『違う景色が見たかった』

６

（だけど……）



shin夜は、今、金に困っている。
 詳しい事情は言えないってことだったけど、家族のことで早急に金がいるから、今月から夜もバイトをすることになって、なかなか詩を書く時間が取れないし、書いても暗い詩ばかりになってしまうってこぼしてた。



 月の石賞の賞金は３０万円だ。
shin夜がいくら必要なのかはわからないけど、それだけあったら、とりあえずは助かるんじゃないだろうか？
 小説は書けないと彼は言ってはいるけれど、詩を書いてるんだ。
しかも、才能を感じる素晴らしい詩だ。
あんなのが書けるなら、いざとなれば、小説だって書けるんじゃないだろうか？
しかも、プロットがあるんだから…



いつの間にか、shin夜を疑ってる自分自身に気付いて驚いた。
shin夜とはリア友と同じように仲良くしていたのに…
shin夜に対して後ろめたい気分を感じた。



 （……僕は何を考えてるんだ…shin夜がそんなことするはずがない。）



……そうだ。それに僕がプロットについて話したのは彼だけじゃない。