夢を叶える妖精

２３

私は今月いっぱいでお屋敷をやめることを申し出た。

ダニエル様に脈がない以上、ここにいる理由はない。
なんだか、自分でも驚くくらい、ダニエル様への熱も冷めてしまった。



 本当なら今すぐやめたいくらいだけど…路銀を稼ぐためには頑張るしかない。
どうせ後しばらくの辛抱だ。



 ＊



 「へぇ…町から町を旅…
良いわね、私なんてこの町から出たことすらないっていうのに。」

マイヤさんはそう言って、カップのお茶をずずっとすすった。



 「そんな良いもんじゃありませんよ。
 乗合馬車がある時はまだ良いですが、町から町の移動は楽なものじゃないですからね。
 遠かったら何日もかかる場合もありますし、そういう時には野宿だってしなきゃいけないんですから。」

 「野宿…？それは大変ね。
 町から町への移動も徒歩だと確かに大変よね。
 馬にでも乗れれば早いんでしょうけど…
あ、そういえば、裏の山にとても綺麗な馬がいるって話、聞いたことがある？」

 「馬ですか？いいえ。」

 「とても綺麗なは白馬らしくって、何人もの人が捕まえようとしたんだけど、とてもすばしっこくて捕まえられないんですって。
しかも、不思議なことにその白馬の話はものすごく昔からあるの。
きっと、代々の子供なんでしょうね。」

 「へぇ、そうなんですか…」

そんな他愛ない話をしているううちに私の瞼は重くなり…
自分の部屋に戻った。