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貢ぎ物
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あれは夢か現実か。
背筋にゾクリッと寒気が走り、テントの中を見回したが、ミドリと俺以外の痕跡は見当たらなかった。
気持ち悪くなり、痕を掻くと「掻きむしるの良くなイ。」とミドリが止めたられる。掻き過ぎて血が滲んでいるようで痒み止めではなく、傷薬を塗られた。
「舐めときゃ治るって。」
「駄目。ちゃんと手当てしないと傷残ル。」
「…傷は男の勲章だろ。」
「コタの綺麗な白い肌。傷残って欲しくなイ。」
「男に綺麗はやめろよ。」
傷薬だけでなく、グルグルと清潔な布で過剰な手当てをするミドリ。
そんなミドリの姿に苦笑する。
ミドリは仲間を失ったからか仲間が傷を負うのを恐れている節がある。小さな擦り傷や軽い打撲程度でも眉の根が下がり、不安そうな顔になる。
そして、まるで大事な宝物を扱うような優しい手つきで丁寧に丁寧に手当てする。それがむず痒くてむず痒くてしょうがない。
それでも綺麗だと小さな緑色の手がするりと肌を撫でる度見せる表情があまりに幸福そうで、俺はむず痒くてもやめろという事が出来ないでいる。
ー どうしたもんかな…。
ポリポリと頭を掻き、現状から少し目を逸らす。
このミドリから醸し出されるふんわりとした雰囲気が喧嘩三昧だった俺にはなれない。
もうちょい雑な扱いでいいんだけどな、と心の中でボヤきつつ、テントの窓からぼんやり外を見ていると、不意に外からニュッと手が入ってきてボトボトと魚を落とした。
「オイッ!? またかよ!!! 」
目的を達成し、シュバッと窓から抜かれた手を追いかけて、テントから出ると遠くにペタペタと走り去っていく爬虫類の後ろ姿が三つ。
学ラン風の上着を満足気に靡かせて、奴等は自身の集落へ向けて帰ろうとしていた。
「オイ。コラッ、リザなんちゃら。いらねぇって言ってんだろがッ!! 」
いい加減にしろと叫ぶが戻ってくる事はなく、貢がれた魚だけが手元に残った。
「ちくしょうっ。またやられた。」
あまりの悔しさに地面を蹴った。
リザなんちゃらへのカチコミの後。
リザなんちゃらは毎日、俺達に魚を貢ぐようになっていた。
お前達に貢がれる義理はねぇ。
自分の魚くらい自分でとる。
そう最初の頃、俺は魚をリザなんちゃらに突き返していた。その度、リザなんちゃらは悲しそうにトボトボと貢物の魚を持って帰っていく。それが一時期朝の恒例になっていた。
だが、どうしても受け取って欲しいのか。
リザなんちゃらは正攻法で来ると受け取ってもらえない事を学習してこの方法を取るようになった。……何故、そこまでして貢ぎたいのか? 俺には全く分からねぇ。
苛立ちに任せ、バリバリと頭を掻きながら魚をミドリに渡すと、ミドリは器用に魚を捌き、天日干しにする。テントの周囲は天日干しにされている魚達に囲まれていて非常に生臭い。
しかし、テントの周りに置かれているものは魚だけではない。
「臭ぇな。色んな匂いが混ざってやがる。」
イノシシっぽい生き物の肉や果物に花。
朝、起きると何時の間にやらテントの周りにお供物のように置いてある。
実は貢物をしてくるのはリザなんちゃらだけではない。
カチコミをした魔物達全員から毎朝毎朝、貢がれてる。
ー 俺はあいつらの中でどのポジションなんだろうな……。
俺の目的はこの森の頂点に立ち、白龍と喧嘩し、日本に帰る手立て及びこの不調をどうにかする事。
その目的は着々と達成しつつあるが、俺が求めてる形とはなんか違う。
背筋にゾクリッと寒気が走り、テントの中を見回したが、ミドリと俺以外の痕跡は見当たらなかった。
気持ち悪くなり、痕を掻くと「掻きむしるの良くなイ。」とミドリが止めたられる。掻き過ぎて血が滲んでいるようで痒み止めではなく、傷薬を塗られた。
「舐めときゃ治るって。」
「駄目。ちゃんと手当てしないと傷残ル。」
「…傷は男の勲章だろ。」
「コタの綺麗な白い肌。傷残って欲しくなイ。」
「男に綺麗はやめろよ。」
傷薬だけでなく、グルグルと清潔な布で過剰な手当てをするミドリ。
そんなミドリの姿に苦笑する。
ミドリは仲間を失ったからか仲間が傷を負うのを恐れている節がある。小さな擦り傷や軽い打撲程度でも眉の根が下がり、不安そうな顔になる。
そして、まるで大事な宝物を扱うような優しい手つきで丁寧に丁寧に手当てする。それがむず痒くてむず痒くてしょうがない。
それでも綺麗だと小さな緑色の手がするりと肌を撫でる度見せる表情があまりに幸福そうで、俺はむず痒くてもやめろという事が出来ないでいる。
ー どうしたもんかな…。
ポリポリと頭を掻き、現状から少し目を逸らす。
このミドリから醸し出されるふんわりとした雰囲気が喧嘩三昧だった俺にはなれない。
もうちょい雑な扱いでいいんだけどな、と心の中でボヤきつつ、テントの窓からぼんやり外を見ていると、不意に外からニュッと手が入ってきてボトボトと魚を落とした。
「オイッ!? またかよ!!! 」
目的を達成し、シュバッと窓から抜かれた手を追いかけて、テントから出ると遠くにペタペタと走り去っていく爬虫類の後ろ姿が三つ。
学ラン風の上着を満足気に靡かせて、奴等は自身の集落へ向けて帰ろうとしていた。
「オイ。コラッ、リザなんちゃら。いらねぇって言ってんだろがッ!! 」
いい加減にしろと叫ぶが戻ってくる事はなく、貢がれた魚だけが手元に残った。
「ちくしょうっ。またやられた。」
あまりの悔しさに地面を蹴った。
リザなんちゃらへのカチコミの後。
リザなんちゃらは毎日、俺達に魚を貢ぐようになっていた。
お前達に貢がれる義理はねぇ。
自分の魚くらい自分でとる。
そう最初の頃、俺は魚をリザなんちゃらに突き返していた。その度、リザなんちゃらは悲しそうにトボトボと貢物の魚を持って帰っていく。それが一時期朝の恒例になっていた。
だが、どうしても受け取って欲しいのか。
リザなんちゃらは正攻法で来ると受け取ってもらえない事を学習してこの方法を取るようになった。……何故、そこまでして貢ぎたいのか? 俺には全く分からねぇ。
苛立ちに任せ、バリバリと頭を掻きながら魚をミドリに渡すと、ミドリは器用に魚を捌き、天日干しにする。テントの周囲は天日干しにされている魚達に囲まれていて非常に生臭い。
しかし、テントの周りに置かれているものは魚だけではない。
「臭ぇな。色んな匂いが混ざってやがる。」
イノシシっぽい生き物の肉や果物に花。
朝、起きると何時の間にやらテントの周りにお供物のように置いてある。
実は貢物をしてくるのはリザなんちゃらだけではない。
カチコミをした魔物達全員から毎朝毎朝、貢がれてる。
ー 俺はあいつらの中でどのポジションなんだろうな……。
俺の目的はこの森の頂点に立ち、白龍と喧嘩し、日本に帰る手立て及びこの不調をどうにかする事。
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