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「あ、お兄さん、お腹減ってませんか?
 何か作りましょうか?」

 「え?あ…あぁ…じゃあ、よろしく。」

 「はいっ!」



 『パンダ11』は実にかいがいしく動き回り、料理を作ってくれた。
 一瞬、料理に毒が入っているのではないかと思ったりもしたが、僕を兄だと信じているようだし、それはないだろうと思いながら、恐る恐る料理を口に運んだ。



 「う、うまい!」

 「そうですか?…良かった。」



はにかんだ様子で微笑む『パンダ11』はアイドル並みに可愛い。
テーブルの上には、たくさんのうまい料理が並び、しかも作ってくれたのはこんなかわいこちゃんだなんて、まるで天国じゃないか。



 (なにもすぐに殺す必要はない…よな。
こんなに料理がうまいんだもんな。)



お母さんとおばあちゃん以外の女性に料理を作ってもらったのなんて初めてだ。
いや!女性が僕の部屋に来たこと自体、初めてだ!
こんなに可愛い子と一緒に暮らせるチャンスなんて、きっとこの先も絶対にないだろう。



 (うん…しばらくは生かしておこう…)



 僕は、『パンダ11』の暗殺を引き延ばすことにした。

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