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「い、いやぁ、奇遇だなぁ…
ぼ、僕は田中信二……の兄の田中信一です。
うちに来て、信二を待ったら良い。
さぁ、行きましょう。」

 僕は咄嗟の思い付きで、兄だと嘘を吐き『パンダ11』と思われる女をマンションに連れて行った。



それは、この女を殺すためだった。
この女は、僕を殺しに来た。
だったら、先に殺せば良いと考えたのだ。
 宇宙人だからあなどれないけれど、今は女の姿をしているし、体格も華奢だから僕にもなんとかなるかもしれない。



 「きゃっ!」

リビングに入った『パンダ11』は、テーブルの上のはっか飴に退いた。
やはり、こいつが『パンダ11』に間違いなさそうだ。
 僕は大量のはっか飴をクローゼットの中に仕舞い込んだ。
 『パンダ11』はほっとしたような顔で、ソファに腰かけた。



 「実は、信二は今ちょっとひとり旅に行ってて…
どこにいるかもわからないんです。」

 「そうなんですか…」

 「あいつが帰って来るまでここで待ってたら良いですよ。」

 「本当ですか?
どうもありがとうございます。」

 「ところで、あなたは信二にどんな用があるんですか?」

 「……それは、ご本人に直接伝えます。」

 「……そうですか。」

 女は答えなかった。
そりゃあ、信二を殺すために来た…なんて言えるはずがないよな。
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