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審判の棺

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「な、何という事をしたんじゃ!」

 青年達は、長老に牧師を審判の棺に寝かせたことを話しました。
 喜ばれるかと思いきや、長老は烈火のごとく怒りだしました。



 「なぜそんなに怒るんです?
もし牧師様が生き返ってくれたら助かるじゃないですか!」

 「馬鹿者!おまえ達はあの棺のことを知っているのか?
あの棺がなぜ審判の棺と呼ばれているのか知っているのか?」

 「そ、それは…」

 青年達は顔を見合わせ口籠りました。



 「あの棺に寝かされた者が悪人だったら、天使のごとき善人として生き返り、善人は悪魔のごとき悪人として生き返るのじゃ!」

 「え……そ、それじゃあ…」

 「昔、隣の村に、エドガー牧師と同じように素晴らしい牧師がいた。
その牧師が死んだ時、村人は牧師をあの棺に入れた。
 牧師は次の日、生き返った。
 目を覚ますなり、『人を殺したい!』と言って、村人を皆殺しにしたのじゃ。
その後、あの棺はうちの村に運ばれ、教会の地下に封印されたという話じゃ。」

 「な、なんだって…!」

 長老の話を聞いて、青年達は青ざめました。



 「とにかく、隣村と同じ過ちを繰り返すわけにはいかん。万一、牧師が生き返ったら、わしらで始末するんじゃ。
やられる前に、な。」




 *




 (ど、どういうことだ…!?)



エドガーは目を覚ましました。
 生き返ったのです。
 信じられない想いで彼はゆっくりと起き上がり、棺から出ました。



 (神が私にチャンスをお与えになったのだ。
 皆に本当のことを話すチャンスを…!)



エドガーは階段を上がって行きました。
 地下からの扉を開くと、そこには村人達が集まっていました。
 村人達は、エドガーを見て、青ざめひきつった顔をしています。



 「牧師様、一つ聞きたい。
あんたは善人か?」

エドガーは、ゆっくりと首を振りました。
 今度こそ、昔の自分のことを正直に話そうと決めていたからです。
 村人達は囁き合い、身を固くしました。



 「私は人を殺し…」

エドガーが話しかけた時…



「いけーーっ!」



 長老の号令と共に、村人達は武器を手に持ち、牧師に襲い掛かりました。
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