SFSS集

神在琉葵(かみありるき)

文字の大きさ
上 下
31 / 40

しおりを挟む




 「三島!教えてくれ!どういうことなんだ!?」

 「お、落ち着けって。」

 僕は三島に電話して、家に来てもらった。
 当たり前のことだけど、やっぱり、三島は三島だった。
 僕はローポンでのことを三島に話した。



 「中村…おまえ、本気でそんなこと言ってるのか?」

 「当然だろ!僕は、昨日までローポンでバイトしてたんだから。」

 「……な、とりあえず、ピザでもとって食べないか?」

そういえば、今日は朝から何も食べてなかった…
おかしなことがありすぎて食欲さえもなくなっていたんだ。
でも、ピザのことを考えたら急にお腹がすいてきた。



 「3850円です。」

 「じゃあ、5000円で…」

 三島が代金を払ってくれた。



 「これ、僕の分…」

 僕は2000円を差し出した。
 三島はそれを見ておかしな顔をした。



 「なんだよ、これ…」

 「何って…何が?」

 三島は財布の中から硬貨を取り出した。



 「あっ!」

その硬貨には『1000円』の刻印があった。



 「なに、これ?」

 「聞きたいのはこっちだ。
なんなんだよ、これ!
 1000円って言ったら硬貨しかないだろう?」

 僕は背中に冷たい汗が流れるのを感じた。
 三島もおかしな顔をしている。



 「おい、咲子も呼ばないか?」

 咲子という名前には憶えがあった。
 昨日、オフ会で会った創作仲間の地味な女の子だ。
 咲子とはけっこう気が合っていて、勝手に咲子に可愛いイメージを妄想してたけど、会ってみると、不愛想でとにかくすごく地味で…正直ちょっとがっかりした。



 「えっと、咲子っていうのは…」

 「おまえ…まさか自分の彼女のことを忘れたんじゃないだろうか?」

 「えっ!あ、あの咲子が僕の彼女!?」

ありえない!
 咲子とは、昨夜、会ったばかりだぞ。
なんでそんなことに…
三島は怪訝な顔で僕を見ていた。



おかしい…何かがおかしい。絶対に変だ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

古代日本文学ゼミナール  

morituna
SF
 与謝郡伊根町の宇良島神社に着くと、筒川嶼子(つつかわのしまこ)が、海中の嶋の高殿から帰る際に、 龜比賣(かめひめ)からもらったとされる玉手箱を、住職が見せてくれた。  住職は、『玉手箱に触るのは、駄目ですが、写真や動画は、自由に撮って下さい』 と言った。  俺は、1眼レフカメラのレンズをマクロレンズに取り替え、フラッシュを作動させて、玉手箱の外側および内部を、至近距離で撮影した。   すると、突然、玉手箱の内部から白い煙が立ち上り、俺の顔に掛かった。  白い煙を吸って、俺は、気を失った。

ヒト

宇野片み緒
SF
地球のかけらで、 原子生物たちは独自の進化を遂げていた。 水まんじゅうに似たその生物は、 心を読み合うことで意思疎通をし、 好きな動物に化けることすらできた。 しかし、彼らはヒトに憧れた。 言葉を操り、道具を使う高度な生命体。 そう思っていた。 ヒトに化けた個体それぞれの、追憶。 カバーイラスト/巻末イラスト:shiratama 装丁/題字/本文:宇野片み緒

性転換ウイルス

廣瀬純一
SF
感染すると性転換するウイルスの話

宇宙人と女子中学生

マジカル博士
SF
とある底辺科学者と、とある女子中学生の物語。 ※この小説はpixivにも投稿しています。

ホワイト・クリスマス

空川億里
SF
 未来の東京。八鍬伊織(やくわ いおり)はサンタの格好をするバイトに従事していたのだが……。

悪魔

平 一
SF
素敵な動画に魅せられて、〝未来の神話〟が幻視(み)えました。 刺激を受けた動画:『 Roselia / BLACK SHOUT 』 https://www.youtube.com/watch?v=UDjrPku9jRc

人類の始まり(ホモサピエンス)

sunrise.murata.1103
SF
一万年以上昔の地球で人間達の夢とロマン、異性人との壮絶なバトルの物語 この作品を作るきっかけになった話し、人類の進化論では地球に原人が生まれ、次々と現代人に近い人間が現れている中、原人とホモサピエンスの間の頭蓋骨が、未だに発見されていないとの情報があり、気にしているとこの作品が生まれてきたのです。はるか昔から謎とされている不思議な事柄を取り入れて物語りにしてみました。

交換日記

奈落
SF
「交換日記」 手渡した時点で僕は「君」になり、君は「僕」になる…

処理中です...