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タイムトリップ

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『もう一度、あの頃を旅してみませんか?』



澄み切った青空の下、若い男と女が満面の笑みを浮かべて、草原を走っている。



なんとも陳腐な表紙だ。



俺も相当な馬鹿だなと自嘲しながら、ゆっくりとパンフレットの表紙を開いた。



そこには、美しい花や滝の画像を背景にして、タイムトリップの解説が書いてあった。



そう、俺は残り少ない持ち金を、この旅にすべて注ぎ込むことに決めたのだ。



もうこの世に思い残すことはない。
いや…それはただの強がりかもしれない。
思い残すことはあるのかもしれないが、もう生きていたくないと感じているのは事実だ。
生きる希望は何もないし、体調も良くない…仕事も続かないし、なにをやってもうまくいかない。
そんなだから、人生に嫌気がさすのも仕方のないことだろう。



そんな気持ちを抱えながら、最後に、俺は心残りだったことをせめて一つだけでもクリアにしようと考えたのだ。



一番、心にひっかかっているあのことを…

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