SFSS集

神在琉葵(かみありるき)

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「三島…僕の事、いつから知ってる?」

 「いつって…入社してからに決まってるじゃないか。」

 奴が言うには、僕は大学を卒業してから三島と同じ会社に就職し、そこで仲良くなったということらしい。
だが、僕の認識ではまるで違う。
 僕は大学を卒業してから、本格的に小説家を目指し、バイトをして暮らしてる。



 「小説のことは知ってる?」

 「あぁ、高校の時から小説を書いてて小説家を目指してたけど、絶対の自信作がコンテストに入賞しなくて、それで諦めて就職したって言ってたよな。」

その話を聞いた時、僕はある荒唐無稽な仮説にたどり着いた。
ここはもしかしたら、僕が小説家を諦めた世界なのではないか…ということに。



 僕は思い切って三島にその話をしてみた。
 僕の知ってる三島は、頭が柔軟で、都市伝説のような話も信じるタイプの人間だったからだ。



 「実は、俺もそのことを考えてた。
まず、この1000円札がひっかかる。」

そう言いながら、三島は1000円札をひらひらと動かした。



 「だとしたら…この世界の僕はどこにいるんだ?」

 「俺が思うに…どこかで二人が入れ違いになったんじゃないかって思うんだ。」

 「……入れ違い?」

 三島はピザを頬張りながら大きく頷く。



 「最近、何かおかしなことはなかったか?」

 「おかしなことなんて…あ…」

 僕は、昨夜のことを思い出した。
 行き止まりにあったあの扉…



「あったのか?」

 僕は扉のことを話した。



 「じゃあ、そこへ行ってみよう!」



 僕らはあの場所へ行った。
しかし、行き止まりの道がなかなかみつからない。



 「別れて探そう。」

 「じゃあ、後でな!」

 僕らはバラバラにあの扉を探した。



 「あった!」

 僕はその扉を開けた。



 「あ!」

そこは大通りだった。
あの時と同じだ。



 僕は三島に電話をかけた。



 「三島!僕が働いてるのはどこだ?」

 「え?何だって?」

 「だから、僕がバイトしてる所だよ!」

 「どこって…ローポンだろ?」

 僕は、声を上げそうになるのを堪え、思わず拳を握りしめた。
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