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闇の声(R)
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「そ、そんな…突然…酷いわ!」
「仕方ないでしょ。リチャードは私とイヴを過ごしたいらしいんだもの。
ね、リチャード?」
イザベラは、リチャードの肩にしなだれかかってそう言った。
「そういうこと。
悪いけど、エレナ…今日限り、君とは別れる。じゃあね。」
悪びれた様子もなく、リチャードはそう言って笑った。
「そんな……」
一人残された私は、ただその場に立ち尽くし、去って行く二人を見送るだけだった。
粉雪が舞う…
惨めな私を憐れむように…
私は公園のベンチに座った。
体だけじゃなく、心の中も芯から冷える。
凍えきって、粉々に壊れてしまったみたいだ。
(リチャード……)
この年になって初めて出来た恋人…
優しくて…笑顔が素敵で…誠実な人だと思っていた。
親友のイザベラも、私に恋人が出来た事を喜んでくれて…
リチャードを良い人だって言ってくれたのに、まさか、その彼女にリチャードを取られるなんて…
悲しくて悔しくて、溢れる涙が止まらない…
「許さない!」
今まで感じたことが無かったほどの怒りが込み上げた。
でも…だからといって私には何かが出来るわけじゃない。
いつだってそう…気弱な私は、心に傷を抱えて泣き寝入りするだけ…
(それで良いの?)
え?内なる声が、私に問いかけた。
(いつもいつも泣いてばかりの弱虫エレナ…
一生、そうやって生きていくつもり?)
不思議な感覚だった。
まるで、私の中にもう一人の私がいるみたい。
(イザベラとリチャードに復讐するのよ!
二人は私を裏切ったのよ。私の純粋な気持ちを踏みにじった極悪人よ。
二人に思い知らせてやらなきゃ!)
そうだ…確かにその通りだ。
でも、私に何が出来るっていうんだろう?
無理だ…私にはそんなこと…
(本気になれば何だって出来るわ!
まずは自分を変えるのよ!
弱虫のエレナとは今日でお別れ。
私は生まれ変わるのよ!)
急に体中に勇気がみなぎる気がした。
(そう…私は生まれ変わるのよ…!)
「仕方ないでしょ。リチャードは私とイヴを過ごしたいらしいんだもの。
ね、リチャード?」
イザベラは、リチャードの肩にしなだれかかってそう言った。
「そういうこと。
悪いけど、エレナ…今日限り、君とは別れる。じゃあね。」
悪びれた様子もなく、リチャードはそう言って笑った。
「そんな……」
一人残された私は、ただその場に立ち尽くし、去って行く二人を見送るだけだった。
粉雪が舞う…
惨めな私を憐れむように…
私は公園のベンチに座った。
体だけじゃなく、心の中も芯から冷える。
凍えきって、粉々に壊れてしまったみたいだ。
(リチャード……)
この年になって初めて出来た恋人…
優しくて…笑顔が素敵で…誠実な人だと思っていた。
親友のイザベラも、私に恋人が出来た事を喜んでくれて…
リチャードを良い人だって言ってくれたのに、まさか、その彼女にリチャードを取られるなんて…
悲しくて悔しくて、溢れる涙が止まらない…
「許さない!」
今まで感じたことが無かったほどの怒りが込み上げた。
でも…だからといって私には何かが出来るわけじゃない。
いつだってそう…気弱な私は、心に傷を抱えて泣き寝入りするだけ…
(それで良いの?)
え?内なる声が、私に問いかけた。
(いつもいつも泣いてばかりの弱虫エレナ…
一生、そうやって生きていくつもり?)
不思議な感覚だった。
まるで、私の中にもう一人の私がいるみたい。
(イザベラとリチャードに復讐するのよ!
二人は私を裏切ったのよ。私の純粋な気持ちを踏みにじった極悪人よ。
二人に思い知らせてやらなきゃ!)
そうだ…確かにその通りだ。
でも、私に何が出来るっていうんだろう?
無理だ…私にはそんなこと…
(本気になれば何だって出来るわ!
まずは自分を変えるのよ!
弱虫のエレナとは今日でお別れ。
私は生まれ変わるのよ!)
急に体中に勇気がみなぎる気がした。
(そう…私は生まれ変わるのよ…!)
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