タイムトリップはいかがですか？

タイムトリップ

２４

（よし！決めた！）



俺は、もう一度、タイムトリップに行くことを決意した。 
このままではとてもじゃないが、諦めきれない。
そのために、俺はまた汗にまみれ、がむしゃらに働いた。



「おっちゃん、えらく頑張ってんじゃないか！」

「もしかして、これのためか？」

現場の若い奴らが小指を立てて俺を冷やかす。 



「あぁ、その通りだ。
愛しいあいつに会いに行くには金がかかるんだ。」

俺がそう答えると、若い奴等は浮ついた口笛を吹いて茶化した。 



奴等からみたら、まさに笑い話だろう。 
人生の折返し地点を過ぎてしまったこの俺が、女のためにこんなきつい仕事をしてるなんて… 



（しかも、あいつは俺より５つも年上だ。）



そんなことを考えると笑いが込み上げる。 
そうだ…俺が老けたのと同様に、あいつも老けてるんだ。
俺はそんなことも忘れていた。



酒も断った。
働くのに、酒は邪魔なだけだ。 
それに、最近は飯場に戻ると疲れてすぐに眠くなる。
酒を飲もうと考えることさえなかった。
出歩くこともやめ、極力金を遣わないように節約して、俺はとにかくがむしゃらに働いた。 



そして数ヶ月が経った頃… 
俺は再び、サイエンストリップ社を訪ねた。 



これでやっとあいつとやり直せる。
今とは違う人生を歩むことが出来るんだ。



説明を受けている間も、俺は気もそぞろに、あいつのことばかり考えていた。
適当に頷き、言われるままに署名をし…



「では…素晴らしい旅を…」