『違う景色が見たかった』

１２

どうしよう？ 
こんな時、どうすれば良いんだろう？



 誰かに相談したいけど、こんなことを相談するとしたら、shin夜か仲谷さんか恵梨香しかいない。 
だけど、その三人のうちの一人は、もしかしたら、有栖川しおんかもしれないのだ。
 相談出来るはずがない。



 （僕は一体どうすれば良いんだ！？）



 何の解決策もみつからず、誰にも相談出来ないままに日にちだけが過ぎて行った。 
もちろん、こうなった以上、僕はあの作品を投稿するわけにはいかない。 
 新しい話を書く心のゆとりも時間も集中力も何もなく…
今回はもう投稿は諦めるか？それとも、何かとりあえず投稿するか…
僕はギリギリになって、以前書いた短編を投稿した。 
 今よりもまだ未熟な時に書いた、ごくつまらない短編だ。



 読者投票が始まり、仲谷さんからメッセージが届いた。 
なぜ、あの話を出さなかったのか？と。 
 当然の疑問だ。



そんなことを言うのは、有栖川しおんと仲谷さんはやはり無関係だということか？ 
 或いは、それがフェイクなのか？ 



 何が真実なのか、考えれば考える程わからなくなっていく。 



つまらない僕の短編は、レビューはおろか、閲覧数もなかなか上がらなかった。
 今、レビューをくれてるのは、仲谷さんだけだ。
 本当に、仲谷さんは優しい。
そう思う反面、その優しさを勘ぐってしまういやな僕もいた。



 僕の短編とは裏腹に、有栖川しおんの作品にはぽつぽつとレビューが増え始め、人気のランキングが上がっていた。 
とはいえ、有栖川は月の石では無名の新人だ。 
 僕よりは上位だけど、順位はそう高くはない。 
 真ん中よりちょっと後ろって感じか。
 仲谷さんは、知り合いの数がとにかく多いし、レビューも詳細だから、知りあい以外の作品を読むことはないだろう。
だから、きっと、仲谷さんはあの作品を読むことはないと思う。