が咲いたようにその美しい顔を綻ばせ、あの青空に伸ばした小さな手を力強く握ってくれた。
「死と生の狭間。楽園にようこそ。」
それは俺にとって神様でもあり、悪魔でもあるあの人との出会い。
その出会いは幸か不幸か。
あの頃の俺には…、いや、今の俺にも未だ分からない。
……………。
……………………。
「んっ…。」
温かな手が優しく肌を撫でる。
その手は何処かあの人の手に似ているが、あの人よりゴツゴツした手で、まるで宝物を扱うように丁寧で優しい。
頰を。首筋。鎖骨、脇と、身体のラインをなぞるように撫でるその手にブルリッと身体が擽ったくて震える。もぞりと足を動かすとシーツは引っかかる事なく滑らかに波打つ。
足が滑り、逃げを打つ事の出来ない身体は刺激を逃す事が出来ず、感受するしかない。
「っ…。ぁ。…はぁ。んんっ…。んっ。」
触れられた所が熱を持ち、身体が熱を帯びる。堪らず熱い吐息が漏れる口を唇が塞ぐ。
角度を変えて、何度も塞がれる口。
唇が触れるたびに蕩けるような甘さが口の中に広がり、ふわりと思考までもが蕩けそうになる。身体は先程よりも熱を帯び、毛先から爪先まで細胞が全てが気持ち良くて仕方がない。
それはずっと身体が待ち望んでいたものだった。
欲しかったものを与えられて、身体が喜びに身を震わせる。
もっと欲しい。
もっと満たされたい。
「…コタ。」
腰にソッと手が当てられて、先程よりも深く唇が重なる。口の中を優しく掻き回し、チュッと舌を吸い上げられる。
そうされると口の中が先程よりも甘くて満たされて幸せで、とろんとした目で二人の間に引く銀の糸の先を追う。
途中でプツンと切れた銀の糸の先には精悍な顔付きをした美丈夫が熱のこもった紫色の瞳でこちらを見ていた。
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