上 下
19 / 28

19

しおりを挟む
反対側の壁には大きな鏡があるが、私の居る場所にはその鏡はない。




(合わせ鏡の術か…
おそらくはその作用で、私は鏡の中に封じ込められたのだな…)



そう…彼女の亡骸を幾重もの鏡に映して私をこの場所に誘い込み、そして、合わせ鏡で封じ込めた…
きっとそういうことだったのだろう。
しかも、病気の彼女が広間にいるなんて…考えてみればおかしな話だ。




 普段の私なら、かかるはずのない単純な罠…
しかし、セシリアのことで頭がいっぱいになっていた私は、森の動物並みに簡単に罠に落ちた。




空虚な笑いが、私の喉からこぼれ出た。




そう…私は人間の娘に、そこまで心奪われていたのだ。




愚かな…




なんと愚かな……




だが、その反面で私は誇りに思う。
そこまで、彼女を愛せたことを…
セシリアという女と巡り合えたことを…

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

地下の初恋

神在琉葵(かみありるき)
ファンタジー
アラステアとスコットと、そしてレオナールのちょっと不思議なお話。 ※表紙画はハチムラリン様に描いていただきました。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

最近様子のおかしい夫と女の密会現場をおさえてやった

家紋武範
恋愛
 最近夫の行動が怪しく見える。ひょっとしたら浮気ではないかと、出掛ける後をつけてみると、そこには女がいた──。

あの日、さようならと言って微笑んだ彼女を僕は一生忘れることはないだろう

まるまる⭐️
恋愛
僕に向かって微笑みながら「さようなら」と告げた彼女は、そのままゆっくりと自身の体重を後ろへと移動し、バルコニーから落ちていった‥ ***** 僕と彼女は幼い頃からの婚約者だった。 僕は彼女がずっと、僕を支えるために努力してくれていたのを知っていたのに‥

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」  静寂をかき消す、衛兵の報告。  瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。  コリウス王国の国王––レオン・コリウス。  彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。 「構わん」……と。  周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。  これは……彼が望んだ結末であるからだ。  しかし彼は知らない。  この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。  王妃セレリナ。  彼女に消えて欲しかったのは……  いったい誰か?    ◇◇◇  序盤はシリアスです。  楽しんでいただけるとうれしいです。    

【完結】もし体が交換できたら… ママ、いえお母様。当てつけですものね?

BBやっこ
大衆娯楽
わたしのパパとママは、わたしをぶつ。 頬が赤くなる、飛ばされる身体が痛い。そんな幼少期だった。 教育が始まってからのが、会う時間が少なくなってそういうことは少なくなったけど。 廊下であったり、気に入らないことがあったらしい時はよくぶたれた。 それが、愛情からではないと分かった頃、反抗的だと叩くのが多くなった時…。 わたしとママに魔法がかかった。 私、家を出ます。もちろん諸々もらって。

処理中です...