ミステリーSS集

神在琉葵(かみありるき)

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人形師Ⅱ

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(……どうなっただろう?うまくいったかな?)



 『エディ、どうかしたの?
 怖い顔して何を考えているの?』

 「え?い、いや、なんでもない。」

さすがにアニーは勘が鋭い。
 僕の心の中をすぐに見抜いてしまう。



どうかうまくいってくれと僕は祈ったけれど…
残念ながら、僕の願いは届かなかった。
 国には開戦の不穏な空気が流れ始めていた。



 「エディ、すぐにお城へ!」

 「はい!」

 思った通り、兵士が僕を迎えに来た。



 『エディ、またお城へ行くの?』

 心配そうな顔をするアニーを僕はそっと抱き締めた。



 「大丈夫だよ。すぐに帰って来るから…」

そう言って僕は家を後にした。



この戦争は、隣国の国王が、この国の王女を妃に欲しいと言ってきたことが原因だった。
 王女とは親子程も年が違い、しかも、隣国の国王は好戦的で評判の良くない人物だ。
 王様は、当然、そんな者に王女を渡すはずはなかった。
なんとしても、戦争を避けたかった王様は、王女が祈祷師の呪いにより人形になってしまったと嘘を吐き、僕の作った人形を隣国の国王に贈ったのだ。



だが、そんな嘘は隣国の国王には通じなかった。
 激怒した国王は、我が国に攻め入る準備を始めた。



 王様ももちろんそのくらいのことは想定していた。
 僕は、たくさんのからくり兵士を作った。
 我が国の兵士は、隣国に比べて圧倒的に数が少ないからだ。
それらは山道の砦と城門の前に配置された。



 王様の作戦は成功した。
 隣国の兵士たちは、砦に駐在する多数の兵士を見て恐れを成し、すぐさま撤退を始めたのだ。
 僕は、その様子にほっと胸を撫で下ろした。
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