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闇の声
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何いう事だ…
このくらいのことで死んでしまうとは…
(やっぱりおまえは弱虫エレナだったな…)
私は、エレナの魂を手に入れた。
雨が降る前の空のような灰色の魂を…
(もっと良い想いをさせてやろうと思っていたのに、もったいないことを…)
私はわずか数年前のあの日に想いを馳せた。
そう…エレナに初めて会ったのも今日みたいな雪の日だった…
***
「許さない!」
彼女からほとばしる憎しみの炎に、私は思わず吸い寄せられた。
粉雪の降り積もる公園のベンチで、泣き腫らした赤い目をして、彼女は怒りに震えていた。
化粧っ気のない肌は寒さに赤く染まり、地味は薄茶色のドレスは、彼女の年には不似合いだ。
エレナの傍にそっと近寄り、私は彼女の心の中を探った。
どうやら、恋人を親友に取られたみたいだ。
彼女にとっては初めての恋人…
その男と、イヴを過ごそうと考え、胸を弾ませていたところ、彼女は唐突に別れを切り出された。
人を疑うことを知らないエレナは、以前から親友のイザベルが画策していることに少しも気付いていなかったのだ。
だが、こういう純真無垢な者程、一度、本気で怒りを感じると、豹変する。
そう…白き者程、悪に染まるのが早いものだ。
私は決意した。
しばらくこの女に憑りつくことを。
怒りや憎しみは我ら悪魔の大好物だ。
エレナからは相当の活力をもらえるだろう。
そして、最終的には真っ黒に染め上げた彼女の魂をいただくのだ。
私は、エレナの傍に近寄り、その耳元に囁いた。
『イザベルとリチャードに復讐するのだ。
二人は、お前を裏切った。
おまえの純粋な気持ちを踏みにじった極悪人だ。
二人に思い知らせてやるのだ。』
私の言葉は直接彼女に聞こえるわけではない。
人間は、私の声を、まるで、自分の心の底からわきあがった自分自身の考えだと思い込むのだ。
エレナは、ハンカチで顔を拭い、すっくと立ち上がった。
このくらいのことで死んでしまうとは…
(やっぱりおまえは弱虫エレナだったな…)
私は、エレナの魂を手に入れた。
雨が降る前の空のような灰色の魂を…
(もっと良い想いをさせてやろうと思っていたのに、もったいないことを…)
私はわずか数年前のあの日に想いを馳せた。
そう…エレナに初めて会ったのも今日みたいな雪の日だった…
***
「許さない!」
彼女からほとばしる憎しみの炎に、私は思わず吸い寄せられた。
粉雪の降り積もる公園のベンチで、泣き腫らした赤い目をして、彼女は怒りに震えていた。
化粧っ気のない肌は寒さに赤く染まり、地味は薄茶色のドレスは、彼女の年には不似合いだ。
エレナの傍にそっと近寄り、私は彼女の心の中を探った。
どうやら、恋人を親友に取られたみたいだ。
彼女にとっては初めての恋人…
その男と、イヴを過ごそうと考え、胸を弾ませていたところ、彼女は唐突に別れを切り出された。
人を疑うことを知らないエレナは、以前から親友のイザベルが画策していることに少しも気付いていなかったのだ。
だが、こういう純真無垢な者程、一度、本気で怒りを感じると、豹変する。
そう…白き者程、悪に染まるのが早いものだ。
私は決意した。
しばらくこの女に憑りつくことを。
怒りや憎しみは我ら悪魔の大好物だ。
エレナからは相当の活力をもらえるだろう。
そして、最終的には真っ黒に染め上げた彼女の魂をいただくのだ。
私は、エレナの傍に近寄り、その耳元に囁いた。
『イザベルとリチャードに復讐するのだ。
二人は、お前を裏切った。
おまえの純粋な気持ちを踏みにじった極悪人だ。
二人に思い知らせてやるのだ。』
私の言葉は直接彼女に聞こえるわけではない。
人間は、私の声を、まるで、自分の心の底からわきあがった自分自身の考えだと思い込むのだ。
エレナは、ハンカチで顔を拭い、すっくと立ち上がった。
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