上 下
12 / 18

12

しおりを挟む




 (どんな方が来られるのかしら?)



 恋する乙女さながらに、ルシアンは勇者の到着を待っていた。
ルシアンは、勇者に姿を見せるのは構わないが、勇者に対してなんらかの意志を伝えることは許されてはいない。
 姫の処遇については、あくまでも、勇者の判断に委ねられるのだ。



 (まずは、一階でからくり魔物をやっつけて、そして、二階で魔王をやっつけ…
そして、三階の私を助けるかどうかは、勇者様次第……いえ、絶対に助けに来て下さるわ。
だって、勇者様なんだもの…!)




ルシアンの頭の中に妄想が広がった。
 背が高く、逞しい体つきをした若者が、扉を蹴破り、自分を助けに来る光景を…



(そして、勇者様は私をお姫様抱っこして……きゃあーーー!)



その時、ふと窓の外に落としたルシアンの視線が、若者のそれと交差した。



 (あ、あの方が勇者様……
な、なんて、格好良い方……!)



ルシアンは頬を染め、勇者・ライアンを熱くみつめた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

パンダ11

神在琉葵(かみありるき)
ファンタジー
Kさんにいただいた原案を元に書いてみました。 一応…コメディ…!?

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって? まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ? ※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。 ※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

テイマーになってモフモフ天国を我が手に!……なのに、どうしてこうなった!?

ミクリ21
ファンタジー
モフモフ大好きチェルシーは、テイマーになってモフモフ天国を作るつもりだった。 しかし、テイムしたモフモフ達は何故か人化ができるようになっていた!? この物語は、平凡なテイマーがチートなモフモフ達に溺愛される話です。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

付与魔術師の成り上がり〜追放された付与魔術師は最強の冒険者となる。今更戻って来いと言われてももう遅い〜

平山和人
ファンタジー
Sランクパーティーに所属する付与魔術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放される。 しかし、彼らは気づかなかった。カイトの付与魔法がパーティーを支えていたことに、パーティーのサポートをしたおかげでカイトが最強であることに。 追放されたカイトは美少女たちを集めて新たなパーティーを作り、カイトは最強の冒険者として世界中に名を轟かせていくことになる。 一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで、没落の道をたどり、やがて解散することになる。

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

処理中です...