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神在琉葵(かみありるき)

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冷たい涙

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だから、私は決意した。
アンドロイドへの脳移植を。
 整形の技術も進んだとはいえ、やはり限度があるし、たとえ、顔は若返ったとしても、体力的なものは戻らないのだから。
 極寒の冬の海に入ったり、長時間走って逃げるようなシーンは、今の私には無理なことだ。
その点、アンドロイドなら体力面でも若返ることが出来る。
それに、オーダーメイドのアンドロイドでは、脳からの指令により、人間と変わらない表情が出来るのだ。
 私は、もう一度昔のように輝きたい!
その想いは揺るぎのないもので、私は屋敷や宝石を手放し、アンドロイド脳移植に挑んだ。



そして、私は再び手に取り戻したのだ。
 若い頃の美しい姿と、体力を…!



これで、私はまた輝くことが出来る!
 昔と同じように…!



 *



テレビに出てから、映画等の出演依頼が殺到した。 

もちろん、それらはほんのちょい役ではなく、主演でのオファーだ。 



 脳移植をした甲斐があった。 
 私はまた女優として輝けるんだ! 
 思いっきり、好きな芝居が出来るんだ!



 私は、マネージャーの薦めで、山野辺監督の映画に出演することにした。 
この監督は、ここ数年、めきめきと頭角を現してきた監督で、作った映画はどれも目覚ましい収益をあげていると言う。 
 私はちょうどその頃アンドロイド化のために仕事もやめ、何かと忙しくしていて詳しくは知らないのだけど、映画が大ヒットすれば、私の評判は一気に上がるだろうし、そしたらもっと面白い役に出会えるかもしれないから。 



 *



 「初めまして。吉岡さつきです。」

 「初めまして。山野辺です。」

 山野辺は30過ぎの小柄な男だった。 



 「まず、大まかなストーリーですが、人生に目標を見いだせない少女が、ある男性との出会いをきっかけに、様々な体験をし、成長していくという感じの恋愛映画なんです。」

 「そうなんですか。それは素敵ですね。」

 「これが台本です。」

 手渡された台本に目を通す。 



わからない… 
若い少女の台詞の意味が、まるでわからないのだ。
そのイントネーションも当然わからない。 
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