忘れえぬ人

神在琉葵(かみありるき)

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「へぇ、そうなんですか。
それは面白かったでしょうね。」




他愛ない会話に花が咲く。
話題はどんなにつまらないことだって良いのだ。
セシリアと話せるだけで、私は幸せな気分になれる。
私の思い込みかどうかはわからなかったが、それは彼女も同じなのではないかと思えた。
それほどに、彼女も楽しそうに見えたのだ。




 食事をし…そして、公園を散策し…
店を見てまわる…




ただそれだけのことなのに、心が弾んだ。
 私達は始終笑顔で、悪魔と人間という種族の違いもすっかり忘れ、同じ時間を共有した。




「セシリア…今度はいつ会える?」

「いつだって。」

「君はそんなに暇なのか?」

「そうじゃないわ。
あなたが会いたいというのなら、どんな用だってほっぽり出して来るから…」

「セシリア…」



やはり、私の思い込みではなかった。
彼女もまた私と同じく、私を愛していてくれたのだ。
不思議なことだが、私達は会った瞬間にお互いにひかれあっていたようだ。
それも、とんでもなく深く強く…

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